世界を変える5G

楽天モバイルの5Gは“超限定的” 3キャリアにどこまで対抗できるのか石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2020年10月03日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

端末ラインアップは当初2機種、ミドルレンジモデルが不足か

 5Gのサービス開始に合わせ、対応端末も用意した。6.9型と大画面で、Sub-6とミリ波に両対応した「Rakuten BIG」がそれだ。発売済みのシャープ製スマートフォン「AQUOS R5G」も、同時のソフトウェアアップデートで5Gに対応した。これら2機種が楽天モバイルにとっての“ローンチモデル”になる。

楽天モバイル 自社ブランド端末第2弾となるRakuten BIG。Sub-6とミリ波に両対応した
楽天モバイル 発売済みのAQUOS R5Gも、アップデートで5Gに対応する

 ハイエンドモデルで価格が10万円を超えるAQUOS R5Gに対し、Rakuten BIGはSnapdragon 765Gを採用したミドルレンジモデルで6万9800円とリーズナブルだ。楽天モバイルCTOのタレック・アミン氏は、自社ブランドの端末を開発した理由を、「コストを引き下げていくため」だと説明する。「ミリ波とSub-6の両方に対応し、カメラも非常にいい。これだけのスペックに対して、価格は安い」(同)というわけだ。

楽天モバイル CTOのアミン氏は、自社ブランドの端末を開発した理由として、周波数利用効率のよさやコストの安さを挙げた(写真提供:楽天モバイル)

 Snapdragon 765Gを採用したおサイフケータイ対応モデルには、ソフトバンクの導入したOPPOの「Reno 3 5G」があり、価格帯も近い。一方でReno 3 5Gは、Sub-6のみでミリ波には非対応。ハイエンドモデルでもミリ波非対応の端末が多い中、ミドルレンジモデルのRakuten BIGがミリ波に対応したのは異例だ。アミン氏はRakuten BIGを「周波数利用効率もいい」と評していたが、Sub-6とミリ波を同時にスタートさせる同社の戦略に沿うためには、自社ブランドの端末を開発する必要があったことがうかがえる。

楽天モバイル ZTEのグローバルモデルがベースになっている一方で、ミリ波やおサイフケータイに対応するなど、楽天モバイルならではのカスタマイズが加えられている(写真提供:楽天モバイル)

 ただし、現時点ではラインアップは2機種のみと少ない。本格サービスを開始してから1年もたたない楽天モバイルに、ラインアップの拡充を求めるのは酷かもしれないが、KDDIが「全機種5G」を打ち出した後なだけに、インパクトに欠けているのも事実だ。自社ブランド端末として、Rakuten BIGに加え、横幅がスリムな「Rakuten Hand」の投入も発表したが、こちらは4Gのみの対応。10月には、楽天モバイル以外の3社が5G対応のiPhoneを導入する想定であることを踏まえると、現状のラインアップは手薄といえる。

楽天モバイル スリムボディーが売りのRakuten Handも開発したが、こちらは4Gのみ

 Rakuten BIGの6万9800円は、確かにコストパフォーマンスが高い一方で、絶対額としてはまだまだボリュームゾーンの価格帯には届いていない。楽天モバイルの売れ筋端末が3万円前後のミドルレンジモデルに集中していることを踏まえると、KDDIが販売するXiaomiの「Mi 10 Lite 5G」のように、4万円前後の低価格な5Gスマートフォンの導入も必要になりそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  5. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  6. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  7. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年