既報の通り、静岡県御殿場市とKDDIは7月12日から、コロナ禍における安全な富士山観光と、リモートでの富士山の魅力発信を両立するための取り組みを開始した。
両者は同日、富士山御殿場口新五合目(静岡県御殿場市)の「Mt.Fuji Trail Station(トレステ)」において今回の取り組みに関する記者説明会を開催した。この記事では、その模様をお伝えする。
今回の取り組みは、大きく分けると以下の4つに分かれる。
これらは富士山の開山期間の最終日である9月10日まで(ハイキングコースに関する施策は10月下旬まで)実施される。ちなみに富士山は去年(2020年)、新型コロナウイルスの影響で開山を見送ったため、今年(2021年)は2年ぶりの開山ということになる。
今回の取り組みについて、KDDI中部総支社の岡部浩一総支社長は「2つの柱」を軸に実施したと語る。1つは、山頂を5G/4G LTEによる富士山頂のエリア化だ。これは携帯通信事業者としての“一丁目一番地”でもある。
もう1つは「訪れた人同士の密や接触を防ぐ施策」と「富士山への登山を見送る人への情報発信」だ。これは、現在の富士山が抱える課題を解決する手段といえる。
KDDIはここ数年、開山期間の富士山頂を4G LTEエリアとしてきた。先述の通り、今年は2年ぶりの開山だが、4G LTEに加えて5Gもエリア化している。
このエリア化は、開山期間中のみ山頂へと5G/4G LTE基地局を設置することで実現している。700Mbpsのエントランス回線(※1)を富士宮口(静岡県富士宮市)から取り回し、それをバックボーンとして使っている。実測ベースでは、au 5Gで下り最大約400Mbpsの速度を達成できたという。エントランス回線を使ったエリア化は、須走口(静岡県小山町)でも実施されている。
合わせて、山小屋での「富士山Wi-Fi」も提供している。これは例年通りの取り組みだ。
(※1)基地局と交換局をつなげる通信回線
なお、登山道やハイキングコースは通年でエリア化されている。山の麓の基地局からカバーしているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.