2月7日、NTT(日本電信電話)の2021年度第3四半期決算説明会が行われた。
NTTドコモがNTTの完全子会社になって以降、決算説明会にNTTドコモが出席する機会が一気に減った。今回もNTTのみが登壇し、NTTドコモの井伊基之社長の姿はなかった。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年2月12日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
メディアとしては、やはり聞きたいのはNTTドコモの戦略だ。KDDIとソフトバンク、楽天モバイルといった競合ひしめくなか、料金競争や非通信分野の開拓など、ユーザー視点でNTTドコモがどんな手を打ってくるのか、現状をどう捉えているのかを知りたいのだが、NTTの澤田純社長の回答では、どうしてもNTTドコモのことが「他人事」になってしまうのだ。
例えば、料金値下げによる通信料収入の減少や「料金競争は一息ついた」という他社幹部の発言への受け止めについて、澤田社長は、
「料金やサービスの内容については、これからも努力を重ねて、お客さまに受け入れられるように頑張っていきたいと思っている。各社も言っているが、政府が国際的な比較をすると日本は高いから値下げを加速してくれということに対して、世界一の安さを実現した。そういう意味では競争はいった息をついたと思う。(政府圧力による)特異な競争はいったん終えた。
ARPUを高めたり、コスト効率を向上したり、サービスを増やすことで、次の投資を生み出す努力を事業者はすべきだと考えている」と、なんとも一般論的な話にしかならないのだ。メディアとしてはもっと具体的に「どうやってARPUを高めるか」「どんなサービスを増やすのか」を知りたいのだ。
ahamoの契約者数に関しても、「本件はドコモが開示していないので、私からは言えない。ただ好調で200万の真ん中ぐらいまでは来ている」として、てこ入れなどに関しては「ahamoだけでなくドコモ全体という観点ではドコモでんきやhomeでんわとのバンドルは必ず出てくると思う。OCN モバイル ONEやフリービットのサービスと、どう連携して売っていくのかも重要だ」(澤田社長)という。
エコノミーMVNOについては「いろいろな状況もあって、提供が遅れた。認知も十分な状況ではない。12月に入っていろいろなプロモーションを打っている状況で、これからどのくらい伸びるのか楽しみだ。増やしていきたいというのがドコモの考え方であり、見守っていきたいと思う」(澤田社長)とした。
周りの人の話を聞くと、ケータイを使っているような親世代が、ドコモショップに行くと、なぜか解約させられてOCNモバイルONEを契約され、メアドを失ってきたなんてことが散見される。
ドコモショップ並びにNTTドコモとして、ARPUが下がり、顧客満足度も低下するOCNモバイルONEに切り替えさせるモチベーションがどこにあるのか、さっぱりわからないのだ。
このあたりを突っ込みたくても、澤田社長では他人事っぽいので、聞く気にもならない。
メディアからするとNTTドコモがどんどん遠い存在になってしまうようで、とても心配になってくるのだ。
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