インタビュー
» 2021年06月24日 15時00分 公開

なぜSIMフリーでFeliCaを搭載? Xiaomiスティーブン・ワン氏に聞く「Mi 11 Lite 5G」開発秘話(1/2 ページ)

Xiaomiが発売する「Mi 11 Lite 5G」は、SIMロックフリーながらFeliCa(おサイフケータイ)に対応する。本機を日本投入する背景を、スティーブン・ワン氏に聞いた。FeliCaを搭載するにあたり、特に苦労したのが「本体の薄さ」だったという。

[石野純也,ITmedia]

 Xiaomiは、SIMロックフリースマートフォンとして日本で「Mi 11 Lite 5G」を7月2日に発売する。同モデルは、Mi 11シリーズの廉価版という位置付けで、日本での価格は4万3800円(税込み)。ミドルレンジモデルのど真ん中といえる価格帯だが、Xiaomiの代名詞でもあるコストパフォーマンスの高さは健在だ。

 その名の通り、5Gに対応しているのはもちろん、プロセッサにはSnapdragon 780Gを採用しており、パフォーマンスが高い。90Hz駆動で6.55型の有機ELディスプレイや6400万画素のメインカメラを搭載しているなど、処理能力以外のスペックにも目を見張るものがある。これだけの機能を備えながら、Mi 11 Lite 5Gは、厚さがわずか6.81mm。重量も159gしかなく、非常に軽いスマートフォンに仕上がっている。

Mi 11 Lite 5G Xiaomiが7月2日に発売する「Mi 11 Lite 5G」

 こうした機能以上に注目したいのが、同モデルがXiaomiにとって初のおサイフケータイに対応したスマートフォンであることだ。同機能はソフトバンクが独占販売した「Remi Note 9T」も対応していたが、キャリアを問わずに単体で購入できるSIMロックフリーモデルでは初の機能だ。ミドルレンジのSIMロックフリースマートフォンでは、OPPOの「Reno A」シリーズがおサイフケータイに対応し、大ヒットしたことが記憶に新しいが、Mi 11 Lite 5Gは、まさにその市場を狙った端末といえる。

 同モデルを日本に投入した経緯や開発秘話を、Xiaomiで東アジア担当ゼネラルマネージャーを務めるスティーブン・ワン氏にグループインタビューで聞いた。

スティーブン・ワン Xiaomiにスティーブン・ワン氏

FeliCa搭載でいちばん難しかったのが「薄さ」

―― FeliCa対応のSIMフリーモデルは、初めてのことだと思います。開発の経緯や、SIMフリーモデルならではの苦労はあったのでしょうか。

ワン氏 はい。初のオープンマーケットでのFeliCa対応端末です。これは今後、日本でSIMフリーのマーケットが拡大し、需要が高まると考えているからです。ahamoやpovo、LINEMOなど、オンライン専用の料金がいろいろと出てくる中で、SIMフリーのベストなデバイスを出したいと考え、提供を決めました。

 (おサイフケータイ対応にこだわったのは)フラグシップのような使用感を体験していただくためには、FeliCaを搭載する必要があると判断しました。一番苦労した点は、薄さです。Mi 11 Lite 5Gの薄さを維持したままFeliCaを搭載するのが難しいところでした。というのも、FeliCaは通常のNFCより、スペースが必要になるからです。それを入れるために、他の部品をより小さくしています。ディスプレイもガラスではなく、フレキシブルなPOLEDを採用し、薄さを実現しました。一言で言うと、より多くのコストをかけ、この問題を解決したということです。

Mi 11 Lite 5G FeliCaの搭載と薄さの両立が難しかったという

―― POLEDは日本版だけなのでしょうか。POLEDは通常だと、フォルダブルスマートフォンなど、曲げる要素のある端末に採用されていると思います。

ワン氏 いえ。スケールメリットを出すという観点から、全世界でPOLEDを採用しています。

 POLEDはご指摘のように、フォルダブルスマホと同じタイプのものです。採用した理由は厚さを減らすためというのが1つ。もう1つは、ベゼルを細くするためです。端末の下部を見ていただけると分かりますが、一部の部品の上に折り曲げて入れ込んでいます。

Mi 11 Lite 5G 本体を薄く、ベゼルを細くするためにPOLEDを採用

―― ということは、日本版のために全世界のMi 11 Lite 5Gがこの仕様になっているということですか。それは驚きです。

ワン氏 この製品は、(グローバル版を)着手したときから日本で発売したいと思っていました。日本での発売にあたっては、FeliCaを搭載しながら薄いものにしたいと考え、開発を進めてきました。早い段階で搭載をきめ、それに基づいてさまざまな部品を選択しています。

Xiaomiが安く価格を設定しているわけではない

―― ハイエンドのような処理能力をうたっていますが、カメラを見ると、先に発売した「Redmi Note 10 Pro」の方が高いように思えます。2機種は、どのようにすみ分けているのでしょうか。

ワン氏 Xiaomiは、あらゆる消費者に最適な商品をお届けしたいと考えています。Mi 11 Lite 5Gがどういう強みを持っているかというと、1つは5nmの製造プロセスで作られた5G対応のSoC(システムオンチップ)で、動作が高速なことです。デザインも世界で最薄を実現し、FeliCaを含む全体的なパフォーマンスで差別化されています。

 Redmi Note 10 Proは逆で、通信は4Gですが、カメラ性能に強みがあります。ディスプレイも含めてパフォーマンスに優れ、コストパフォーマンスが高い。それでも5GやFeliCaが欲しければMi 11 Lite 5Gを選ぶことになります。

Mi 11 Lite 5G Snapdragon 888と同じ製造プロセスのSnapdragon 780Gを搭載

―― グローバルでは、他にもたくさんの製品がありますが、その中からMi 11 Lite 5Gを選択した理由を教えていただけないでしょうか。

ワン氏 日本市場を見て、できるだけ多くの価値を提供したいと思いました。4万円前後のマーケットは非常に競争が激しくなっていますが、そこでの製品を見ていると、5G対応のプロセッサが不足している影響もあり、昨年(2020年)のテクノロジーをそのまま採用したものや、コストの高騰の影響を受けたものが多くあります。Xiaomiとして、最も破壊的な影響をもたらせる価格帯は、ここだと考えました。

 Mi 11 Lite 5Gには最新の5Gチップが搭載されていて、Snapdragon 780Gの製造プロセスは(Snapdragon 888と同じ)最新のものです。前の世代より格段に速く、高性能になっています。バッテリーの最適化についても、前の世代より優れています。全く新しいデザインを採用し、普通ならコストを削減するための策を取るところに、プレミアムな部品を使っています。デュアルスピーカーやPOLEDを採用することで、この価格帯において、競合との間で最も大きな差別化ができると考えたからです。

Mi 11 Lite 5G Xiaomiの資料より。同価格帯の「OPPO Reno5 A」よりも高スペックであることをアピールする

―― 確かに、このスペックで4万3800円はかなり安いと思います。なぜこの価格を実現できたのでしょうか。

ワン氏 Xiaomiが安く価格を設定しているわけではなく、他社が高く設定しているのだと思います。Xiaomiは公開企業として、価格設定についても透明性を高めています。会社として、ハードウェアでの利益は5%以上出さないとお約束していますし、公開企業なのでその約束は果たさなければなりません。(利益率5%以下と分かっているので)製品価格を見ていただければ、工場での部品のコストの合計がいくらになるのかも推定できます。(Mi 11 Lite 5Gは)5%の利益率で4万3800円ですが、他社ならより大きな価格をつけていると思います。

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