ahamoは「200万の真ん中くらい」 homeでんわで「取られたものを取り返す」――NTT澤田社長一問一答(2022年2月編)(2/2 ページ)

» 2022年02月08日 00時00分 公開
[井上翔ITmedia]
前のページへ 1|2       

通信障害について

―― 2月1日に発生した通信障害について、今日(2月7日)に原因が公表されました。2021年10月にあった通信障害もそうですが、新しい設備や技術の導入に際して障害が起こっているように思えますが、今後どのような対策をしていくのでしょうか。

澤田社長 先般の故障は、約1万8000人のお客さまにご迷惑をお掛けしてしまいました。大変申し訳ございました。

 内容は記者さんのおっしゃる通りで、新しいものに切り替える際に発生するサーバの設計、(通信)容量設計やトラフィック設計が十分ではなかったことが原因です。前回(2021年10月)の障害は、パートナーのサーバシステムも含めた障害でしたが、今回はIPv6の住所(アドレス)を読み取るサーバの容量が足りなかったということになります。

 端末とサーバとのやりとりが遅延した場合に、(サーバ側が)端末からの情報をカットする機能があります。今回はそれがお客さまに迷惑をお掛けする結果となったわけですが、単にサーバを多めに用意するというだけではなく、過大なパケット(データ)が来た場合に、どの装置でどのような対応をするのかという、基本的な所からネットワークの設計を考え直してほしいと思っております。

 お客さまにまた迷惑を掛けようとしないようにするために、より深い対策を講じていきたいと思います。

「homeでんわ」や「ドコモメール持ち運び」について

―― ドコモのhomeでんわは、NTT東西の加入電話と競合するサービスだと思うのですが、(NTTグループ内で)どのように調整されたのでしょうか。ドコモを(NTTの)完全子会社化したことで実現したものでしょうか。ラストワンマイル(宅内への引き込み)を無線にしたいということでもあるのでしょうか。

澤田社長 お客さまから見ると、モバイルと固定の電話をセットで契約できるみたいな構造になります(※3)。同様のサービスは既に他社が提供していて、NTT東西の立場からすると(ユーザーを)引き抜かれている、取られているという状況にあります。

 そこにドコモが参入することで、グループで見れば取られたものを取り返す、という構造になります。ようやく“スタートライン”に立ったということです。完全子会社化で(ドコモにおける)移動と固定を融合するサービスを始めると言っていましたが、これはその第1弾ということになります。

 競合という意味では既に(他社に)取られる立場にありますので、NTT東西との間を調整するという考えはありませんでしたし、そもそもNTT東西とドコモとの間には(公平競争環境を担保するための)ファイアウォール規制(※4)があります。(NTT東西とドコモが)健全に競争してもらう方がプラスになると考えています。

 利便性やコストの面から考えると、ラストワンマイルの無線化は進んでいくものと思っています。

(※3)筆者注:モバイルネットワークを使った固定電話には、携帯電話としての電話番号(緊急通報用)と、利用する場所にひも付いた固定電話としての電話番号の2つが割り当てられる
(※4)同じ企業グループ内での情報共有や協業を原則として禁止する規制

homeでんわ モバイルネットワークを使った固定電話サービスは、既にKDDIとソフトバンクが提供している。ドコモだけ(もっというとNTTグループ)だけが提供できていなかった

―― 「ドコモメール持ち運び」ですが、開発費用はどのくらいかかったのでしょうか。また、サービス開始からどのくらいの利用があるのでしょうか。

澤田社長 キャリアメールの持ち運びは、競争を促進する上でボトルネックとなっていた条件の1つだと思います。(そのこともあり)これは各社とも「やろう」ということになりました。(ドコモは)開発費を公開しないでしょうし、私も把握はしていません。(一般論として)メールサービスの開発はお金が掛かります。他の事例を参考にして推測することは可能でしょう。

 では「キャリアメールを持ち運べるから(乗り換えよう)」ということでドッとポートイン(転入)やポートアウト(転出)が増えているかというと、大差はないと思います。ただ、毎日SNSをフォローしてドコモのサービスについて見ている限りは「持ち運びができていいね」という反応も散見するのは事実です。量的には多くないと思います。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年