ahamoは「200万の真ん中くらい」 homeでんわで「取られたものを取り返す」――NTT澤田社長一問一答(2022年2月編)(1/2 ページ)

» 2022年02月08日 00時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 日本電信電話(NTT)は2月7日、2021年度第3四半期決算を発表した。移動通信事業セグメント(NTTドコモグループ)の第3四半期までの累積営業収益は3兆5175億円、累積営業利益は7696億円と前年度同期比で「増収減益」となった。スマートライフ(非通信)事業で約380億円の増収があったものの、モバイル通信サービスの収入が565億円の減収となったことが大きく影響しているという。

 この記事では、同日に行われた報道関係者向け決算説明会の中で、NTTドコモに関連する注目すべきやりとりを紹介する。

【追記:13時】記述を一部追加しました

NTT NTTの連結決算の状況
NTTドコモ NTTドコモの連結決算(NTTにおける「移動通信事業」セグメント)の状況
NTT NTTのセグメント別の収益/利益の増減表。移動通信事業の減益がやや大きめである
NTTドコモ NTTドコモのセグメント別の収益/利益の増減表。画像のように、第3四半期までの累計はモバイル通信サービス収入の減少が響いて、減益となっている。ただし、第3四半期単体では増益基調となり、第4四半期はさらなる増益を狙えそうだという
登壇者 今回の報道関係者向け決算説明会は、NTTの中山和彦財務部門長(左)、澤田純社長(中央)、谷山賢経営企画部門長(右)の3人が対応した。NTTドコモからの出席者はなかった(写真提供:NTT)

料金値下げなどについて

―― 今後の通信料収入に関するNTTのお考えをお聞かせ下さい。他社からは「料金競争はひと息ついた」という声や、「5Gで現在のARPU(1契約当たりの平均収入)のままだと、収益効率が悪くなる」といった声もありますが。

澤田社長 従前からお話しをしている通り、通信料金は個人のお客さまも法人のお客さまも「安くて使いやすい」ということが究極の“詰め”になるニーズがあると思っています。良いサービスを出していくという観点では、「料金はそのままだけれど能力(通信速度など)は向上する」ということもあるでしょうが、料金やサービスの内容については、これからも努力を重ねて、お客さまに受け入れられるように頑張っていきたいと思っています。

 各社(の社長)も言っているように、政府が「国際的な料金比較をすると(料金が高いから)値下げを加速してくれ」ということに対して、(携帯キャリアは)世界一の安さとなったわけです。そういう意味では、競争はいったん息をついたということだと思います。基本的に(競争は)続けていくものの、特異なもの(≒政府の要請によるもの)はいったん終えたと。

 付言しますが、ARPUを高めたり、コスト効率を向上したり、サービスを増やしたりといった営みを通して「次の投資」を生み出す努力を(通信)事業者はすべきだと考えています。

ICT総研 ICT総研の調査によると、日本の4G(LTE)携帯電話サービスは6カ国の中で最も安い水準となった。その割に品質が高いという評価も得られている

ahamoは「200万(契約)の真ん中くらい」

―― ドコモの「ahamo(アハモ)」ですが、第3四半期までに契約数はどのくらいになったのでしょうか。(ドコモの)第2四半期決算説明会では「200万契約を超えた」という旨の話があったかと思うのですが。

澤田社長 本件はドコモが開示していないので、私からは言えません。ただ好調でして200万の真ん中くらいまでは来ていると思います。

―― 春商戦に向けて、ahamoのてこ入れなどは考えているのでしょうか。

澤田社長 ahamoだけでなくドコモ全体という観点では、「ドコモでんき」や「homeでんわ」とのバンドルは必ず出てくると思います。OCN モバイル ONEやフリービット(TONE for docomo)のサービスと(ドコモでんきなどを)どう連携して売っていくのかも重要です。

―― 「ドコモのエコノミーMVNO」の手応えはどうでしょうか。

澤田社長 いろいろな状況もあって、提供が(予定よりも)遅れて、認知も十分な状況ではありません。(2021年)12月に入っていろいろなプロモーションを打っている状況なので、これからどのくらい伸びるのか楽しみです。

 増やしていきたいというのがドコモの考え方ですから、見守っていきたいと思います。

5Gの設備投資について

―― 設備投資に関する質問です。政府が掲げる「デジタル田園都市構想」を実現するためには、5G基地局の地方への設置を加速する必要があるかと思います。5Gへの投資をどのように考えているでしょうか。合わせて、総務省が地方へのブロードバンドの整備を議論しています(参考リンク)。費用対効果の問題もあるかと思いますが、NTTとしてどこまでやるべきだと考えているでしょうか。

澤田社長 5Gではスタンドアロン(SA)サービスを開始しています。政府が話のベースとしている普及率(人口カバー率)はもちろん上げるべきですが、4Gを使った5G(※1)ではなく、5Gを体感できる“5Gそのもの”のサービスを展開していくべきだと考えています。

 ブロードバンドについては、総務省が(論点を)整理した上で電話にしかなかった「ユニバーサルサービス制度」(※2)の概念を適用できるように話が進んでいます。私共としては、既に導入されている分野(加入電話)はもちろん対応していきたいと思っていますが、(現時点では)入れていない分野でも(ユニバーサルサービス制度に基づく)補助を頂けるのであれば、そういう性格を持つ会社でもあるので頑張って整理していきたいと思います。

 総務省のブロードバンド整備(に関する議論)は、現状を踏まえた上での賛同できる政策だと感じております。

(※1)筆者注:ノンスタンドアロン(NSA)構成の5G、あるいは他社が展開しているLTE用帯域を転用した5Gのことを指していると思われる。現状はNSA構成の方が実効通信速度を高めやすく(LTEと5Gの通信を束ねるため)、転用5Gは実効通信速度を大幅に改善する効果がない
(※2)国民生活に不可欠な通信サービスについて、全ての通信事業者が費用を負担して維持する制度。現時点では、東日本電信電話(NTT東日本)と西日本電信電話(NTT西日本)が提供する「加入電話」「公衆電話」「緊急通報(110番/118番/119番)」が対象となっている

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