「0円プランには踏み込まない」「半導体不足の影響はiPad」 ソフトバンク決算会見で宮川社長が語ったこと(1/2 ページ)

» 2021年11月05日 09時33分 公開
[房野麻子ITmedia]

 ソフトバンクが2022年3月期 第2四半期の決算説明会を行った。売上高は2兆7242億円で12%増収、半期ベースでは過去最高だった。LINEの子会社化や、携帯端末の販売がコロナ禍で大幅に減った2020年度よりも回復したことが要因だ。営業利益は5708億円で前年同期比3%減益、純利益も2%の減益となったが、各項目の2021年度通期予想に対する進捗(しんちょく)率は50〜61%となっており、宮川潤一社長は達成できるとしている。

ソフトバンク ソフトバンクの宮川潤一社長
ソフトバンク 売上高は2兆7242億円で12%増収。半期ベースでは過去最高
ソフトバンク 営業利益は3%減益、純利益も2%の減益となった
ソフトバンク 2021年度通期目標は達成できるとしている

 セグメント別では、コンシューマ事業の営業利益が約400億円下がった。これについては、通信料金の値下げの影響が上期合計で約260億円あったこと。また、携帯端末購入サポートプログラムである「半額サポート」の引当金の見積もりの変更により、前年に約110億円の売上を計上したことが今期減益の要因となった。

ソフトバンク 通信料金の値下げの影響などで、コンシューマ事業の営業利益が約400億円減

 スマートフォンの累計契約数は2650万となり、6%の増加。Y!mobileが堅調だという。5Gプラン累計契約数は1000万を超え、スマートフォン契約の3分の1以上が5Gプランを選んでいることになる。

ソフトバンク Y!mobileが堅調でスマートフォンの累計契約数は6%の増加
ソフトバンク 5Gプランの累計契約数は1000万超

 法人事業の売上高は3509億円で、2020年度対比で5%増収。法人事業は半導体の影響を少し受け始めており、宮川氏は「特にiPadが手に入りづらくなっている」と質疑応答の中でも繰り返し発言した。

 PayPayは2021年11月で4300万ユーザーを超えた。決済回数は上半期で16.6億回、前年同期比で81%増加した。取扱高は2.4兆円、前年同期比で68%増加している。

ソフトバンク PayPayの登録ユーザー数は4万3000人超
ソフトバンク 上半期の決済回数は16.6億回で前年同期比81%増加。宮川氏は「PayPayがスーパーアプリになっていくためには、決済回数が最重要KPI」として注視しているという

 PayPayは、10月から中小店舗の決済手数料を有料化したが、「業績への影響は軽微」としている。また、加盟店向けに提供される、店舗のDX化を支援するツール「PayPayマイストア」の申し込み数が、数値は開示されなかったが、「8月から10月までの2カ月間で12倍くらいに急成長」(宮川氏)している。

ソフトバンク PayPayの手数料有料化による業績への影響は軽微
ソフトバンク 「PayPayマイストア」の申し込み数は「2カ月間で12倍と急成長」

 宮川氏は「通信料金の値下げで、上期で260億円程度の影響があった。通年で700億円程度の影響があると思う。経営にとって非常に厳しい状況」と認識する一方、「会社の構造を抜本的に見直すいい機会」と前向きに捉えている。

 「3年先、6年先くらいに起こりうる未来を予想して、逆算して必要な技術を開拓、開発していきたい。下期は、今までトライしてきたことが少しずつ形になって、皆さんの前に発表できるものが多々あると思っている。だんだん変わっていくソフトバンクを見てほしい」と語った。

質疑応答で語られたこと

 以下では、質疑応答での主な質問と宮川社長の回答を紹介する。

ソフトバンク 質疑応答に応える宮川氏

―― 通信料金値下げの影響について。

宮川氏 基地局整備に影響するかもしれないと、最近思っている。コスト削減を徹底的に行って、ネットワーク設計に不備がないようにしているが、(料金値下げの影響が)5年も10年も続くと、中長期的には通信インフラ整備の在り方をどこかで見直していくかもしれない。この1年、2年は、5Gの立ちあげ時期なので(積極的に)やっていく。設備投資の大きな変更はなく、逆にやり過ぎてCAPEX(設備投資のためのコスト)を超えちゃうけどどうしよう、という勢いでやっていく。

―― 今後の料金プランの在り方をどう考えるか。

宮川氏 0円から始まるような料金プランも存在する。技術を長いことやっている自分としては、ネットワークを維持するために24時間365日体制でネットワークの監視をしている社員がいるし、機械は必ず壊れるもの(という意識がある)。復旧のために現地に出向くこともある。こういう運用コストが賄えなくなるような料金プランまで踏み込むつもりは、私はない。基本的なネットワーク維持コストについては、ユーザーさんに応分に負担していただき、あとは使用量に合わせた料金の違いがある形がベストだと思っている。

―― 日本も一部の海外のように、料金は安いけれど通信品質も悪いという状態になるのか。

宮川氏 総務省が、(日本の携帯電話料金は)世界2位まで安いところに来たと発表した。通信量や品質を考えると世界一安いところに来ていると思う。日本がそれ(料金の安さ)を目指す方向だったら付いていくと思うが、業界を引っ張っている先進国はそういう方向には行っていないので、通信の開発面で日本が遅れていってしまうのではという懸念を持っている。今までの日本はキャリアらしさを追求してきたので、それが失われるのは悲しい。頑張ってやっていくが、4Gまでのインフラと5Gのインフラは、数も使用される電力も全く別もので、(5Gは)相当なエネルギーを消費する。本当に維持できるかちょっと心配だが、工夫してやっていきたい。

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