発表された途端、会場でどよめきが……ってオンライン発表なのでそんなのはないのだけど、そのくらい盛りあがったといっても過言じゃなかったシャープの「AQUOS R6」。
ライカだー、とか、センサーが1型になったーとか、カメラが1つしかないーとか話題になったのだけど、それのどこがすごいのか。
発表会の後、体験会で実機に触れる機会もあったので、それも合わせてちょいと突っ込んでみたい。
AQUOS R6のカメラのキモは、何といってもイメージセンサーがデカくなったこと。
デジタルカメラのキモはレンズを通って入ってきた「光」を受けて信号に変換する「イメージセンサー」なのだけど、それが大きければ大きい方が光を多く受け取れるので画質面で有利になるのは直感的に分かるかと思う。実際にはいろんな要素が絡んでくるのだけど、大ざっぱにいって「デカいのは正義」と思っていい。
センサーがデカい方が、高感度に強くダイナミックレンジも広くなる。だから大きなセンサーを使うデジタル一眼は高画質なのだ。
で、AQUOS R6はスマートフォンでは最大の1型センサーを搭載したのだ。
AQUOS R5Gは1/2.55型だったのに対し、AQUOS R6は面積で約5倍の1型センサーを搭載。ハイエンドコンパクトデジカメであるソニーのRX100シリーズやキヤノンのPowershot Gシリーズ、パナソニックのTXシリーズなどで採用されているものと同じだ。マイクロフォーサーズよりは小さいけど、スマートフォンや普及型コンパクトカメラより大きい。
最近は1型に近いサイズのセンサーを搭載するスマートフォンもでてきているが、それでも1型のセンサーを搭載したスマートフォンは「現行製品」にはない。
センサーサイズが大きくなると、当然それに合わせた径のレンズが必要になり、レンズも分厚くなる。分厚くなるとスマートフォンの厚みに収まらない。そう簡単にはいかないのだ。
でも実物を見ると、厚くないのである。このくらいなら全く気にならないというか、普通のスマホの厚みだ。
それを実現するレンズがこれ。
7枚の複雑な形状のレンズの組み合わせだ。これで周辺部の画質も確保。
ちなみに、AQUOS R6のボディーの上に、イメージセンサーとレンズを並べて置いてみた写真がこちら。よくこのボディーにこのセンサーとレンズが入ったもんだと感心する。
実は2015年に1型センサーを搭載したスマートフォンがあった。パナソニックの「DMC-CM1」だ。「DMC」というデジタルカメラの型番がつくことから分かるように、スマートフォンの機能を持つデジタルカメラという位置付けだったが、これはレンズが沈胴式。撮影時にはレンズがちょっと飛び出てくる。
AQUOS R6にはそういう機構もなく、スマートフォンの薄さに収めたのである。すごい。
そのレンズはライカのSUMMICRON(ズミクロン)。焦点距離は35mm判換算で19mm相当とかなり広角でF1.9だ。
パナソニックのDMC-CM1は28mm相当でF2.8。AQUOS R6は薄くなった上にレンズがより明るくなっているのもすごい。
1型センサー搭載という力業で基本性能を上げたAQUOS R6だったが、スマートフォンなので当然スマートフォンならではの技も持っている。
1つはiToFを使ったレーザーAF。暗所でもこれを使ってピントがすっと合う。
さらに、コンピュテーショナルフォトグラフィーを駆使したスーパーナイトモード(今までのAQUOSはこれが弱かった)やAIオートも利用でき、マルチフレーム処理も行っている。
残念ながら光学式手ブレ補正は持たないけれども、そこはコンピュテーショナルフォトグラフィーの出番で、超高速連写した中からブレてないカットを選ぶなど、ブレないような工夫はなされているそうだ。
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