ソフトバンクが7月15日、オンライン専用プラン「LINEMO」のプランを改定する。
LINEMOでは月額2728円(税込み、以下同)で20GBのデータ通信を利用できる「スマホプラン」を提供しているが、これに加え、月額990円で3GBのデータ通信を利用できる「ミニプラン」を提供する。月間の通信容量が3GBを超えた場合、通信速度は300kbpsに制限される。LINEのトークや音声通話、ビデオ通話をデータ消費せずに利用できる「LINEギガフリー」はミニプランでも適用される。
スマホプランと同じく、通話オプション割引が適用され、5分以内の国内通話かけ放題は、月額550円のところ1年間は0円で利用できる。通話料金は30秒あたり22円で変わらない。なお、LINEスタンププレミアム(ベーシックコース/デラックスコース)の加入者にLINEポイント240ポイントをプレゼントする特典は、ミニプランには付かない。
LINEMOはこれまで20GBのスマホプランのみを提供しており、シンプルなワンプランを売りにしていたが、なぜもう1つプランを増やしたのか。ソフトバンク 常務執行役員の寺尾洋幸氏は、「LINEモバイル」で約8割のユーザーが3GB以下の通信にとどまっていることを挙げる。LINEモバイルは既に新規受付を終了しており、ソフトバンクとしてはLINEMOへ移行させたい。しかしLINEモバイルでは2GBや5GBで1000円台のプランを提供しており、こうしたユーザーがLINEMOに移ると単純に値上げになってしまう。そこでLINEMOにも低容量のプランを新設した。
データ通信を使った容量に応じて料金も変わる段階式プランも検討したそうだが、「お客さんから見たときにコントロールできない部分も出てくる」(寺尾氏)ことから、採用は見送った。また、月間のデータ容量が3GB以下なら1000円値引くことも検討したそうだが、「自分の意志でお金をコントロールした方がいい」と考えて、あえてプランを増やした。
寺尾氏によると、2020年のLINEモバイルとの比較で、LINEMOは2倍のユーザーを獲得できているという。特に多いのがソフトバンクブランドからの移行だ。3GBプランの新設により、低容量のユーザーが多いLINEモバイルからの移行も加速しそうだ。なお、LINEモバイルで提供しているSNSや音楽サービスのデータフリーはLINEMOでは提供していないが、「LINEモバイル自体は当面サービスは継続し、強制的な移行は考えていない」(寺尾氏)とのこと。
容量超過後の速度は、スマホプランは1Mbpsだが、ミニプランは300kbpsに落としている。この理由は「1Mbpsだと実質無制限。無制限にするとネットワークコストが成り立たない」(寺尾氏)ため。
3GBのプランはY!mobileでも提供しており、月額料金は家族割引がないと2178円とY!mobileの方が2倍以上高い。一方、ユーザー層やサポートの中身は両サービスで異なる。LINEMOユーザーは7割近くが30代以下だが、Y!mobileユーザーの年齢層は高い。またLINEMOはオンライン専用で取り扱うプランだが、Y!mobileは店舗でも契約できる。寺尾氏は「店舗のサポートを含めて考えると、Y!mobileとLINEMOのカニバリは大きくない」とみている。
LINEMOはオンライン専用プランということで、オンラインで開通手続きができる「eSIM」と、オンラインで本人確認ができる「eKYC」の利用も進んでいる。現在、約2割のLINEMOユーザーがeSIMを利用しているという。
一方、eSIMの開始当初はiPhoneでプロファイルが自動で設定されない、ネットワーク暗証番号の入力が必要、SIMロック解除の必要がうまく伝わってなかったといった課題があり、問い合わせが殺到したという。こうした問題は既に解消し、NPS(満足度の指標となるスコア)は、サービス開始当初の物理SIMに並ぶほど改善したそうだ。
それでも、QRコードを読み込んでeSIMのプロファイルをダウンロードする仕様は変わっておらず、スマホに詳しくないユーザーにはハードルが高いことから「母親には勧められない」といった声も挙がっている。アプリから直接プロファイルを設定可能にするなど、より簡便な方法も必要になりそうだ。
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