ドコモ、KDDI、ソフトバンクが相次いで料金値下げに踏み切る中、第4のキャリアとして2020年4月に本格参入を果たした楽天モバイルも、料金プランを改定した。新料金の名称は「UN-LIMIT VI」。月額2980円(税別、以下同)で自社回線エリアでのデータ通信が使い放題という点はこれまでと同じだが、段階制を導入することで、20GB以下と3GB以下の料金を低廉化。さらに1GB以下の場合、料金を無料にするという大胆な手を打った。
大手3社のオンライン専用料金プランに対抗した格好で段階制を導入することで、小容量と中容量のプランにフィットするユーザーの負担感を軽減するのが狙いだ。サービス開始は4月1日を予定。現行の楽天モバイルユーザーは、料金プランが自動的にUN-LIMIT VIにアップグレードされる。この新料金プランの中身や、業界に与える影響を解説していきたい。
楽天モバイルの料金プランは、2020年3月の発表時から2回リニューアルしている。わずか1年、しかも300万人の無料期間が終了していない中、3回目の料金プラン改定に踏み切った格好だ。本格参入発表時に導入した料金は、自社回線エリアでデータ通信が使い放題になる「UN-LIMIT」。サービス開始に合わせ、au回線を使うパートナーエリアでのデータ容量を2GBから5GBに増量し、「UN-LIMIT 2.0」に進化させた。9月にはこれを料金そのままで5Gに対応させ、「UN-LIMIT V」に改称している。
同社は、契約から1年間、300万人が無料になるキャンペーンを実施している。そのため、実際に料金を払っているユーザーは2回線以上利用しているユーザーを除けば、ほぼゼロだ。ユーザー側から見ると、実際に料金を払うようになる前に、2回料金プランが改定されることになる。事実上、UN-LIMIT 2.0やUNLIMIT Vは幻の料金プランになってしまったといえそうだ。
矢継ぎ早に料金を改定したのは、大手3社が導入する予定のオンライン専用料金プランが影響しているとみられる。これに合わせる形で、KDDIのUQ mobileやソフトバンクのY!mobileも2月から料金を値下げするため、低価格帯の料金プラン競争は“激戦”になっていた。楽天モバイルのCEOを務める三木谷浩史氏は、「全国民に対して最適なプランを提供する。これが楽天のミッションであり、心意気だ」と語り、新料金プランに対する自信をのぞかせた。
料金プランの中身は、冒頭で述べたように、段階制が特徴になる。これまでの楽天モバイルは、料金プランが1つの「ワンプラン」でシンプルさを売りにしていたが、そのメリットは踏襲しつつ、中容量、低容量のユーザーに対して事実上の値下げを行う。
データ容量が使い放題という点はこれまでのUN-LIMITと同じだが、使ったデータ量が少ない場合に、値引きを受けられる形だ。20GB以下の場合は1980円。1GB超、3GB以下では980円まで料金が下がる。サプライズだったのは、1GB以下のときには料金が無料になることだ。これまでも、nuroモバイルの「0 SIM」のように、無料でユーザーを集めるケースがなかったわけではないが、自社で回線を引くMNOの料金プランとしては、異例と言っていいだろう。
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