「P50 Pro」をようやく発売したHuawei “5Gなし”で今後のビジネスはどうなる?山根康宏の中国携帯最新事情(3/3 ページ)

» 2021年09月10日 16時03分 公開
[山根康宏ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

最高峰のスマートフォンであるP50 Pro だが今後の見通しは厳しい

 ではP50シリーズ以降、Huaweiのスマートフォンはどのように展開していくのだろうか。P50 Proのカメラ性能はスマートフォンカメラのベンチマーク指標の1つであるDXOmarkで最高点を記録しており、今でもゆるぎない性能を有している。今後のモデルがたとえライカとの協業がなくなったとしても、高性能なカメラセンサーとプロセッサのAI制御によるHuaweiのコンピュテーショナルフォトグラフィー技術は、常に業界上位の地位を維持していくだろう。

 また、HarmonyOS 2もスマートフォンだけではなくスマートウォッチやタブレット、さらにスマートTVや家電といったエコシステムを拡大していけばAndroid OS、iOSに次ぐ第三の勢力として存在感を高めていくこともできるだろう。ただしそれが通用するのは現時点では中国国内のみであり、先進国では主要アプリケーションが対応しないことには普及は難しい。スマートフォンも展開もこの先数年は、中国国内に注力せざるを得ないだろうから、HarmonyOS 2のエコシステムも今後は中国で独自に拡大していくと考えられる。

Huawei HarmonyOSのエコシステムはHuaweiのスマートフォン事業の大きな柱となる

 一方、米国政府の制裁が解けないままでは、スマートフォン出荷台数を今より伸ばす、あるいは現状を維持することも難しい。子会社ハイシリコンのKirinプロセッサの製造受託先がなくなりク、QualcommからSnapdragonの供給を受けられるようになったものの、世界的な半導体不足の影響をもろに受けてしまう。これまでQualcommと取引を抑えていたHuaweiへ供給できるプロセッサの量は多くないだろう。

 さらに、5G関連技術のHuaweiへの提供禁止により、今後出てくるスマートフォンは引き続き4Gのみの対応となる。Xiaomiなど中国ライバル各社は既にエントリーモデルも5Gへの切り替えを完了しており、NSA方式だけではなく完全単独5GネットワークであるSA方式へも対応している。通信事業者側もChina Mobile(中国移動)は既に全国にSAネットワークを敷設済みだ。SAにより高速・低遅延・同時多接続という5Gのメリットが生かされるが、4Gデバイスではそれを享受できない。

 2022年2月には北京で冬季オリンピックが開催される。通信企業スポンサーであるChina Unicom(チャイナユニコム)はこのオリンピックで5Gを使ったさまざまなスマートフォン向けサービスを提供予定だ。中国の消費者は2万円台で買ったエントリースマートフォンでも、5G SA方式によるインタラクティブなサービスを利用できるのだ。一方Huaweiのスマートフォンは、ハイエンドモデルでも5Gの新しいサービスを利用することができない。国内全土で5Gが利用できる中国で5Gに特化したサービスが増えていけば、Huawei製スマートフォンから他社に乗り換えるユーザーも増えてしまうだろう。

Huawei 2022年冬季オリンピックスポンサーである中国聯通

 カメラやOSは自社による開発が可能だが、プロセッサ不足は他のメーカーとの争奪競争もあり「後発組」となるHuaweiは不利な位置になる。中国国内で5Gの普及が進めば進むほど、5G非対応モデルしか投入できないHuaweiのスマートフォンは魅力が低減してしまう。Huaweiのスマートフォン事業が以前のような輝きを取り戻すためには、中国と米国の関係好転が必要なのだ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月09日 更新
  1. 「Suicaのペンギン」卒業騒動にまつわる背景と誤解 JR東日本に聞いた (2025年11月14日)
  2. 折りたたみiPhoneは30万〜40万円超に? ダミー画像から見えたスペックと品薄の懸念 (2026年09月07日)
  3. ドコモの純正スマートウォッチがAmazonで14%オフの約6000円に 心拍や睡眠の測定も可能 (2026年09月08日)
  4. なぜLINEは“ちょっとした気遣い”で重宝された「ミュートメッセージ」を有料化したのか? (2026年09月08日)
  5. “折りたたみiPhone”だけじゃない もうすぐ開催のAppleイベントで登場する新製品のうわさを総まとめ (2026年09月08日)
  6. 3COINSで1320円の「コイル充電ケーブルAtoC」を試す 伸縮式よりも“ラフ”に扱えて便利 ただしキーボードにはアンマッチ? (2026年09月08日)
  7. 車内を大画面エンタメ空間にする「VANBAR ディスプレイオーディオ」がセールで20%オフの2万8777円に (2026年09月08日)
  8. 「Pixel 6a」で製品起因が疑われる発火事故が発生 消費者庁が「消費生活用製品の重大製品事故」として公表 (2026年09月07日)
  9. パスポート型折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold8」と「HUAWEI Pura X Max」の実機比較で見えてきた違い (2026年09月07日)
  10. 1日1ページ、予定/ToDoや手書きメモがまとまるiPhone/iPad向け手帳アプリ「FirstSeed手帳」登場 (2026年09月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー