世界を変える5G

楽天モバイルの5Gは“超限定的” 3キャリアにどこまで対抗できるのか石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2020年10月03日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 楽天モバイルが、9月30日に5Gのサービスを開始した。もともと同社は、本格参入直後の6月に5Gを商用化する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、海外のラボに立ち入りができなくなるなどして、サービス開始を延期していた。約3カ月スタートが遅れた格好だが、料金を据え置きにして「Tada(ただ)5G」を訴求する。サービスインに合わせ、自社ブランドの端末「Rakuten BIG」も用意した。

 一方で、他社と同様、やはりエリアには課題も多い。4Gの立ち上げと時期が近いだけに、加入者がスムーズに増えるのかは未知数だ。競合他社が4Gからの周波数転用も活用して一気にエリアを拡大しようとしているなか、楽天モバイルの5Gはスムーズに離陸できるのか。

楽天モバイル 9月30日に5Gのサービスを開始した楽天モバイル。料金や新製品は三木谷氏が紹介した(写真提供:楽天モバイル)

料金据え置きの2980円、プランは「UN-LIMIT V」に一本化

 「分かりやすく言うと、4Gに加えて5Gがタダで使える」――楽天の代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、こう語りながら5G用の料金プラン「UN-LIMIT V」を発表した。4月に開始した「UN-LIMIT 2.0」は、月額2980円(税別、以下同)でデータ通信が無制限になるプラン。RCSの技術を使った「Rakuten Link」を利用すれば、通話料も無料になる。UN-LIMIT Vも、5Gが使えること以外、特徴は同じだ。300万人まで1年間料金が無料になるキャンペーンも継続する。新プランに変更すれば、5G対応端末で5Gの電波をキャッチできるというのが唯一の違いだ。

楽天モバイル 料金は4GのUN-LIMIT 2.0と同じ2980円。4Gと5Gの両方を利用できる
楽天モバイル 5G分の上乗せがなかったことから、三木谷氏は「Tada 5G」をアピールした

 既存の楽天モバイルユーザーは、Webから簡単な手続きを済ませるだけで、料金プランをUN-LIMIT 2.0からUN-LIMIT Vに切り替えることが可能だ。プラン変更には、手数料もかからない。新規ユーザーが加入できるプランも、UN-LIMIT Vに一本化される。料金は同じで、容量も無制限。単純に5Gが追加されるだけになるため、デメリットはない。「シンプルで分かりやすい、ワンプランを目指している」と語る三木谷氏の狙い通りに設計されたプランというわけだ。

 そのため、既存ユーザーが自主的に手続きしない場合でも、料金プランは自動でUN-LIMIT Vに切り替わる。楽天モバイルによると、10月12日から11月30日にかけ、段階的にプラン変更を実施していく予定だという。当然ながら5Gの利用には対応端末も必要になるため、単に契約が5Gになっただけでは電波をつかんで通信することはできないが、見かけ上の契約数は一気に増える格好になる。

楽天モバイル 既存ユーザーは、自動的にUN-LIMIT Vに切り替わる

 2980円を維持したため、他キャリアとの金額差はさらに広がった。三木谷氏は「他社と比べ71%程度安い料金になっている」と自信をのぞかせた。楽天モバイルが示した他社のプランには、音声定額プランが含まれていたため、それを除けば実際にはここまでの開きはないが、5G対応でデータ容量使い放題のプランとして安いことも事実だ。

 ドコモは「5Gギガホ」の料金が7650円。適用率が非常に高いみんなドコモ割を含めても、6650円の料金がかかる。KDDIの「データMAX 5G」は2年契約ありで8480円。同居家族のみと範囲は狭いが、4人契約で最大2020円の割引を受けられる。家族割引適用の状態で比べても、楽天モバイルの料金は他キャリアの半額以下。「携帯料金の値下げは、1つのナショナルムーブメント」(同)で、楽天モバイルはそれに回答した格好だ。

楽天モバイル 他社の大容量プラン、データ容量無制限プランより71%安いとアピールした
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