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ドコモが「dポイントクラブ」を改定する真の狙い “d払い併用”でも損する場合あり石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)

» 2024年05月18日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 NTTドコモは、2024年10月3日にdポイントクラブを改定する。まず、2つ星に上がるための基準を大きく緩和し、3カ月で50ポイントまで引き下げる。もう1つが、ランクに応じたポイント付与率の変更だ。d払いでのポイント還元率が上がり、トータルではよりdポイントがたまりやすくなる。一方で、旧料金プラン向けに実施していた「長期利用ありがとう特典」は終了する。

 変更されるポイント付与率の中身を見ていくと、dポイントからd払いへの動きが見て取れる。単にdポイントをためるだけでなく、決済も併用するユーザーをより優遇する流れだ。dポイントを軸に、d払いを拡大していく狙いも透けて見える。ここでは、10月に控えたポイントクラブの改定から分かるドコモの戦略を解説していきたい。

dポイントクラブ ドコモは、10月3日にdポイントクラブにおけるランクの仕組みを改定する

2つ星へのランクアップを容易にしてハードルを下げる

 dポイントクラブにランク制を導入したのは、2022年のこと。モバイル回線の契約年数に関係なく、シンプルにdポイントの獲得状況に応じて付与率を変える考え方を取り入れている。dポイントを積極的にためるユーザーほど、よりポイントがたまりやすくなるようにしたというわけだ。具体的には、3カ月ごとのポイント獲得数に応じて1〜5つ星までのランクが決まり、それに応じて最大2.5倍までポイント付与率が上がる。

 付与率が最大2.5倍になる5つ星に上がるには、3カ月で5000ポイントためなければならず、なかなかハードルは高い一方、600ポイントで上がれる3つ星でも、ポイント付与率は2倍になる。このランク制があるおかげで、dポイントは他の共通ポイントと比べても“たまりやすい”印象がある。

dポイントクラブ 現状のランクは、1つ星から5つ星までの5段階。もっと還元率が高い5つ星になるには、3カ月で5000ポイントためる必要がある

 実際、ユーザーからの評価も高く、「ポイントがたまりやすい」「ランクで付与率が上がるのでモチベーションになる」といった声が寄せられているという。この声は数字にも表れており、2023年には会員数が1億を突破。加盟店数は11万超と、楽天ポイントやPontaポイント、Vポイントを大きく引き離している。

dポイントクラブ
dポイントクラブ 会員数、加盟店数が多く、その規模は業界最大級だ

 一方で、ドコモには「『もっと手軽にお得にためたい』『dポイント加盟店だけでなくためたい』といった声が寄せられていた」(NTTドコモ スマートライフカンパニー コンシューママーケティング部 部長 伊藤邦宏氏)。また、具体的な比率は非公開ながら、1つ星から5つ星のユーザー分布は、「低いランクほどユーザー数が多いのは確か」(同)だという。

dポイントクラブ 2つ星には比較的上がりやすかったdポイントクラブだが、もっと手軽にしてほしいという声もあったという

 こうした状況やユーザーの声に応えるため、ドコモは10月にランク制の仕組みを維持しつつ、そのポイント付与率を変更する。大きく分けて改定内容は2つある。1つ目が、2つ星の対象になるユーザーを拡大することだ。現状では、100ポイントになっている2つ星の条件を、その半分である50ポイントまで引き下げる。もう1つはd払いの付与率を上げるという施策の導入だ。

d払いにランク特典を加算、一方でdポイント特典は……

 前者の2つ星の基準緩和は、アクティブユーザーの拡大に寄与する施策といえる。現状の100ポイントをためるには、付与率0.5%の加盟店で、2万円分の買い物が必要になる。1カ月あたり、約6666円。そこまで高い基準ではないものの、積極的にポイントをためていなければ達成できない可能性はある。特に回線契約のないユーザーの場合、定期的にたまるポイントがないため、難度はより高くなる。

 この2つ星達成の基準が、半分の50ポイントに下がる。これによって、必要な買い物も半分の1万円で済む。1カ月で3333円。選択している料金プランにもよるが、ドコモ回線を契約しているユーザーであれば、それだけで達成できそうな金額だ。伊藤氏も、「日頃のお買い物だけで2つ星に上がり、お得を体験していただけるようにすることを重要視した」と語る。

dポイントクラブ 2つ星に上がるための基準を、3カ月で50ポイントへと大幅に緩和する。一部の料金プランを除くと、ドコモ回線を使っているだけで達成できる水準だ

 一方で、3つ星以上の基準は変わらず、5つ星に上がるのは3カ月で5000ポイントと、なかなかのハードルだ。ドコモ回線を利用しつつ、ドコモ光やドコモでんきといったサービスを利用し、かつdカードGOLDでの支払いをすれば達成はしやすくなるものの、そうでなければ比較的大きな買い物が必要になる。

 2つ目の施策は、d払いでの決済に対するポイント付与率を向上させることだ。現状のd払いでは、残高やdカード、携帯電話料金合算払いで支払った場合、決済額の約0.5%分のdポイントが付与される。この還元率は、おおむね他社と同じ。実際、ソフトバンクのPayPayも、KDDIのau PAYも、基本の還元率は0.5%に設定している。

 これに対し、dポイントクラブの新しいランク制では、3つ星以上の場合、d払いの付与率がアップする。向上する付与率は、3つ星が0.1%、4つ星が0.5%、5つ星が1%だ。例えば、付与率0.5%の店舗でdポイントをため、dカード設定をしたd払いで支払うと、3つ星の場合2.6%、4つ星の場合3%、5つ星で4%の還元を受けられる計算になる。

dポイントクラブ ランクに応じて、d払いの還元率が上がる。3つ星以上が対象で、3つ星は0.1%、4つ星は0.5%、5つ星は1%が加算される(それ以外の1%は、ベースの還元率である0.5%と、dカード設定をした場合なので、今回のアップデートとは関係ない)

 また、携帯電話料金に充当したdポイントにポイントがつく「料金充当特典」も加わる。こちらも3つ星以上が対象。3つ星は1%、4つ星は2%、5つ星に関しては5%と大盤振る舞いだ。ためたdポイントを加盟店ではなく、ドコモ自身で消費するというのはある意味原点回帰だが、ここはドコモが強化している部分。“実質料金”を安く抑えられるポイ活プランの導入なども、その一環といえる。

dポイントクラブ dポイントを携帯料金の支払いに充当すると、その分ランクに応じたポイントがたまる
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