バッファローは6月3日から順次、同社が2019年以降に発売したWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応するルーターと中継機において、メッシュWi-Fi規格「Wi-Fi EasyMesh」への対応を進める。これにより、同規格に対応するWi-Fiルーターや中継機を使ってメッシュWi-Fiネットワークを簡単に構築できるようになる。
格子状に無線LANネットワークを構築する「メッシュWi-Fi」は従来、各メーカーが独自の規格を使って実現してきた。バッファローでも2018年、「AirStation connect」というブランドで独自のメッシュWi-Fiルーター/中継機をリリースしている。
しかし、メーカー独自規格のメッシュWi-Fiでは、ルーターや中継機を全て同じメーカーでそろえる必要がある。そのため、メッシュWi-Fi環境を構築するにはルーターや中継機を“丸ごと”買い換えなければならないことが多い。一気に機器を買い換えるとなると、コスト面でどうしても不利になってしまう。
一方で、一般的なWi-Fi中継機は、相手方のWi-Fiルーターのメーカーを問わず動作する上、価格も手頃だ。しかし、ルーター(親機)からはクライアント機器(子機)の1つとして認識されるため、電波の強度に応じたつなぎ替え(ハンドオーバー)など、親子の協調動作には対応できない。
そこで、IEEE 802.11シリーズの無線LAN規格の標準化に取り組んでいるWi-Fi Allianceは2020年、メーカーを問わず利用できるメッシュWi-Fi規格としてWi-Fi EasyMeshを策定した。同規格に準拠した機器なら、メーカーの組み合わせを問わずメッシュWi-Fi環境を構築できる。
Wi-Fi EasyMeshに対応する無線LANルーターや中継機は、既に複数登場している。ただし、国内ではそれをアピールしているメーカーはほとんど見受けられない。
Wi-Fi EasyMeshには、初期バージョンの「Release 1」と、より高度な機能に対応した「Release 2」の2バージョンが存在する。現行のWi-Fi EasyMesh対応機器の多くはRelease 1に準拠しているが、バッファローの対応製品は全てRelease 2に準拠する。
Release 2で利用できる機能は以下の通りとなる。
(※1)動的周波数選択:5GHz帯の無線LANにおいて利用できる周波数帯を自動的にスキャンする機能
(※2)IEEE 802.11r規格に準拠
バッファローのWi-Fi EasyMesh対応製品では、Release 2のオプション機能となる高速ローミング機能も利用できる。高速ローミングはクライアント機器側にも対応が必要となるが、通常のローミングでは数秒待たされることもあるつなぎ替えが、高速ローミングでは一瞬で行える。同社の独自検証によると、高速ローミングは多くのハイエンドスマートフォンで利用できることが確認できたという。
なお、Release 2に対応する機器は、Release 1に準拠する機器と組み合わせることが可能だ。ただし、この場合はRelease 2で追加された機能を利用できないので注意しよう。
バッファローの対応製品では、メッシュネットワーク用の電波帯域を2.4GHz帯と5GHz帯で自動切り替えする独自機能を備えている。例えば、メッシュネットワーク用に2.4GHz帯の電波を使っている場合、電子レンジが動き始めると、自動的に5GHz帯に切り替える。逆に、メッシュネットワーク用に5GHz帯の電波を使っている場合、5GHz帯で連続した信号を検出すると、自動的に2.4GHz帯に切り替える。
セットアップは、WPS/AOSSだけではなく、有線LANによるネゴシエーションにも対応している。
先述の通り、Wi-Fi EasyMeshに対応予定なのは、2019年以降に発売されたWi-Fi 6対応ルーター/中継機となる。いずれもファームウェアの更新が必要となる。具体的な対応予定機種は以下の通り。
ルーターは、Wi-Fi EasyMeshの「コントローラー(親機)」「エージェント(子機)」のどちらとしても利用できる。
中継機は、Wi-Fi EasyMeshのエージェントとしてのみ利用できる。
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