NTTドコモと三菱UFJ銀行は5月11日、デジタル金融サービス提供に向けた業務提携契約を締結した。取り組みの一環として、両社は2022年中にdポイントがたまる「デジタル口座サービス」の提供を開始する予定だ。
両社の提携は、生活様式の変化に伴う社会の「非対面化」「リモート化」が進む中、「利便性」「利得性(おトクさ)」と「安全性」を両立したデジタルサービスを提供することで、両社の顧客に対する新たな価値創出を目指して行われている。
提携は大きく4本の柱から構成される。
三菱UFJ銀行が提供するバンキング機能を活用して、ドコモ契約者向けの預金口座サービスを共同で開発する。この預金口座をドコモの通信料金や「dカード」の支払い口座として登録すると、dポイントが毎月付与される他、dカードや「d払い」の利用履歴なども合わせて確認できるようにするという。
新たな金融サービスの企画や開発、データの利活用を目的とする合弁会社を共同出資で設立することを検討する。
現在、三菱UFJ銀行の預金口座は、d払いや「ドコモ口座」のチャージ(入金)に対応していない。今回の業務提携を機に、同社口座からd払い/ドコモ口座のチャージを行えるようにする方向で検討を進めるという。
「ドコモ契約者用の住宅ローン」など、両社が共同で提供する新しい金融サービスの企画と検討を進める。
三菱UFJ銀行(当時は三菱東京UFJ銀行)といえば、2008年にKDDIとの共同出資で「じぶん銀行」を設立している。
じぶん銀行は2019年にauフィナンシャルホールディングス(KDDIの金融中間持株会社)の子会社となり、商号を「auじぶん銀行」と改めたが、三菱UFJ銀行は現在も同社株式の32.8%を保有している。
三菱UFJ銀行の視点に立つと、ドコモとの提携は「2社目」ということになる。ただし、KDDIとの提携とは異なり、設立を検討する合弁会社は「サービスの企画や開発とデータの利活用」を目的とする会社で「金融機関」ではない。金融サービスや決済サービスは、あくまでも三菱UFJ銀行やドコモが提供する形態を想定しているようだ。
提携形態の違いがどのような影響を及ぼすのか、注目したい。
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