総務省がeSIMを2021年夏までに義務化――eSIMは乗り換えを促進するための特効薬ではない石川温のスマホ業界新聞

» 2021年04月10日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 3月30日に総務省で行われた「スイッチング円滑化タスクフォース(第6回)」において公開された報告書(案)において、2021年夏を目処にeSIMの導入を進めていくと明らかにされた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年4月3日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 確かにeSIMはこれから普及していくことだろう。しかし、eSIMを「キャリアの乗り換えを促す特効薬」と持ち上げるのは、いかがなものか。

 確かにeSIM対応のスマホとeSIMを提供してくれるキャリアがあるととても便利だ。店頭にいくことなく、オンラインで契約でき、すぐにSIM情報をデバイスに書き込める。これまでに何度も利便性を実感している。

 ただ、手続き自体は煩雑で、お世辞にも万人向けとは言えない。乗り換えやeSIMの仕組みなど、全体像を知った上で手続きをすれば問題ないが、一般ユーザーにそこまで求めるのは酷かも知れない。

 そもそも、有識者の先生方はeSIMで契約した経験はあるのか。

 筆者もeSIMの扱いに慣れている方だと思うが、先日、povoでeSIM発行し、iPhone 12 Pro Maxに設定してみたまでは良かったが、「つながらない」と焦ってしまい、eSIMを消去。「再度、ダウンロードすればいいや」と気軽に構えていたら、povoはオンラインでの再発行ができず、お客様センターに電話。それでうまく再発行してもらえず、結局、プラスティックのSIMカードを送ってもらうことになった。実はこのトラブルは、そもそもiPhone 12 Pro Maxに残っていたLINEMOのAPN構成プロファイルが残っていたためにうまく通信ができなかったというのが後からわかった。

 eSIMやプラスティックのSIMカードの再発行に数日間、費やしており、その間、回線は不通であった。サブ回線だったため、全く問題なかったが、これがメイン回線だったら、話にならない。

 一般のユーザーが、はじめてeSIMでキャリアを乗り換えるというのは正直、大変だろうし、そのサポートをしなくてはならない、キャリアにとってみても、オンラインで徹底したサポートをするのは、あまり気乗りがするものではないだろう。

 総務省がeSIMを本気で普及させたいのであれば、スイッチング、いわゆる乗り換えを狙ったものではなく「2枚目」需要を喚起すればいいのではないか。

最近のスマホはSIMカードとeSIMが両方入るのだから、SIMカードスロットには今まで契約しているキャリアの、できるだけ安いプランのSIMカードを挿しつつ、eSIMにはIIJmioのようにデータ通信料金の安いプランで契約する。このような2枚SIMを活用するというやり方であれば、eSIMのMNPで失敗するリスクもないし、ユーザーは簡単に通信料金を安くできる。

 キャリアの回線は維持され、決済やコンテンツサービスで稼ぐことができるし、MVNOも新規契約を獲得でき、通信料金も稼げる。

 総務省もいきなり「eSIMで乗り換え促進」ではなく、2枚目需要という、もうちょっとユーザー視点で消費者を保護する、現実的な提案はできないものなのか。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2026年06月11日 更新
  1. スマホの“ミニ”外付けディスプレイが流行の兆し? 若者がインカメラではなく「アウトカメラ」で自撮りする理由 (2026年06月10日)
  2. IIJmioのスマホ大特価セール 中古「iPhone SE(第3世代)」が4980円、「OPPO Reno11 A」が9980円など (2026年06月09日)
  3. ドコモの通信障害に“AIエージェント”が先手 「SNSの投稿」も常時監視するオペレーションセンターの裏側 (2026年06月10日)
  4. JR東日本が2027年春から「二次元コード乗車券」を導入 近距離券売機での磁気券は順次廃止へ (2026年06月09日)
  5. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  6. 「Pokemon GO Fest 2026:東京」のモバイル通信は快適だった? 初対策の楽天モバイルがピーク時に“最速”も記録 (2026年06月10日)
  7. iOS 27は「iPhone 11」以降で利用可能 iOS 26から据え置きで過去最大のiPhoneに対応 (2026年06月09日)
  8. あのシャープが「ウェアラブル」に参戦? スマホ「AQUOS」新製品予告 詳細は16日に発表 (2026年06月10日)
  9. あなたの街の「スマホ決済」キャンペーンまとめ【6月版】〜PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ (2026年06月08日)
  10. 「iPadOS 27」発表 Siri AI対応で生産性が向上、スクショから調べ物も可能に (2026年06月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー