なぜ撤退した「G'zOne」が復活したのか KDDIとカシオに聞く「G'zOne TYPE-XX」誕生秘話(1/5 ページ)

» 2022年02月27日 08時00分 公開
[石井徹ITmedia]
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G'z Oneインタビュー 「G'zOne TYPE-XX」

 G'zOneケータイが、熱いファンの声を受けて復活を果たした。G'zOneブランド20周年記念モデルの4G LTEケータイ「G'zOne TYPE-XX」が2021年12月10日にauから発売された。

 G'zOne TYPE-XXでは、KDDI、カシオ計算機、京セラの3社がコラボレーション。携帯電話製造から撤退したカシオがデザインを担当し、京セラが製造するという異例の体制で開発された。その仕掛け人となったKDDIの企画担当者近藤隆行氏と、カシオ計算機のデザイナー井戸透記氏に開発秘話を聞いた。

G'z Oneインタビュー 左から、KDDIの近藤隆行氏(製品企画担当)、カシオ計算機の井戸透記氏(エキスパートデザイナー)

カシオとしてもタフネスケータイを続けたかった

―― 今回の「G'zOne TYPE-XX」では、カシオは2013年末に携帯電話事業から撤退して以来のG'zOneブランドの復活となりましたね。

井戸氏 まずはこのインタビューの場をお借りして、カシオのユーザーさんにおわび申し上げます。私はカシオでデザイナーとして、携帯電話の初号機モデル「C303CA」からほぼ全てのモデルのデザインディレクションに携わっていました。

 2013年のカシオの携帯事業撤退は、ユーザーさんにとっては唐突に思われた方も多いかと思います。シェアの少ない一メーカーが撤退しただけといえばそれまでですが、2000年の初号機モデル「G'zOne C303CA」以来、熱いファンを大切にするという思いで、製品開発に熱意を持って取り組んでいました。カシオの参入当時は日本メーカーのケータイが全盛期でした。カシオは最後発で参入しただけに、存在意義を問われる立場でもあったのです。

 タフネスケータイのG'zOneはまさにカシオらしさを突き詰めたモデルですし、他にもデジカメメーカーとしての知見を生かしたEXILIMケータイだったり、普及期に対しても「Heart Craft」というコンセプトで、今でいうジェンダーレス・エージレスといった価値観を取り入れていたりと、少数かもしれないけど、コアなファンが多いんですね。カシオの携帯には。

 そんなカシオが撤退したときに、ユーザーさんは「次の機種変更はどうしようか」と困られていた方もいらっしゃったようです。特に、G'zOneは仕事で使われる方も多かったので、本当に申し訳ないことをしたなぁと思っていました。

 その後、近藤さんが京セラさんと新しいタフネスシリーズのTORQUEを出すようになりました。個人的な心情としては、カシオのタフネスケータイを続けたかったというのはもちろんありますが、救っていただけたとも思っています。

―― 一度スマホから撤退したブランドを、他のメーカーの製造で復活させるというのは、なかなかチャレンジングな取り組みだったのではないでしょうか。製品化に至った背景をお聞かせください。

近藤氏 製品化のきっかけは、お客さまの声でした。KDDIでは製品展開の参考として、お客さまへのアンケートやグループインタビューで声を聞くというのは常に検討しているのですが、最近では「フィーチャーフォンのラインアップが少ない」というご指摘を多くいただいていました。

 スマホシフトが進む世の中ですが、われわれとしてはフィーチャーフォンも継続提供していますが、とにかく多くのお客さまが手に取っていただけるように、特徴が薄い、一般的なモデルが多くなっているラインアップ構成になってきていました。お客さまから、「ラインアップがつまらない」「昔のようにもっととがったフィーチャーフォンが欲しい」といったお声や、さらには「フィーチャーフォンをないがしろにしているのではないか」といった厳しいお声もいただいておりました。

G'z Oneインタビュー 歴代G'zOneケータイの一部。左から、G'zOne TYPE-XX(2021年)、G'zOne TYPE-X(2010年)、G'zOne TYPE-R(2005年)、C303CA(2000年)

G'zOneユーザーの98%が次もG'zOneを希望

―― auでは特に3G時代に多種多様な携帯電話を投入していますが、今回、G'zOneブランドに白羽の矢を立てたのはなぜでしょうか。

近藤氏 おっしゃる通り、KDDIではau design Projectを始めとして、デザインにこだわったケータイの製品化を続けてきました。カシオさんですとEXILIMケータイのような他のブランドもありますが、G'zOneに限っては特別な事情がありました。

 auでは継続的なユーザー調査を実施していまして、その一環として、ユーザーさんが次に買い換えたい機種のリサーチも行っています。そうした調査を分析する過程で、興味深い結果が浮かびあがりました。現在G'zOneシリーズのフィーチャーフォンをご利用中のユーザーは、次も「同じメーカー、同じブランド」を希望される方が非常に多かったのです。「G'zOne TYPE-XX」の発売直前のデータでは、実に98%もの方が「次もG'zOne」を希望されていました。

―― auではタフネスモデルの選択肢として、京セラ製の「TORQUE」シリーズを継続的に販売しています。2018年にはフィーチャーフォン型の「TORQUE X01」も投入していますが、あえてG'zOneブランドを復活させたのはなぜでしょうか。

近藤氏 そうですね。タフネスモデルというカテゴリーはauとして、G'zOneの撤退後も京セラのTORQUEブランドに引き継ぐ形で投入し続けておりまして、過去にG'zOneシリーズを使われていた方からも一定数はTORQUEシリーズへ移行していただいております。

 その一方で、フィーチャーフォンタイプのG'zOneは、コアなカシオファンが多くいらっしゃいまして、3G時代のフィーチャーフォンを長年に渡ってお使いいただいています。

 以前の機種をお使いの方でも「G'zOneを3G停波まで使いたい」というお客さまもいらっしゃいますし、中にはタフネスモデルにもかかわらず「何かあったときのためにG'zOne TYPE-Xの予備を持っています」とおっしゃるユーザーもいらっしゃいました。

 そしてauでは2022年3月に、他社に先行して3Gサービスを停波する予定となっています。つまり、3G時代のG'zOneケータイは利用できなくなる状況ですが、現にお使いいただいている熱いG'zOneファンの方がいらっしゃいます。その待望にauとしてもお答えしたという思いがあり、カシオさんの門をたたきました。

―― 2021年12月の発売前後には大きな話題を集めました。発売後の手応えはいかがでしょうか。また、どのような方が購入されているのでしょうか。

近藤氏 2020年8月に発売をアナウンスした段階から多くの反響をいただいています。実際に購入されたというお声も多くいただきました。購入者は40代、50代で、男性が圧倒的に多いですね。やはりG'zOneが20周年ということで、20年前を知っている方となると、それなりに上の世代になりますね。

―― スマホ時代にフィーチャーフォンを単独で使っている人も減っていると思うのですが、それでも求める声があるのでしょうか。

近藤氏 そうですね。もちろん、スマートフォンとの2台持ちの方もいらっしゃいますが、私がインタビューさせていただいた中では、「ノートPCとフィーチャーフォン」という2台持ちの方もかなりいらっしゃいました。そういった使い方をする方は情報感度も高く、インターネット上の情報収集、発信はノートPCを使われている。それでも、連絡を取り合うときはフィーチャーフォンが一番ということで、フィーチャーフォンを好まれているようです。

 また、ボタン形状のケータイを好まれる方には、お仕事で使われている方も多くいらっしゃいます。農作業や水産業のような現場仕事に従事されている方からは「やっぱりボタンタイプがいいんだよね」とご好評をいただいています。

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