5GBで1070円への値下げは「相当きつかった」 それでもy.u mobileが料金改定した背景は?MVNOに聞く(2/3 ページ)

» 2021年11月12日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

230万のU-NEXTユーザーを取り込める

―― 次に、新料金プランとして導入したシングルU-NEXTのお話を伺えればと思います。もともと、U-NEXTが付いた中容量のプランとしてシェアプランがあった中で、なぜこのプランを導入したのでしょうか。

鹿瀬島氏 U-NEXT付きのプランはもともとシェアプランでしたが、私どもが想定していたより、シェアプランが一般のお客さまに受けていなかったからです。絶対値としての料金が高くなるからかもしれません。月額4000円ちょっととなると、かなり高いと思われてしまう。マーケティングの難しいところです。反面、U-NEXTを新規で使いたいという方は、かなりいました。当グループでないと、こういった組み合わせはできませんから、MVNOの1つの特色として押し出すことにしました。

―― この金額でU-NEXTが契約できるのはお得ですし、もともとのU-NEXTユーザーにとっては、数百円の差額で10GB、20GBのSIMカードが持てることになります。そう考えると、かなり安い印象を受けました。なぜこの金額になったのでしょうか。

鹿瀬島氏 ahamo登場以降、マーケティングとして2970円という価格がユーザーに定着しています。そういったことを踏まえて2970円をターゲットと考えました。戦略的に言えば、U-NEXTのお客さまは約230万人いるので、その方々が781円で通信を使える形になります。われわれのSIMカードが付けば、U-NEXTのライフタイムバリュー(生涯顧客価値)を伸ばしていけるのではないか――そう考えました。収益的に大丈夫かというお声をいただくことはありますが、U-NEXTに残存する期間が長くなるという見立ての下でやっています。

―― 230万のユーザーを取り込みやすくなるのは、MVNOとしても大きいですね。

鹿瀬島氏 それもあります。U-NEXTは非常に大きなサービスだと思っています。逆に、モバイルをキーにしてU-NEXTだけでは獲得できなかったお客さまも獲得できるようになるので、戦略的に両方の意味があります。

シングルU-NEXTは想像以上に大きな反響

―― 10月にサービスを開始してみて、反響や申し込み数はいかがでしたか。

鹿瀬島氏 これが非常にありがたいことに、想像以上に大きな反響をいただいています。お客さまからネガティブな反応はほとんど聞いていません。申し込みも、U-NEXTユーザーを中心に増え、10月1日はかなりの数になりました。ただ、われわれがうまくプロモーションできていなかったところがあり、これが浸透しているかというと全然浸透していません。どういう風に浸透させていくかは重要なので、“エンタメSIM”として世に知らしめていきたいと考えています。

―― 一方で、シェアプランも「シェアU-NXET」として残しています。あまり数が多くなかったということですが、これはなぜでしょうか。

鹿瀬島氏 シェアU-NEXTは、ファミリー向けです。U-NEXTは最大で4IDまで持つことができるので、データ容量のシェアも最大4人でできるという思想です。この思想のサービスは引き続きやっていきたいと考えています。また、ドコモでもシェアプランはなくなりましたし、1つの特徴として受ける人には受けるプランだと思っています。こちらも4170円と地味に料金を変えていますが、2回線でシェアすると1回線あたり2085円になり、サブブランドのMプランに対抗できる値付けになっています。

y.u mobile シェア U-NEXTは、家族で複数回線を契約するユーザーに向けて提供を続ける

―― 料金プランの選択比率ですが、どのように変わったのでしょうか。

鹿瀬島氏 日々の申し込みを見ていくと、やはり今はシングルプランが多いですね。全体を100とすると、60ぐらいがシングルプランで、35がシングルU-NEXT、残りの5がシェアU-NEXTです。

―― それでも、シングルU-NEXTが結構な比率ですね。MVNOの10GBプランとしては、異例の多さだと思います。

鹿瀬島氏 低容量がMVNOの一番得意なところでしたが、シングルU-NEXTをフックにしながら、中容量にまで踏み込める環境が整いました。今後は裾野を広げて、低容量だけでなく、中容量のお客さまにもアピールしていきたいと考えています。ahamoは2970円で5分の音声通話定額が付いてきますが、うちはU-NEXTが付いてくると思っていただければうれしいですね。

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