Qualcommがソニーと提携してカメラ機能を強化、Appleなどに対抗する狙いも石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2021年12月04日 07時37分 公開
[石野純也ITmedia]

 Qualcommは12月1日に、自社イベントのSnapdragon Tech Summitを開催。フラグシップモデルなどに採用される最上位のプロセッサ「Snapdragon 8 Gen 1」を発表した。3桁の型番が付与されていた従来のSnapdragonから命名規則を改め、数字で性能の高低を表すとともに、世代を明確にした格好だ。

 Snapdragon 8 Gen 1は、4nmプロセスのKryoコアを採用。GPUのAdrenoも進化した。CPUは20%、GPUは30%性能が向上しつつ、それぞれ電力も改善されている。より大きく進化したのが、画像処理をつかさどるISP(Image Signal Processor)や、第7世代のAIエンジンだ。CPUやGPU以上に、カメラやAIといった今のスマートフォンに求められる性能にフォーカスして、性能を向上させたのがSnapdragon 8 Gen 1の特徴といえる。

Qualcomm Qualcommは、米ハワイ州でSnapdragon Tech Summitを開催。フラグシップモデル向けのSnapdragon 8 Gen 1を発表した

 こうした中、同イベントではQualcommとソニーの提携も発表された。背景には、垂直統合型の開発体制でカメラ機能を強化するAppleなどの競合他社に対抗する思惑がありそうだ。

ISPやAI処理能力を大幅に強化したSnapdragon 8 Gen 1

 Qualcommは12月1日から2日かけ、自社イベントのSnapdragon Tech Summitを米ハワイ州で開催した。初日の基調講演で披露されたのが、フラグシップモデルなどの最上級スマートフォンに搭載されるSnapdragon 8 Gen 1だ。同チップを搭載したスマートフォンは、2021年末から登場する見込み。ソニー、シャープといった日本メーカーはもちろん、モトローラやOPPO、Xiaomi、ZTEといった日本でおなじみの海外メーカーも、Snapdragon 8 Gen 1を採用する。

Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1は、国内外のさまざまなメーカーに採用される。対応端末は12月から徐々に発売されていく予定

 Snapdragon 8 Gen 1は、CPUやGPUの性能以上に、ISPの進化やAIの処理能力向上に比重が置かれたプラットフォームだ。これは、最新のスマートフォンに求められるニーズを色濃く反映した結果といえる。例えば、ISPは18ビットに対応しており、Snapdragon 888と比べて4000倍を超えるカメラデータを、毎秒最大3.2ギガピクセルで撮影することができる。8K HDRに対応していたり、ビデオ撮影用の新たなBokeh Engine(ボケエンジン)を搭載したりするのも、撮影を重視していることの表れだ。

Qualcomm 18ビットのISPに対応し、Snapdragon 888比で4000倍のデータを扱える
Qualcomm 8K HDRの動画撮影をしながら、64メガピクセルの静止画を撮影できるなど、その処理能力は非常に高い

 同様にAIの処理能力も大きく向上した。第7世代のAIエンジンを搭載したことで、テンソル(Tensor)アクセラレーターが2倍に高速化。共有メモリも2倍にサイズが拡大した。ソフトウェア面での改良も加え、Qualcomm Neural Processing SDKの性能を2倍に上げた。ハードウェアとソフトウェアをともに2倍ずつ改善することで、AIの処理能力はSnapdragon 888から約4倍に向上。イベントで公開された各種ベンチマークの結果も、それを裏付ける。

Qualcomm AIエンジンは第7世代に。テンソルアクセラレーターや共有メモリが2倍になった
Qualcomm AIの処理能力は、Snapdragon 888から4倍に向上している

 カメラとAIは、ともに最新のスマートフォンで重視される機能の1つだ。特にハイエンドモデルでは、いかに高画質な写真や動画が撮れるかが差別化の軸になっている。ISPだけでなく、AIを活用したノイズ削減やズーム、HDRなども、スマートフォンのカメラでは重要な要素だ。単純な処理能力の高低ではなく、メーカーが重視するユースケースに特化した機能を進化させているのが、Snapdragon 8 Gen 1といえる。

 実際、iPhone用のAシリーズを自社で設計するAppleや、Pixel 6シリーズから自社で設計したプロセッサの「Tensor」を採用したGoogleも、ISPやAIの処理能力に注力している。米国の制裁が続き、自社でのプロセッサ開発が難しくなってしまったHuaweiも、KirinシリーズはISPやAIの強化に重きを置いていた。同様に、QualcommもISPやAIエンジンの改良に注力していたが、Snapdragon 8 Gen 1でもその傾向に変わりはない。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月22日 更新
  1. 「iPhone 18」シリーズうわさまとめ 秋にPro、来春に無印登場か 「さらなる値上げ」の可能性も考える (2026年08月19日)
  2. 「弊社のモバイルバッテリーが河川等に投棄されている」――運営元が警察および関係各所と連携 (2026年08月19日)
  3. 服の中に風を送る「腰掛けファン」はハンディファンと何が違う? メリットと購入前に知るべき注意点 (2026年08月18日)
  4. 清水寺の「5Gが入らない」をどう解決した? ソフトバンクが挑んだ景観保護とアンテナ設置の裏側 (2026年08月20日)
  5. ソニー、Xperia新モデルを予告 8月25日11時に発表 YouTubeで世界同時配信 (2026年08月21日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. Pixel 11シリーズ実機レビュー:「薄型化の無印」と「背面が光るPro」、Gemini連動の新機能で何が変わったか (2026年08月20日)
  8. 最大24万強マイル還元のチャンス 新「ANAアメックス」誕生、日常決済で“旅が近づく”特典強化の中身 (2026年08月21日)
  9. きょう発売の「Pixel 11」、結局は何が進化点? Geminiの進化にも注目 (2026年08月20日)
  10. ドコモの銀行が“メガバンク級の成長”を描くワケ ドコモショップの無料サポートが果たす役割 (2026年08月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー