ドコモがAmazonと“dポイント”で提携の背景 楽天やPayPayとの違いはどこにある?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2024年04月13日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

ECが弱点だったdポイント経済圏、他社グループとの違いは

 ドコモの狙いは、dポイント経済圏でECを強化するところにある。ドコモのウォレットサービス部長の田原務氏は、「dポイントクラブを15年から提供しているが、平たく言うと、やはりECが弱い。そういったところのリクエストを、会員の皆さまからいただいていた」と語る。実際、ドコモ自身でも「dショッピング」を提供しているものの、他社に比べるとサービスとしての規模は小さい。

ドコモとアマゾン ECが弱かったと率直に語るドコモの田原氏

 競合他社を見渡すと、楽天モバイルには楽天市場があり、ECの規模感ではAmazonに匹敵する。楽天グループは、2023年12月に「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」を改定しており、楽天モバイルを契約していると、常時4%ポイント付与率が上がる仕掛けだ。月間2000ポイントという上限はあるが、楽天モバイルを契約するモチベーションになるのと同時に、楽天市場の利用促進にもつながっている。

ドコモとアマゾン 楽天モバイルは、楽天市場とSPUを通じて連携しており、クロスユース率も高い

 同様に、ソフトバンクはメインブランドのソフトバンクや、サブブランドのY!mobileのユーザーに、「LYPプレミアム」を無料で提供している。この会員になると、ソフトバンク傘下のLINEヤフーが運営する「Yahoo!ショッピング」で買い物をした際の還元率が2%アップする。さらに、支払いにPayPayを使うと3%から3.5%、還元率が上乗せされる仕組みだ。ソフトバンクユーザーには、毎月500円が還元されるPayPayクーポンも配布しており、ECと通信サービスでシナジー効果を出している。

ドコモとアマゾン ソフトバンクも、自社の回線ユーザーに無料でLYPプレミアムを付けており、Yahoo!ショッピングでの還元率を2%上げている

 楽天モバイルとソフトバンクは自社グループに巨大なECサービスがあり、それと通信サービスがポイントや決済サービスを通じて連携している格好だ。それより規模感は劣るが、KDDIも傘下のauコマース&ライフが「au PAYマーケット」を運営している。これに対し、ドコモのdショッピングはオールアバウトの子会社との共同運営で、取扱高も「サンプル百貨店」と合わせて四半期で100億円規模にとどまっている。

ドコモとアマゾン d払いをドコモと運営するオールアバウトの2024年第3四半期決算説明資料。四半期ごとの取扱高は100億円を超えたところで、他社の後塵を拝している

 自社運営のECが弱いのは、「お察しの通り」(同)と言う状況。経済圏拡大のために、この分野を強化していく意向はあるものの、「自分たちで何か作るのか、資本提携するのかは決まっていない」(同)。こうした中、dポイント経済圏に楽天市場と肩を並べる規模感のAmazonを加えられるインパクトは大きい。Amazonは、d払いでも「かなりの取扱高がある」(同)といい、dポイントへの対応でこの利用を促進できる公算が高い。Amazonがおトクに使えるという売りは、ドコモユーザーの解約抑止につながる可能性もある。

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