冒頭で触れた通り、バッファローは2019年以降に発売したWi-Fi 6対応ルーター/中継機をEasyMesh対応とする予定だ。その中には、既に販売を終了したモデルも含まれる。販売終了モデルに対する新機能の追加は「めったにない」わけではないが、それほど頻繁でもない。
旧モデルも含めてEasyMeshに対応させることにしたのは、それなりの理由がある。
バッファロー 今回、弊社が2019年以降に発売したWi-Fi 6ルーターと中継機をWi-Fi EasyMeshに対応させることにしました。販売を終了したモデルも含みます。
新型コロナウイルスの影響で自宅のネットワーク環境の見直しを行ったお客さまの多くは、まず親機、つまりルーターを買い換えています。この1年で購入されたルーターの多くはWi-Fi 6対応です。「速さ」や「エリアカバー」を期待してのことだと思います。
よほどのことがなければ、Wi-Fiルーターは一度購入したら数年間は買い換えられません。それなら、全てのWi-Fi 6対応モデルにEasyMeshを載せた方が喜んでもらえると考えました。
弊社は、Wi-Fi 6ルーターをエントリーからフラグシップまで幅広く取りそろえています。どのモデルがピッタリなのかは自宅の構造や使い方によって変わります。引っ越しや設置場所の変更をきっかけにエリアカバーに不満を持った際に、手持ちのルーターをムダにすることなく、EasyMesh対応機器を買い増すだけでエリア品質を広げられるようにしておけば、長期的な(お客さまの)満足度も向上するとも考えています。
バッファローのWi-Fi 6ルーターは、一番古いモデルで発売から2年8カ月程度である。Wi-Fiルーターは壊れるまで使うユーザーが多いとされるが、その観点に立つと一番古いモデルですら「新しい」。全モデルをWi-Fi EasyMeshに対応させる判断は、中長期的なユーザーメリットをもたらす意味では正解だろう。
ただ、「言うは易し、行うは難し」という言葉にもあるように、全モデルを対応させることには苦労もあるようだ。
バッファロー 今回対応するのは、全部で11機種あります。モデルによって採用するチップセットは異なりますし、アンテナの設計も違います。「全モデル対応」をうたうとなれば、開発上の苦労はかなりのものとなります。
先ほども言いましたが、弊社のWi-Fi 6ルーターはエントリーからハイエンドまで取りそろえていて、性能に開きがあります。それでも、どのモデルを選んでも今後の拡張性は同じであるべきだと考えました。つながりやすさを提供するために開発陣が一丸となって頑張った結果、全モデルでWi-Fi EasyMeshに対応するめどが立ちました。
コロナ禍でテレワークが広がったことに伴い、東京都心から郊外やさらに遠く離れた地方に引っ越す動きが散見される。都心のワンルーム住まいを前提に買った小ぶりのルーターでは、郊外や地方の広い家ではエリアをカバーしきれないことは十分に考えられる。
このようなシチュエーションでも、EasyMeshに対応しているルーターなら、EasyMesh対応のルーターや中継機を買い増すことで、大がかりな出費を避けつつエリアを広げられる。
アップデートの苦労はあれど、「つながらない」という問題に真摯(しんし)に向き合った結果、バッファローのWi-Fi 6ルーター/中継機は、全機種でWi-Fi EasyMeshに対応するめどが立った。
しかし、バッファローは「単に対応させるだけではダメである」と語る。
バッファロー もちろん、ただ(Wi-Fi EasyMeshに)対応させるだけではダメです。お客さまが快適に使えてこそ、という観点は忘れてはいけません。
弊社は、検証用の3階建ての日本家屋を用意しています。日本のメーカーだからこそ、日本国内で利用されることを考えて、実利用環境を極限まで再現して接続試験を行っています。
加えて、弊社では設定の簡易化も大事にしています。PCやスマートフォン、中継器の接続を簡単にする「AOSS」という仕組みをWi-Fiの黎明(れいめい)期から導入してきたことは、その現れです。
今回のWi-Fi EasyMesh対応では、AOSSや業界標準のWPS(Wi-Fi Protected Setup)を使った無線でのセットアップに加えて、親機(コントローラー)と子機(エージェント)をLANケーブルでつなぐだけで設定が完了する仕組みも用意しました。「目に見えない電波を拡張する」というわかりづらい作業を、容易に行えるようにしています。
バッファローの新たな取り組みであるWi-Fi EasyMeshへの対応。注目を集めるメッシュWi-Fiを簡単に使えるようにすることでWi-Fiをより便利に、快適に使えるようにしたいという思いが随所からあふれてくるようだ。
働き方の変化と同様に、インターネットの使い方も不変ではない。利用シーンの変化に合わせて、AirStationは「住環境に合わせられるWi-Fiルーター」に進化したといえるだろう。
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