Bluetooth技術の管理や仕様決定、プロモーションを行っている非営利の業界団体Bluetooth SIG(Bluetooth Special Interest Group)が、「Bluetooth市場動向2021」を発表。Bluetooth SIGで事業戦略を担当しているマーケットデベロップメント シニア・ディレクターのChuck Sabin(チャック・セイビン)氏が日本の報道陣にオンラインで解説した。
Bluetooth SIGは、Bluetooth市場全体の成長について、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、Bluetoothデバイスの年間出荷台数の伸びは1年後ろ倒しとなったが、非常に堅調な成長を続けていくとの見解を示した。
ABI Researchの予測では、2025年にBluetoothデバイスの年間総出荷数は64億台になる。スマホやタブレットといったプラットフォーム機器へのBluetooth搭載は飽和状態になっており、これから伸びていくのは周辺機器。2025年には年間出荷台数の7割が周辺機器になると予測している。
BluetoothのバージョンはClassic、Classic+LE(Low Energy:低消費電力の通信モード)のデュアルモード、LEのみの3種類がある。Classicやデュアルモードの成長はほぼ横ばいで、2021年から2025年にかけてLEのみのデバイスが3倍の成長を遂げると予測されている。
Bluetoothは、オーディオストリーミング、データ転送、位置情報サービス、デバイスネットワークの4つの用途で使われている。
最も出荷量の大きい分野は、ヘッドフォンやスピーカーとなどのオーディオストリーミングで、年間出荷台数が13億台。次にウェアラルブル機器やPC周辺機器などのデータ転送分野で、10億弱の台数が出荷されている。位置情報サービスと、制御・監視システムといったデバイスネットワーク分野は出荷台数が他の2つと比べて小さいが、最も速く成長している領域だという。
オーディオストリーミング機器の出荷台数は、2021年で13億、2025年には17億と予測されている。2020年はコロナ禍の影響でスマホの出荷台数が鈍化し、これに伴ってこれらの伸びも抑えられ、2019年から2020年にかけての出荷台数に伸びはない。
ただ、その中でもBluetoothヘッドフォンがオーディオストリーミング分野をけん引しており、2021年に6億3300万台の出荷台数が見込まれている。これはオーディオストリーミング領域の約半数を占める。
また、Bluetoothスピーカーの需要も毎年1.5倍の勢いで成長している。2025年までに約1億3000万台のスピーカーが出荷されると予想されている。
オーディオストリーミング分野で最も有望視されている技術がLE Audioで、特に期待されているのがBluetoothイヤフォンだ。今後5年間、毎年3.5倍の成長が見込まれている。2025年に見込まれる出荷台数は5億2000万台で、モバイルアクセサリー全体の6割を占める。もう1つが補聴器だ。2024年までに年間9200万台のBluetooth補聴器の出荷が見込まれている。
LE AudioにはAudio Sharingによるブロードキャスト機能が搭載されており、補聴器の機能を拡張するテレコイルやヒアリングループの代替となる。例えば空港や劇場、映画館などで使われることが見込まれるという。セイビン氏によると、難聴者の団体やヒアリングループメーカー各社が非常に活発に検討しており、LE Audioに対し大きな期待を寄せているという。
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