ソフトバンクが2月3日、2022年3月期第3四半期決算説明会を行った。売上高は、LINEの子会社化などが主な要因となって約3600億円、10%の増収となった。営業利益は約200億円減少し、2%の減益。法人は13%、ヤフー・LINEは24%の増益と引き続き順調だったが、通信料金の値下げの影響でコンシューマーセグメントが10%減益となった。ただ、第2四半期のマイナス219億円から減益幅は大幅に改善している。
2021年度通期業績予想の進捗(しんちょく)率は、営業利益、純利益ともに80%を越え、セグメント別に見ても、全て80%以上となっている。
売上高について宮川氏は「少し上振りを見込んでいる」とし、営業利益についても「過去最高益の達成は十分達成可能。決算の数字はめどがついてきたので、今の私の時間の大半は、中長期の戦略に向けたプランニングに費やしている」と語った。
各事業については、コンシューマー事業の売上高が、端末売上が600億円ほど増加したことが主な要因となって3%増収。コロナの影響があった2020年度対比で端末の売上が回復したということで、特に目立って販売が増加した端末はないとしている。「特にiPhoneは、1作品前(iPhone 12)の方が売れていた」(宮川氏)という認識だ。
コンシューマーの営業利益は約560億円の減益。以前から宮川氏は、通期の値下げの影響は700億円程度と語ってきたが、今回の減益も「その見通しの範囲内」としている。
スマホの累計契約数は前年対比で約150万増加。Y! mobileの他社からの流入が好調で、増加のけん引役となっているという。
「モバイルの純増数の伸び悩みは期初から大変心配していたが、四半期ごとに徐々に回復してきた。今年(2022年)に入ってからも順調で、この増加基調が続いていくと読んでいる。ようやくソフトバンクらしさが戻ってきたかなと感じた第3四半期だった」と宮川氏は手応えを話す。
宮川氏は「ヤフーやLINE、PayPayなどのサービスをグループ内に持っていることは、他社にはない当社の強み」とし、モバイル戦略の1つとしてグループシナジーを掲げている。モバイルサービスとグループのサービスを連携することで、第3四半期はグループ企業のサービスが順調に拡大したとする。グループ企業は300社以上あり、「この先もこのような連携を続々と仕掛けていきたい」(宮川氏)と意気込んだ。
一方、モバイル事業にも連携の効果がある。Yahoo! やPayPayといったグループ企業のサービスを複数使っているユーザーの解約率は、全く使ってないユーザーの半分になるという。今後もグループサービスとの連携を増やして、解約率の軽減をさらに目指すとした。
法人事業の売上高は4%増収だが、特にソリューション等の売上が非常に好調で12%の増収。ソリューション売上高の成長をけん引しているものの1つが、デジタルマーケティング。トレジャーデータ、Yahoo!LINEなどを活用し、データの収集・統合・利活用を一気通貫でサポートしており、前年対比で倍増の210%に成長している。また、セキュリティビジネスも前年対比142%に成長。こちらも監視・運用含め、一気通貫してサポートできるのが強みとしている。
ヤフー・LINE事業は、LINE中心としたメディア事業が好調で売上高が33%増収、営業利益は24%の増益。Eコマースも、コロナによる特需があった2020年度をさらに上回り、取扱高が12%増加している。
PayPayは、登録ユーザーが好調に増加し4500万人を突破。「国内スマホユーザーの2人に1人以上が使っていただくサービスに成長」(宮川氏)した。
「スーパーアプリ化に向けて最重要KPIだと捉えている」(宮川氏)決済回数は、9カ月の累計で26.3億回となり、前年比で85%の増加になった。決済の取扱高は同様に累計で3.9兆円、前年同期比で73%増加した。第3四半期単体では1.5兆円の決済取扱高となり、前年同期比82%増。2021年10月に中小店舗の決済手数料有料化を開始したが、取扱高は順調に伸び、第3四半期の決済高は過去最高だ。
決済手数料の有料化で第3四半期の売上高は前年同期比2.7倍と大きく成長。「第3四半期は粗利が固定費をカバーするところに来たので、獲得費をコントロールしていくと黒字も視野に入ってくるぐらいになってきた」(宮川氏)。
2月1日に提供を開始した「PayPayあと払い」については「1人あたりの決済額、決済回数の増加が見込める」(宮川氏)とし、さらなる成長を期待していた。
なお、ソフトバンクは初のESG債を発行により300億円を調達した。これは成層圏通信プラットフォーム(HAPS)事業に限定して使用される。
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