NTTドコモは、アマゾンジャパンとの提携強化を発表した。Amazonがdポイント加盟店になり、同サイトでのショッピングでdポイントがたまるようになった。dポイントの利用にも対応する。これまでも、「d払い」を通じてdポイントの利用はできたが、直接dポイントに対応することにより、他の決済方法との組み合わせが可能になった。合わせてドコモ経由でAmazonプライムを申し込むと、毎月120ポイントのdポイント還元を受けられる特典を導入している。
キャリア各社がポイント経済圏を拡大している中、ドコモはなぜAmazonとタッグを組むことになったのか。その背景には、キャリア各社がEC(イーコマース)と通信サービスの連携を強化している動きがある。Amazon側にも、キャリアのユーザーを取り込む狙いがあると見ていいだろう。ここでは、両社の提携強化がモバイル業界に与える影響を考察していく。
2012年にAmazonの電子書籍リーダー「Kindle」に3G回線を提供することで協力を開始したドコモだが、経済圏という観点での取り組みは2017年の「ドコモ払い」対応にさかのぼる。2018年にはドコモ払いがd払いに代わったが、現在でもこの関係は続いている。一方で、Amazonには、ドコモが経済圏の軸にしているdポイントが導入されていなかった。d払いでの決済には充当できるものの、dポイントがたまったり、dポイント単体で使えたりできなかったというわけだ。
こうした状況の中、4月10日にドコモとアマゾンジャパンは記者会見を開き、新たに始める2つの協業を発表した。その1つが、dポイントだ。Amazonがdポイントの加盟店になることで、同サイトでの買い物に対してポイントが付与されるようになる。もう1つが、Amazonプライムに関する協業。このサービスにドコモ経由で入会した場合、毎月120ポイントが還元される他、特定の料金プランや一定以上の年齢の場合に買い物の際の還元率が向上する。
1つ目の施策により、ドコモとAmazon、双方のアカウントを連携させるだけで、Amazonでの買い物に対してdポイントがたまるようになった。その還元率は1%。0.5%が多い他の加盟店より大盤振る舞いといえる。Amazonが共通ポイントであるdポイントを採用したという位置付けのため、ドコモ回線以外のユーザーも還元の対象だ。ただし、ポイント付与は1回あたりの購入額が5000円を超えた場合に限定される他、1回100円という上限も設けられている。
もう1つの施策は、ドコモ回線のユーザーを対象にしたもので、まず、ドコモ経由でAmazonプライムを契約すると、その料金に対して毎月120ポイントが還元される。ドコモは、「Netflix」や「Disney+」「YouTube Premium」などの映像系サービスや、音楽サービスの「Spotify Premium」、ゲームサブスクリプションの「Apple Arcade」などを契約するとdポイントを還元する「爆アゲ セレクション」を用意しているが、発想や仕組みはそれに近い。
ドコモ回線契約者がAmazonプライムを利用する場合、料金プランや年齢に応じて、買い物をした際のポイント還元率も上乗せされる。これは、Amazonに特化した取り組みだ。料金プランがeximo、ahamo、ギガホの場合、注文金額の1%分が別途付与される。さらに、ユーザーが60歳以上の場合、追加で1%の還元を受けられる。これらの還元には5000円という下限はないが、それぞれの上限は毎月100ポイント。60歳以上のユーザーがeximoを契約し、かつ5000円以上をAmazonで注文した際の還元率は3%、d払いで支払うと3.5%に上がる。
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