Snapdragon Tech Summitには、Androidを担当するGoogleのシニアバイスプレジデント、ヒロシ・ロックハイマー氏もゲストとして登壇。Qualcommのクリスティアーノ・アモンCEOは、「イノベーションはAndroidで最初に起こる」と語りながら、5Gやフォルダブルなどの新しいホームファクターが他社に先駆け登場したことを称賛した。ロックハイマー氏は、これに対し「Androidをオープンソース化したのは、自分たちだけでできないことを分かっていたから」とコメント。アモン氏もこれに同意し、「QualcommもGoogleも、誰もがイノベーションを起こせる水平モデルを選択した」と語っていた。
一方で、Appleに代表される垂直統合型ビジネスモデルの方が、エコシステムまで含めた端末の作り込みをしやすいのも事実だ。実際、当のGoogleも、先に述べた通り、Pixel 6、6 Proには自社設計のTensorを採用。カメラやボイスレコーダーにTensorのAI処理を生かし、他社のスマートフォンを超える20倍の超解像ズームや文字起こし機能を実現した。ソニーとのジョイントラボは、水平分業モデルを維持しながら、こうした開発手法に対抗するための一手とも見ることができる。
特にAppleのように端末の販売規模が大きいメーカーは、イメージセンサーを“特注”し、自社で設計したISPと合わせてカメラを徹底的に作り込むことができる。水平分業型のビジネスモデルでそれに近づくには、プロセッサを持つQualcommとイメージセンサーを持つソニーの協力が不可欠だ。
Qualcommは同イベントでGoogle Cloudとの協業も発表しており、Googleの「Google Cloud Vertex AI NAS」を「Qualcomm Neural Processing SDK」に統合する。Qualcommは、OSバージョンアップを長期化する「Project Treble」など、その他の分野でもGoogleと提携しているが、Appleなどの競合他社と戦っていく上で、このようなパートナーシップの重要性がさらに増しているといえそうだ。
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