インタビュー
» 2021年06月25日 11時50分 公開

シャープに聞く「AQUOS R6」開発の舞台裏 ライカとの協業から1型センサー搭載まで開発陣に聞く(2/3 ページ)

[小山安博,ITmedia]

極限までレンズを薄くして1型センサーをスマホに搭載

 レンズは前モデルが6枚構成だったところを7枚構成になり、本体の厚さの中にぎゅっと詰め込んだ。レンズ性能を下げればスマートフォンの厚さに収まるが、できるだけライカ側の要求水準を満たしつつ、「ありとあらゆることをやった」(前田氏)ことで、どうにか収めたという。

AQUOS R6 解像性能がアップし、ゆがみも抑えた明るい7枚レンズを搭載

 極限までレンズを薄くしたこともあるが、新たに今回採用したOLEDも有効だったそうだ。さまざまな工夫を組み合わせることで、ようやくカメラモジュールを一般的なスマートフォンの厚みに収めたが、これも「レンズ設計部門が社内にあるからこそできた」と前田氏は話す。社内なので密なコミュニケーションができたし、新しい技術を採用して設計ができたそうだ。カメラモジュールは自社製造だが、既存の設備が使えないため設備改修も必要だったそうだ。

 そもそも1型センサーのコスト自体が「5つの(スマートフォン用の小さい)センサーよりも高いセンサー」(小野氏)と高額。しかも過去の1型センサー搭載スマートフォン「LUMIX DMC-CM1(パナソニック)」とは異なり、防水性能などを実現するために沈胴式のレンズを採用できないなどの制約もあった中、これを実現できたのはシミュレーション技術やレンズの素材など、これまでの技術の進化があったからだという。

8Kよりも原点に戻って画質を伝える

 1型センサーを搭載したことによるデメリットの1つは、画素数が2020万画素しかないという点。静止画としては大きなデメリットにはならない画素数だが、8K動画を撮影するには7680×4320ピクセル、約3318万画素が必要になる。そのため、今回は8Kよりも「原点に戻って画質をしっかり伝えたい」(小野氏)ということから、最大サイズのセンサーを搭載することを選択した。

 8Kに関しては「現時点では普及段階」(小野氏)であり、最大でも4Kの環境がほとんどという状況。4K環境でしか映像が見られないため、データ容量が大きくなる8Kは普段使われず、一般的なスマートフォンに求められるのは、幅広く楽しめる4K動画で、将来的にはアップコンバートで8K対応できるという方向で企画したそうだ。

 8Kだけでなく、高画素のセンサーを搭載すると、複数の画素を1つの画素として扱うピクセルビニングなどと呼ばれる技術も使える。昨今の、特にハイエンドスマートフォンでは一般的になった技術で、複数のセンサーを1つのセンサーと見なすことで、1ピクセルあたりのサイズが大きくなる。

ナイトモードは他社に負けないレベルに

 センサーサイズを単純に大きくすれば、1ピクセルあたりのサイズも大きくできるので、AQUOS R6では使われていない技術だが、単にピクセルサイズを大きくするだけならばこの方法もあった。

 しかし、「光が正面から入ってきた場合はいいが、少しでもズレるとカラーフィルターにカットされてしまう」と前田氏。レンズから入った光をセンサーに取り込む際の課題があるため、最初から大きなピクセルの大型センサーの方が有利という認識だ。その結果、特に暗所撮影時にしっかりと色が再現できるようになったという。

 AQUOS R5Gでは「ナイトモードでは他社に対して完敗に近かった」という状況から、「他社と撮り比べても負けないレベルになった」と小野氏は胸を張る。大型センサーに加えて、連写合成によるノイズ低減技術などによって夜景撮影を高画質化。コンピュテーショナルフォトグラフィーを活用した画像処理は、「デジカメにはない部分で、カメラとITを組み合わせたスマートフォンならではの技術」と小野氏はアピールする。

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