Xiaomiのスマホが絶好調 世界2位、中国3位の秘密を探る山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

» 2021年08月23日 15時02分 公開
[山根康宏ITmedia]

 Xiaomiのスマートフォン事業が好調だ。各調査会社の報告によると、2021年第2四半期の世界のスマートフォン出荷シェアでXiaomiが初の2位に躍り出た。また中国でも3位に浮上している。日本でも次々と新製品を出すXiaomiは瞬間的な世界1位も見えてきた。Xiaomiの強さを調査会社のレポートから見ていこう。

Xiaomi スマートフォンが絶好調のXiaomi

SIMフリー市場だけでなくキャリアに提供することでシェアを伸ばす

 IDCやCanalysなど大手調査会社が2021年7月に発表した世界のスマートフォン出荷量シェアは、市場に大きな衝撃を与えた。Xiaomiが史上初のシェア2位となったからだ。メディアの中には「Appleが2位から転落」という見出しを付けるところもあったが、例年Appleが強いのは秋の新製品投入直後の第4四半期であり、翌第2四半期にシェアを落とすのは市場では想定済だ。しかし3位に落ちたとはいえ、Appleは前年同期より出荷量を増やしており、iPhoneの販売は決して不調ではない。

 第2四半期の注目は、Huaweiが不在となったグローバル市場で他のメーカーがどこまで数を伸ばせるかだった。中でもXiaomiは既に2021年第1四半期でAppleとの差を詰めており、第2四半期の結果に注目が集まっていたのだ。Xiaomiの2021年第2四半期は出荷量が前年同期比で80%を超える成長を見せ、マーケットシェアは3位Appleの14%を抜いて17%となった。またOPPO、vivoも30%弱の成長でそれぞれシェアを10%に乗せた。

Xiaomi 2021年第2四半期グローバル市場スマホ出荷量(Canalys調査)

 一方、シェア1位のSamsungは出荷量が前年同期比15%にとどまり、シェア1位は守ったものの19%と、Xiaomiとの差はわずかになっている。第2四半期はミドルレンジを中心とした「Galaxy Aシリーズ」を次々と出したものの、中国メーカーに対抗することはできなかったようだ。

 筆者は4月に「Xiaomiの世界2位が見えてきた」との記事を書いた。これは通年2位の意味だったが、第2四半期だけとはいえ堂々の2位の座に上り詰めたXiaomiの勢いはこれからも止まりそうにない。

 日本でも徐々にXiaomiの存在感が高まっている。コストパフォーマンスの高い製品をSIMフリー市場のみならず通信事業者にも提供することで、ユーザーを着々と増やしている。この戦略は他の国でも同様だ。Xiaomiはハイエンドモデルも多数出しているが、ブランド認知度や信頼性ではまだAppleやSamsungには及ばない。「安くても高品質で使いやすい」製品を地道に投入し続けることで、消費者の信頼を少しずつ勝ち取ろうとしているわけだ。

Xiaomi 日本向け最新モデル「Redmi Note 10 JE」。日本専用モデルを出すほど勢いに乗っている

 Xiaomiが徐々にシェアを伸ばしている様は四半期ごとの出荷量のグラフを見ると分かる。IDCの調査を見ると、1年前からXiaomiのスマートフォン出荷量は右肩上がりとなっている。2020年第4四半期は落ち込んでいるが、これはAppleの新製品の影響だ。蛇足ながらこのグラフからはAppleの出荷量がいびつな形状であることも分かるだろう。Appleはおそらく第3四半期のシェアをさらに落とすだろうが、第4四半期には「iPhone 13(仮称)」の登場で1位に返り咲くはずだ。通年でAppleが2位を守れるか、あるいはXiaomiに抜かれるかはiPhone 13のパフォーマンスが大きく影響するだろう。

Xiaomi 2020年第2四半期から2021年第1四半期までの各メーカーの出荷量推移(IDC調査)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月26日 更新
  1. 「駅のQRコードが読み取れない」――ネットに落胆の声 なぜ“デジタル時刻表”が裏目に? (2025年12月25日)
  2. mineo料金プラン改定の真相 最安狙わず「データ増量+低速使い放題」で“ちょうどいい”を追求 (2025年12月25日)
  3. 3COINSで1万1000円の「プロジェクター」を試す 自動台形補正、HDMI入力、Android OS搭載で満足度は高め (2025年12月24日)
  4. 若いiPhoneユーザーの間で「クリアケース」に人気が集まっている理由 すべては“推し”のために (2025年12月25日)
  5. 時刻表が“QRコード”だけになった──SNSで「不便」「むしろ不要」と賛否 横浜市営地下鉄は元に戻すのか? (2025年11月21日)
  6. iPhone 17 Proで話題になった「8倍光学品質ズーム」って何? そのメカニズムを解説 (2025年12月25日)
  7. 関東地方で5G通信が速いキャリアは? ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルでICT総研が比較(2025年12月) (2025年12月24日)
  8. Apple CarPlayもPlayストアも使える車載ディスプレイ「オットキャスト OttoScreen AI」が30%オフの3万5080円に (2025年12月24日)
  9. iPhoneのロック画面で「カメラが起動しちゃった」を防げるようになった! その設定方法は? (2025年12月24日)
  10. 楽天モバイルが「2025年内に1000万回線」の公約を果たせたワケ 次の目玉は「衛星通信」と三木谷氏 (2025年12月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー