新型コロナの影響でBluetooth市場は鈍化 その中でも成長した分野は?(2/2 ページ)

» 2021年04月16日 14時22分 公開
[房野麻子ITmedia]
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コロナ禍でも伸びたウェアラブルやPC周辺機器

 データ転送領域のウェアラブルデバイスやPC周辺機器は、2019年から2020年にかけても成長が見られた領域だ。健康意識の高まりから、ウェアラブルデバイスや医療機器の売り上げがコロナ禍以前に出していた予測を上回る結果となった。

 リモートワークによって、自宅の仕事環境を整えることが必要となり、キーボードやマウスといったBluetoothを使ったPC周辺機器の売り上げも増えた。セイビン氏によると、Bluetoothは何でもつなげるということで、IoTデバイスでも特に利用されている技術だという。2021年には130億台のBluetooth IoTデバイスが使われるようになるとしている。

Bluetooth 2021年に出荷されるBluetoothのウェアラブルデバイスは2億500万台となる予想

 今後、データ転送領域の出荷台数を増やしていくものの1つはウェアラブルだ。2025年には年間出荷台数が4億台に達すると見込んでいる。それ以外でも、ゲーム用や産業用のVR、スマートグラスの領域が大きく成長しており、2025年までに17倍の成長が見込まれている。「まだ母数は少ないが、顕著な成長を見せている領域」(セイビン氏)だという。

Bluetooth データ転送領域をけん引するのはウェアラブルデバイス。VR機器やスマートグラスにも期待

 位置情報サービス分野については、コロナ禍で外出できず、機材を据え付けることができなかったため、2020年の成長は鈍化した。実装数は予測を25%も下回ったという。しかし、資産追跡やソーシャルディスタンスの確保、在席率の管理などに位置情報ソリューションが有用であるという認識が深まっているため、今後は伸びていくことが予想されるという。

 現在、最もBluetoothの位置情報サービスを導入しているのは小売業界で、導入されるものの4分の3以上が屋内ナビゲーションだという。今後も資産追跡や屋内測位システムのソリューションは成長を維持。2025年までに資産追跡ソリューションは51万6000件の導入、屋内測位サービスの導入件数は今後5年間で2倍の成長が見込まれている。

 コロナ禍によってヘルスケアという新たな領域も加わった。医療分野でBluetoothの位置情報サービス導入件数が2025年までに5倍に成長すると予想されている。

Bluetooth 位置情報サービスの成長が回復し、今後は資産追跡や屋内測位サービスを中心に成長する見込み

スマートホームやスマート家電への関心が高まっている

 最も出荷台数が多いのはオーディオストリーミング領域だが、最も早い成長を遂げている分野がデバイスネットワーク領域だという。2020年はコロナ禍によって導入件数が鈍化したが、自宅で過ごす時間が増えたことによって、スマートホームやスマート家電、スマート照明といったホームオートメーションに対する関心は高まっている。

 また、オフィススペースへの関心が高まることによって、ビル管理会社がスマート照明への関心を高めているそうだ。マルチセンサーを搭載するスマート照明を導入することで、節電だけでなく、在席率や照明のレベル、空気の状態などをモニターし、制御できるようになる。大規模な導入も増えており、セイビン氏は「スマート照明はBluetoothの未来を主導するような大きな領域になっていく」と断言した。

Bluetooth 急速に成長しているデバイスネットワーク分野
Bluetooth デバイスネットワーク分野はスマート照明がけん引すると予想。この領域では標準化が非常に重要で、Bluetooth SIGは、照明制御機器間のデジタル通信規格の標準化を行う業界団体のDALI Allianceとともに、照明器具の制御および照明器具間の無線制御の仕様化を共同で行っている
Bluetooth 「Bluetooth市場動向2021」のポイント
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