異例の新プランを発表した楽天モバイル 解約率は下がるも、収益性を上げられるか石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2021年01月30日 10時27分 公開
[石野純也ITmedia]

他社のオンライン専用プランやサブブランドに対抗、低容量ユーザーもターゲットに

 先に述べたように、楽天モバイルのUN-LIMIT VIは大手3キャリアのオンライン専用料金プランに対抗するものだ。ドコモの「ahamo」やソフトバンクの「SoftBank on LINE」は、いずれも料金が2980円。auの「povo」は、2社と異なり5分間の音声通話定額がトッピングという扱いだが、料金自体は500円安い2480円だ。これに対し、楽天モバイルでデータ量が20GB以下だった場合は1980円。ahamoやSoftBank on LINEより1000円、povoよりも500円安い金額を打ち出している。

楽天モバイル 3GBから20GB以下の料金は1980円。大手3社のオンライン専用料金プランより低水準を打ち出した

 MNO大手3社の値下げを受け、MVNO各社も値下げに踏み切っているが、20GBまでで1980円はそれと同水準だ。例えば、日本通信がahamo対抗で導入した「合理的20GBプラン」(ahamo開始までは16GB)は、料金が1980円。同プランには70分の音声通話が付くものの、「Rakuten Link」を通じた音声通話が無料になる楽天モバイルの方が条件はいい。2980円という金額は並ばれてしまった楽天モバイルだが、2980円でデータ通信無制限は維持しつつ、20GBというしきい値を設定することで、横並びで比較したときに、競合他社より1000円程度安い価格を訴求できるようになった。

 1GBから3GBの金額は980円で、これも、MNOでは最安水準を打ち出していたUQ mobileの「くりこしプランS」を金額で下回った。UQ mobileの場合、データ容量3GBで1480円のため、500円安い料金を打ち出した格好だ。楽天モバイルが発表会でも示したように、毎月のデータ使用量が5GB未満のユーザーは、全体の66%とまだまだ多い。UN-LIMIT Vまでの料金プランは、データ通信無制限として見ればリーズナブルだが、小容量、中容量の料金プランを契約するユーザーの目には割高に映っていたのも事実。1GBから3GBを980円にすることで、こうしたニーズも取り込めるようになったといえる。

楽天モバイル 1GBから3GBの料金は980円で、UQ mobileやY!mobileを意識した価格が設定されている

 さらに、1GBまでの料金は0円に設定。複雑な条件は特になく、音声通話も上記と同様、Rakuten Linkを使えば無料になる。当然、国内では最安の料金で、MNOはもちろん、MVNOにもこれに対抗できる料金プランは存在しない。ことわざとは真逆だが、“タダより安いものはない”というわけだ。

【更新:2021年2月1日10時00分 Rakuten Linkの音声通話について、「完全定額」から「無料」と訂正いたしました。】

 1GBというと少ないように聞こえるかもしれないが、外出先などであまりデータ通信を使わなければ、1GB以下に抑えることはできる。先に挙げた総務省のデータでも、2GB以下のユーザーは49.5%と多い。ドコモがギガライトを発表した際にも、1GB未満のスマートフォンユーザーは全体の約4割を占めていることが明かされている。その意味で、1GB以下に0円をつけたインパクトは大きい。

楽天モバイル 日本のデータ利用量は、約半数が2GB以下。この点を踏まえると、1GBまで0円という価格設定のインパクトが大きいことが分かる

 楽天モバイルの料金プラン改定には、2つのメリットがある。1つは、新規ユーザーの獲得。もう1つは、解約率の低減だ。データ容量別に料金を刻んできたことで、三木谷氏が「全国民に対して最適な料金」とうたうように、これまでのUN-LIMITよりも間口が広くなった。現時点で、楽天モバイルの契約者数は220万に達したが、このペースは上がることになりそうだ。ただし、この220万ユーザーが4月以降、そのまま楽天モバイルにとどまってくれるとは限らない。本格サービス開始直後に契約したユーザーの、無料期間が4月から終わり始めるからだ。

楽天モバイル 現時点での契約者数は220万超。他社の値下げで、草刈り場になるリスクがあった

 競合他社が低容量、中容量でリーズナブルな料金を打ち出している中、何も手を打たなければ、楽天モバイルが草刈り場になり、解約率が大幅に上がる恐れもあった。他社のオンライン専用プランと同じ20GBや、サブブランドと同じ3GBに区切りをつけ、一段安い料金設定をしたのは、そのためだろう。新規ユーザーの獲得に弾みをつけつつ、ユーザーが逃げ出さないための止血処置をした格好だ。三木谷氏も、「解約率は下がると思っている」と語る。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月07日 更新
  1. スマホ大型化の裏で高まる「小型音楽プレーヤー」待望論 現役ウォークマンか、“ポストiPod”のiPhone SEか (2026年04月05日)
  2. Suica、JRE POINTのキャンペーンまとめ【4月5日最新版】 チャージで最大2万ポイント還元のチャンス (2026年04月05日)
  3. GoogleがPixelの「日本限定モデル」を予告 4月7日に発表か (2026年04月06日)
  4. 「iPhone SE(第3世代)」が10カ月連続で1位 にこスマの3月中古スマホランキング (2026年04月06日)
  5. JALモバイルに対抗してANAモバイルがついに登場――MVNEたちはJAL、ANAに続く「経済圏」を見つけ出せるか (2026年04月05日)
  6. スマホもノートPCも100W給電「UGREEN USB Type-C ケーブル」が43%オフの743円に (2026年04月06日)
  7. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  8. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【4月4日最新版】 ポイント10倍多数、1万ポイント還元も (2026年04月04日)
  9. 「Google Pixel 10a」発表 ディスプレイを強化、アウトカメラがフラットに 4色を実機でチェック (2026年02月19日)
  10. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【4月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のチャンスあり (2026年04月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年