OPPO「Reno5 A」の対抗馬に Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」の実力と狙いを検証する石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2021年06月26日 15時32分 公開
[石野純也ITmedia]

日本市場で「再定義」を連発するXiaomi、対抗するのはReno5 A

 2021年のXiaomiは、日本市場で「再定義」をテーマにさまざまな端末を投入している。2月にはソフトバンクとタッグを組み、同社独占の「Redmi Note 9T」を2万1600円で発売。このときに掲げたテーマが、「ミドルレンジの5Gスマートフォンの再定義」だった。日本で5Gのサービスが始まったのは、20年3月のこと。当初流通していた端末はハイエンド中心で、徐々にミドルレンジモデルが5Gに対応しているなか、エントリークラスの価格帯で5Gスマートフォンを投入したことに大きな衝撃を与えた。

Mi 11 Lite 5G 2月には、ミドルレンジの5Gスマートフォンを再定義するとうたったRedmi Note 9Tがソフトバンクから発売された。2万円台前半という価格が、大きな話題を集めた

 4月にも、「ミドルレンジスマートフォンの再定義」をうたう「Redmi Note 10 Pro」を発売。こちらは、5Gには非対応だったが、ハイエンドモデルと同等の1億800万画素のカメラを搭載しながら3万4800円という価格を打ち出し、話題を集めた。これに対し、Mi 11 Lite 5Gは「超薄型5Gスマートフォンの再定義」というテーマが掲げられた。6.81mmの薄いボディーの中に、処理能力の高いSnapdragon 780Gや6400万画素カメラ、FeliCaを詰め込み、ミドルハイの端末として割安感のある4万3800円で販売するというのが、このメッセージに込められた意味とみていいだろう。

Mi 11 Lite 5G Redmi Note 10 Proは、価格ではなく、主にカメラ機能でミドルレンジの再定義を狙った1台。3万円台半ばの端末ながら、1億800万画素のカメラを搭載する

 Mi 11 Lite 5Gの仮想敵は、発表会でもたびたび比較対象に挙げられていたOPPOの「Reno5 A」だ。Mi 11 Lite 5Gのメモリ(RAM)が6GBのバージョンは、欧州だと369ユーロ(約4万8800円)。FeliCaに対応しながら海外より安価な4万3800円に設定したのは、Reno5 Aと全く同じ価格を打ち出し、仕様面での優位性を強調したいという思惑がありそうだ。発表会では、Reno5 AとiPhone 12の主要なスペックを挙げ、同額のReno5 Aには仕様面で、一部のスペックが近いiPhone 12とは価格面で勝っていることが語られた。

Mi 11 Lite 5G
Mi 11 Lite 5G
Mi 11 Lite 5G 発表会で最も比較対象として多く名前が挙がったのが、OPPOのReno5 Aだった。価格も同じで、性能がより優れていることが強調された

 Reno5 Aは、SIMフリー市場でトップクラスの売れ行きを誇る端末。日本市場で重視されるおサイフケータイや防水・防塵(じん)を満たしつつ、ミドルハイのスペックで4万円台前半を打ち出したことが評価された。BCNの販売データを見ると、Reno5 Aは発売翌週にSIMロックフリースマートフォンで販売数1位を獲得。翌週も1位を継続している。先代のReno3 Aも1年を通して売れ続けていた端末で、4万円台前半の価格では群を抜いている。

 Xiaomiが2021年に投入してきた端末も、SIMフリー市場では好評を博していたが、Reno Aシリーズに対抗するラインアップが欠けていたのも事実。その穴を埋め、SIMフリー市場でのシェアを取りにいくための端末がMi 11 Lite 5Gというわけだ。

Mi 11 Lite 5G 発売以降、好調な売れ行きのReno5 A

 一方で、アプローチの方法は、XiaomiとOPPOで異なる部分もある。OPPOはReno Aシリーズを日本専用モデルと位置付け、海外に同型のモデルはない。グローバルモデルの一部をカスタマイズして日本仕様にしたのではなく、おサイフケータイや防水・防塵以外のスペックや仕様、価格まで含めて、日本市場のボリュームゾーンにフィットするように仕上げた端末だ。これに対し、Mi 11 Lite 5Gはグローバル版とほぼ同仕様。Xiaomiで東アジア担当ジェネラルマネージャーを務めるスティーブン・ワン氏によると、FeliCaの搭載を前提にして、グローバル版の開発が進められたという。より日本化を目指すOPPOと、グローバルでのスケールメリットを重視したXiaomiの違いが出た部分といえそうだ。

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