今回のMWC取材で「おや?」と思ったのが、クアルコムが発表した「Snapdragon Connect」だ。5GとWi-Fi、Bluetooth、それぞれで最高峰のものを提供して、ユーザーに快適な通信環境を実現するというものだ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年3月5日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
クアルコムではMWCで「FastConnect 7800」を発表。世界初の公表されたWi-Fi7対応製品で2022年後半に商用開始を目指している。ピーク速度5.8Gbpsと2ms未満という超低遅延を実現する。
さらに「Snapdragon X70 modem-RF」はモデムでありながらAIを搭載し、周辺の環境に合わせて、通信速度が上がるように受信状況をAIがコントロールするという。
ユーザーとすれば、5GやWi-Fiなど、つながっている経路はどうでもよく、とにかく快適に通信が使えさえすればいい。
一方、クアルコムとしてはセルラーだけでなくWi-Fiも最高峰の製品をメーカーに使って欲しい。というわけで「Snapdragon Connect」というブランドを訴求することで、製品の拡販を狙っているようだ。
Snapdragon Connectという話をクリスチアーノ・アモンCEOから聞いたとき、先日、行われたソフトバンクの決算会見で宮川潤一社長が「最近はWi-Fi 6、2023年ぐらいになるとWi-Fi 7という規格が誕生して、チップセットが出てくる。Wi-Fiは非常によくできており、家のWi-Fiでも動画を十分に見られる時代。5GはSA化して、コアの設備が5G専用になってくると、いろいろなことがやれるようになる。
ここ数年間だけでいくと、インドアの莫大なトラフィックを、5G側に寄せるのかWi-Fi側に寄せるのかで、いろいろな戦略がある。われわれがやりたいサービス、作りたいネットワークは何かを議論している」と語っていたのだ。
キャリアとして、5Gの設備投資が負担になるなか、Wi-Fiネットワークの強化も視野に入れているとしている。一方で、デバイス側も5Gだけでなく、Wi-Fiにも注力した製品が出始めようとしていて、わかりやすく「Snapdragon Connect」というブランドがつけられるようになる。
キャリアとしてはユーザーに20GBプランではなく使い放題プランを契約して欲しく、一方で使い放題プランを契約してくれれれば、それ以上、あまりデータ通信を使ってネットワークに負担をかけて欲しくないというのが本音なところだろう。
そこで、インドアにおける莫大なトラフィックはWi-Fiに流すという発想は自然な流れだ。
日本ではWi-Fi 6E、6GHzの利用は今年の6月ぐらいからになりそうだ。またWi-Fi 7は、クアルコムは2022年後半に商用開始を目指すとしているが、日本で市場に出回るのは2023年後半から2024年頃ではないか、とも言われている。
今後2年で、再び「公衆Wi-Fiスポット」のようなものが復活してくるのか。Snapdragon Connect対応製品の広がりに注目しておいた方がいいかもしれない。
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