楽天は2月12日、2020年通期(2020年1月〜12月)の連結決算を発表した。通期の連結売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり需要」などに支えられ、前年比で15.2%増の1兆4555億円となった。一方、通期の営業損益は、楽天モバイルにおける基地局建設計画の前倒しなど、先行投資が影響して1027億円の赤字(※1)となった。
(※1)Non-GAAP指標に基づく計算結果。IFRS(国際会計基準)に基づく計算では938億円の赤字
この記事では、決算説明会における楽天モバイルに関する説明を簡単に紹介する。
楽天モバイルのMNOサービスについては、2020年12月30日付で申し込み数(※2)が200万件を突破していた。今回の決算説明会では、2021年2月8日付で申し込み数が250万件を突破したことが発表された。「Rakuten UN-LIMIT」シリーズの1年間無料提供は単純計算すると残り「50万回線」となる。
(※2)申し込みを受理した件数で、実際の契約数とは異なる
申し込み数の伸びについて、楽天モバイルの山田善久社長は「各種キャンペーンの奏功や自社回線エリアの拡大」によるものだとしている。今後は「ヘビーユーザーにとどまらない、あらゆるユーザー層を想定した『Rakuten UN-LIMIT VI』の導入により、さらに大幅な顧客獲得ペースの拡大が望める」という。
楽天モバイルの課題の1つが、自社エリアの広がりだ。2021年1月末時点における人口カバー率は74.9%と、競合キャリアと比べると見劣りする。東名阪など都市圏に限ると、ある程度エリアの“面”が出来上がっているものの、地方部ではそれほど広がりが見られない。
ただし、先述の通り、楽天モバイルでは基地局建設計画を5年ほど前倒し、2021年夏をめどに人口カバー率を96%を達成する方針を立てている。エリア化の進んでいない地域での基地局設置はもちろんのこと、既存エリアにおける基地局の高密度化も進めるという。
設置計画の前倒しと高密度化に伴い、LTE基地局への設備投資額は当初計画の6000億円から30〜40%程度の増加(7800億〜8400億円程度)を見込んでいる。
楽天モバイルのLTE/5Gネットワークは、「O-RAN(オープン無線アクセスネットワーク)」に基づいて構築されている。タレック・アミン副社長によると、それを支えるRANソフトウェアを絶え間なく改良を続けており、ミリ波(28GHz帯)を使った5Gでは、下りデータ通信のスループット(実効通信速度)を870Mbpsから1.7Gbps超にまで改善できたという。
基地局の設置やネットワークの運用についても、楽天モバイルでは自動化を進めているという。現時点では、ユーザーのプロビジョニングとアクティベーションにかかる時間は3分未満、マクロ基地局のアクティベーションにかかる時間は5Gで4分未満、LTEで約8分半になっているそうだ。
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