総務省は2月26日、MNP(携帯電話番号ポータビリティー)の活性化に向けた検討を行う有識者会議「スイッチング円滑化タスクフォース」の第5回会合を開催した。今回は、1月27日に行われた第4回会合で示された「論点案」をもとにして、検討のたたき台となる「方向性案」が示された。
方向性案は、基本的に論点案を踏襲している。大きく分けると「eSIMの促進」「SIMロックの解除の一層の推進」「キャリアメールの『持ち運び』の実現に向けた検討」「MNPの手続の更なる円滑化に向けた検討」の4点が改めて示された。
この記事では、自ら無線通信設備を持つ通信事業者を「MNO」、MNOから設備を借りて通信サービスを提供する通信事業者を「MVNO」、MNOとMVNOはまとめて「キャリア」と呼ぶ。
ネット経由で契約情報を書き込める「eSIM」については、スマートフォンに内蔵されるものを念頭に置いた上で、2021年夏をめどに早期導入を進めることが適当である旨が盛り込まれた。MNOとMVNOが同時期にeSIMを使った通信サービスの提供を開始することも前提に置いている。
eSIMを巡っては、特にMVNOにおける契約回りのオペレーション、契約時の本人確認、ユーザーのリテラシー(eSIMを書き込む操作など)、eSIM自体のセキュリティ確保が課題として指摘されている。そこで、今回の方向性案では以下のような方針も盛り込まれている。
(※2)RSP:Remote SIM Provisioning(リモートSIMプロビジョニング)
端末に対するSIMロックについては、原則として禁止する方向性案が示された。「SIMロックは端末の詐取や盗難を防ぐ効果がある」という旨の意見もあるが、詐取や盗難への対策は代替的な手段を最大限に活用して対応するように求めている。ここでいう「代替的な手段」は、分割払い(割賦)での購入時における審査の厳格化や、IMEI(端末の識別番号)による通信制限のことを指す。
ただし、SIMロックは完全に禁止されるわけではない。「SIMロックでなければ対応できないリスクが明らかに」なり、リスク回避策としてSIMロックが最善であることをキャリアが挙証できる場合に限って認める方向だ。ただし、SIMロックを掛けた端末を販売する場合は、以下のような措置を講じることも求めている。
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