5GBで1070円への値下げは「相当きつかった」 それでもy.u mobileが料金改定した背景は?MVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2021年11月12日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 USEN-NEXT HOLDINGSとヤマダ電機の合弁会社が運営するy.u mobileが、10月に新料金プランを導入した。y.u mobileは、MVNO各社が値下げを検討する中、3月にいち早く料金プランを改定。「シングルプラン」でのデータ容量を3GBから5GBに増量した上で、料金を1859円(税込み、以下同)から1639円に値下げした。20GBのデータ容量を最大4人でシェアできる「シェアプラン」も、6589円から4378円(1〜2人の場合)に料金を改定した経緯がある。100GBまで永遠に繰り越せる「永久不滅ギガ」や、無料でつく端末の修理保険なども、同社の料金プランの特徴だ。

 10月に導入した新料金は、2つの軸がある。1つは、シングルプランのさらなる値下げで、容量は5GBに据え置いたまま、料金を1070円まで下げた。もう1つは、U-NEXTがセットになった新料金プランの導入だ。名称は「シングルU-NEXT」プラン。料金は10GBで2970円と、一見しただけでは料金水準は大手キャリアのオンライン専用プランより高いように思えるが、この中に2189円かかるU-NEXTの月額プランが含まれているのが、最大の違いだ。

y.u mobile 10月からシングルとシェア U-NEXT(音声)の料金を値下げした
y.u mobile 月額2970円のシングル U-NEXTには、U-NEXTの利用料金が含まれており、毎月もらえる1200円分のポイントで10GBをチャージできる

 しかも、U-NEXTに付与される1200円分のポイントを使ってチャージすれば、データ容量は20GBまで増やすことが可能だ。オンライン専用料金プランに近い価格で、映像サービスが付いてくるというのが、シングルU-NEXTプランの新機軸といえる。矢継ぎ早に料金改定や新料金プランを導入するy.u mobileだが、その狙いはどこにあるのか。y.u mobileを運営するY.U-mobileで代表取締役社長を務める鹿瀬島礼氏に、話を聞いた。

1600円台は高いという声があった

―― 今回、シングルプランの料金を改定しました。まずは、その経緯や背景を教えてください。

鹿瀬島氏 ドコモが昨年(2020年)12月にahamoを発表した後、われわれMVNOの中では早いタイミングで、5GB、1639円という(シングルプランの)値下げを行いました。UQ mobileなどの3GBプランに対抗する形になり、反響は非常に大きかった。一番びっくりしたのは、NHKの朝のニュースでも比較の中で取り上げられていたことです。実際、多くのお客さまからご支持をいただき、3月の改定を前に、2月中旬から申し込みが殺到しました。ちょうど携帯電話の買い替えシーズン(商戦期)だったこともあったと思います。

 4月に入り、獲得件数は落ち着くと思っていましたが、他が5GBで990円、4GBで1078円といった料金を出してきたこともあり、1000円ぐらいという価格がユーザーにとって当たり前になってしまいました。結果、5月、6月、7月は踊り場状態でした。われわれはお客さまと常にコミュニケーションを取り、いくらぐらいがいいのかは伺っていました。その中で、いくら修理費用保険や永久繰り越しがあっても、1600円台は高いという声はいただいていました。

 500円ぐらい値下げするのはどうかという議論はもともと社内でありましたが、どうせやるなら中途半端ではない方がいい。そう考え、料金を(1070円まで)下げることにしました。

y.u mobile Y.U-mobileの鹿瀬島礼社長

―― ドコモの接続料が下がる見込みですが、これを織り込んでの値下げなのでしょうか。

鹿瀬島氏 見込んではいますが、正直ベースで言うと、1639円から500円以上下げるのは相当きつかったですね。Twitterにも、「y.u mobileは大丈夫?」と心配する書き込みがありましたが、今の接続料が続くと、収益性があまりよくないのは事実です。ただし、将来原価方式で来年(2022年)度には10Mb/sあたり約2万2000円、再来年(2023年)度には約1万8000円まで下がることは見えています。本当は1万8000円ぐらいまで一足飛びに下がってほしいのですが……。武田(良太)前総務相には接続料を下げていただき、感謝していますが、もう一段下がってほしいと思っています。

2970円の完全かけ放題を安くしようと考えている

―― 回線使用料という意味では、卸の基本使用料も下がりました。これも効いているのでしょうか。

鹿瀬島氏 値下げに踏み切れたファクターの1つで、非常に大きい部分です。ただ、それは3月の値下げで既に織り込んでいました。他のMVNOと違うのは、00XY自動付与方式(音声接続)になっているので、その部分はかなり安くなっています。また、3月に100%織り込んでいたかというとそうではなく、多少の余裕はありました。ですから、値下げでまったく採算が合わなくなったというわけではありません。

―― プレフィックスの自動付与を行っているということですが、通話料は30秒22円のままです。ここは変えていかないのでしょうか。

鹿瀬島氏 今は特に変えていないので、専用アプリが必要です。お客さまからあまり指摘がないというのが1つです。もちろん、利便性を考えるとアプリを使わない方がいいのですが、今、2970円の完全かけ放題をかなり安くしようと考えているところです。これに対してアプリが必要になるので、まずはそちらを進めていきたい。値下げは、近いうちに発表します。

y.u mobile 安価な料金で通話をするには、専用アプリの利用が必要となる
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