店舗を変えるモバイル決済

「手数料0.99%」で店舗の負担を最小限に スマホ決済「COIN+」の狙いモバイル決済で店舗改革(2/3 ページ)

» 2022年02月18日 06時00分 公開
[小山安博ITmedia]

決済手数料0.99%を実現できた秘密は?

 この決済機能の提供が、COIN+の特徴の1つだ。

 COIN+について夏目氏は「決済ブランド」と表現する。VisaやJCBといった国際ブランドの考え方に近いが、クレジットカードには「提携カード」と呼ばれる仕組みがある。その店で利用する際に各種メリットを提供するが、他の店でも通常のクレジットカードと同様に使えるのが特徴だ。

 この「提携カードを模した形」(夏目氏)で構築したのがCOIN+で、そのため「決済ブランド」という表現をしているという。「MUJI passport」への提供がこの形で、無印良品などの店舗でのコード決済ができるが、他のCOIN+対応店舗でも支払いに使える。

 MUJI passportでは、これまでクレジットカードと連携したコード決済機能が搭載されていたが、クレジットカードの代わりにCOIN+が選択できるようになっている。現状のMUJI passportには特にCOIN+の決済でポイント付与といったメリットはないが、仮に他社が同様のCOIN+統合をした場合、手数料の安いCOIN+を使った自社店舗で決済にのみ店舗のポイントを付与する、という設計はありえるだろう。

 VisaやMasterCardは、決済ネットワークは提供するがカード発行などは他社に任せている。そこで加盟店開拓をするアクワイアラとカード発行を行うイシュアといったプレイヤーが介在するが、COIN+では、アクワイアラをリクルート、イシュアを同社とその提携社が担う。ここで重要なのは、「できるだけ関係するプレイヤーを減らした」(同)という点だ。

 プレイヤーを減らして中間コストを削減したことが、0.99%という決済手数料の実現にもつながっているという。物理カードの発行も伴わないので、COIN+側のコストが最小化できているわけだ。

COIN+ iPhoneやiPadがあれば初期費用はかからず、月額費用も0円だ

プラスチックカードよりもアプリの方が便利

 この物理カードにあたるのがCOIN+の「エアウォレット」アプリであり、MUJI passportのような提携アプリだ。エアウォレットでは決済機能や送金といった機能も提供してCOIN+の管理アプリとして位置付けられているが、API経由で他社が決済機能などを自社アプリに組み込んでいくことを可能にした。

COIN+ COIN+の決済機能に加え、管理機能も備えるエアウォレット

 夏目氏は「このアプリの時代には利便性の方がふさわしい」と強調。プラスチックカードを発行するよりも、アプリに決済機能を組み込む方が利便性が高いと指摘する。これによって、「キャッシュレス決済サービスは今でも多すぎるが、さらに増えると思っている」と夏目氏は言う。スーパーごと、ドラッグストアごとにアプリが作られ、決済サービスがそれぞれ異なるとユーザーの利便性は低下する。

 ここにCOIN+を組み込むことで、決済部分は共通化できる。アプリを使わないユーザーもエアウォレットで決済できるし、エアウォレットとCOIN+導入アプリの残高は共通化できるので、複数の決済サービスにいくら入金したか分からない、といった弊害もない。こうしたメリットを夏目氏はアピールする。

COIN+ COIN+の残高は、対応しているアプリで共通化できる

 逆に、COIN+自体に集客の機能はなく、あくまで導入したアプリ側が利用促進を図る必要はある。「決済機能がない単なる店のアプリ」に比べて、「アプリでクーポンを配信してそのまま決済ができる」アプリの方が利用者の利便性が高いのは確かだろう。

 既に同様のことは、例えばセブン-イレブンアプリでPayPay、ローソンアプリでau PAYなどいくつかの例はある。ただ、これも大手だからできたことでもあり、相対的に規模の小さい小売店では難しい。過去には、既に撤退したOrigamiが同様の考え方をしていたが、COIN+の狙いもそれに近い。

 当初から良品計画という大手がパートナーとなっている点は大きなポイントだが、規模にとらわれずに、自社アプリに組み込みたいという事業者に訴求したい考えだ。

 夏目氏が重視するのは「決済手数料0.99%を超えないこと」であり、現状よりもコストが掛かるようなパートナーシップなどは想定していない。アプリへの組み込みでもCOIN+側がコスト負担をしないというのもそのためだ。

 対応するのは現状はAirペイのみだが、夏目氏は他の決済事業者との提携も否定はしない。それも、あくまでこれ以上のコスト負担が増えない場合に限るという。

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