インタビュー
» 2020年04月10日 07時00分 公開

MVNOに聞く:後発だけど勝算は? 逆風が吹く中で新たな格安SIM「y.u mobile」が生まれた理由 (1/3)

MVNO市場に逆風が吹く中、あえて新規のサービスを開始したのがY.U-mobileだ。料金プランはシンプルに2つで、月3GBの「シングルプラン」と、20GBを家族でシェアする「シェアプラン」だけ。なぜ、このタイミングで新規のMVNOサービスを立ち上げたのか。

[石野純也,ITmedia]

 大手キャリアの新料金プラン投入やサブブランドの台頭、楽天モバイルの新規参入の影響を受け、MVNOの勢いに急ブレーキがかかっている。統廃合の動きもあり、事業者は大手に集約されつつあるのが現状だ。こうした逆風が吹く中、あえて新規のサービスを開始したMVNOがある。それが、Y.U-mobileの運営する「y.u mobile」だ。

y.u mobile 3月12日からサービスを提供している「y.u mobile」

 料金プランはシンプルに2つで、月3GBの「シングルプラン」と、20GBを家族でシェアする「シェアプラン」だけ。一方で、データ容量の繰り越しやチャージに特色を出し、100GBまでの「永久不滅ギガ」を打ち出した。1GBあたり300円と、料金も安い。端末代の修理保険を無料でセットにするなど、y.u mobileならではの特色も打ち出している。

 社名になじみがないかもしれないが、同社は、U-NEXTとヤマダ電機が合弁で設立したMVNO(※U-NEXTとUSENの経営統合に伴い、現在はUSEN-NEXT HOLDINGSとヤマダ電機の合弁会社)。もともとは「ヤマダニューモバイル」というブランドでサービスを提供していた。その一方で、黎明(れいめい)期から拡大期にかけては大きなシェアを持っていたU-NEXTのU-mobileは、2月に新規申し込みを終了している。なぜ、このタイミングで新規のMVNOサービスを立ち上げたのか。同社の狙いを、代表取締役を務める鹿瀬島礼氏に聞いた。

y.u mobile Y.U-mobileの鹿瀬島礼氏

法人ビジネスの利益を、個人向けサービスの原資にする

―― 最初に、y.u mobileのサービスを開始するに至った経緯を教えてください。

鹿瀬島氏 U-NEXT時代は、映像サービスと通信サービスをやっていた部門が、完全に切り離されていました。社内の話になってしまい恐縮ですが、顧客のデータベースも別々で、映像とのセットをやってはいましたが、IDとパスワードを相互に行き来させてということがなかなかできませんでした。2017年12月には、USENとU-NEXTが一緒になり、社内の変革もあって、前々から顧客基盤を整備してきました。時間はかかってしまいましたが、ようやく今回、それを合わせることができています。

 USENとU-NEXTが一緒になったことが非常に大きく、モバイル事業を今後どうしていくかを考えました。後発にはなってしまいますが、われわれとしてもう1回、しっかり設備投資をして向き合えば、ビジネスとしてやっていけるのではないか。コンシューマーの分野に関しては、U-mobileとわれわれがやっていたヤマダニューモバイルがありましたが、それらを統一して、U-NEXTは一段上のMVNEという形で整理しています。コンシューマーには、y.u mobileが前面に立ってやっていこうということになりました。

 大きいのは法人で、U-NEXT単体だとどうしても個人のお客さまだけになってしまいますが、USEN-NEXT HOLDINGSは持株会社として、子会社を19持っています。コンシューマー事業の方が、実は少ないんですね。その販売チャネルをうまく利用します。法人は、ピークトラフィックがコンシューマーとは異なります。深夜にIoTやストリーミングサービスで帯域を利用するというサービスも、グループ全体だと絵を描くことができました。

 法人をやることで、夜間の帯域を有効利用できます。法人の方からいただいたお金は、利益化することなく、ドコモの帯域を借りる原資にします。接続料の兼ね合いもあって、MVNO各社が厳しい状況ですが、これなら、お客さまに不快な思いをさせることはないと思います。キャリア品質はさすがに難しいですが。(U-mobileのときは)一時、そういったお声があり、高い勉強料を払うことになりました。改めてしっかりお客さまと向き合い、サービスをしていきたいと考えています。

 戦略的には、U-NEXTが設備投資をして設備を持つ形にしています。ただし、現時点ではドコモと直接L2接続はしていません。U-mobileのときと同様、フリービットが間に入っています。社内用語ですが、「疑似L2接続」と呼んでいて、ドコモとの契約自体はフリービットがやっていますが、設備に関してはわれわれが投資しています。

―― 接続料を稼ぎ出すための法人ビジネスというのは、新しい考え方かもしれません。今、フリービット経由というお話がありましたが、これを直接の接続に変えるようなことは考えているのでしょうか。

鹿瀬島氏 今のところは考えていません。フリービットはU-mobileの最初からやっているビジネスパートナーですし、われわれだけでドコモに相対するには、リソースも経験も足りません。U-mobileとは事業体は異なりますが、引き続きパートナーとして、しっかりとやっていきたいと考えています。

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