Lenovo傘下の企業として再スタートを切ったFCNTが5月16日、新型スマートフォン「arrows We2」「arrows We2 Plus」を発表し、今後の事業戦略を明らかにした。arrows We2はエントリーモデルで、arrows We2 Plusはミッドレンジモデルとなる。どちらも「arrows We」の後継モデルで、堅牢(けんろう)性や独自機能がアピールされる。
両モデルともにIP6X等級の防塵(じん)性能と、IPX5/8等級の防水性能を確保し、泡ソープ(または薄めた中性食器用洗剤)による本体洗浄と、アルコール消毒にも引き続き対応している。MIL-STD-810H(MIL規格)に定める23項目の耐衝撃/耐環境テストもクリアしており、arrowsシリーズならではの売りとなっている。従来との大きな違いとしては、arrows We2 Plusで自律神経の状況を確認できることが挙げられる(詳細は後述)。
都内の発表会場では、FCNTの田中典尚社長、桑山泰明副社長、外谷一磨氏(プロダクトビジネス本部 チーフプロフェッショナル)が戦略や製品の説明を行った他、京都大学名誉教授でおせっかい倶楽部 代表取締役の森谷敏夫氏が自律神経に関して解説した。
旧FCNTは2023年5月30日付で東京地方裁判所に対して民事再生法の適用を申請し、事実上の経営破綻状態となったが、中国Lenovoが同年9月29日(日本時間)に旧FCNTのプロダクト(携帯電話端末)事業とサービス事業を継承したことを発表。そして、その翌々日の10月1日に新会社として再スタートを切った、というのがこれまでの流れだ。
田中社長は「旧FCNTでソリューションを担当していた部隊は解散したが、お付き合いのあったパートナーに資産の一部を譲渡した」とし、「まずはスマートフォンとコミュニティーサービスに集中する」との考えを明らかにした。
旧FCNTがこれまでに企画開発し、NTTドコモが販売してきた「arrows ケータイ ベーシック F-41C」「arrows ケータイ F-03L」「らくらくホン F-01M」をはじめとするフィーチャーフォンについて、外谷氏は「われわれとしては継続したい」としつつも、「通信事業者と相談しながら準備できれば」とした。
では、新生FCNTは旧FCNTからどのようなことを引き継ぎ、何を重点的に強化していくのだろうか? 桑山副社長は「FCNTは誰一人取り残さないというフレーズを大切にしている」と話し、「その象徴であるらくらくスマートフォンやらくらくコミュニティーなど、シニアへの取り組みも旧FCNTから受け継いでいる」とした。
さらに、桑山副社長はサステナビリティ(持続可能性)に配慮した新型スマートフォン「arrows N」の存在にも触れ、「NEXT(次の)arrows Nについても検討する」考えを示した。
arrows We2シリーズの先代として2021年に発売されたエントリーモデル「arrows We」は、メーカー調べの出荷台数が280万台以上を記録した(2021年12月〜2024年4月末)。MM総研の調べによると、この台数は日本で発売されたAndroidスマホとしては史上最多だという。
旧FCNTではヘルスケアの領域にも取り組んでいた。その代表的なサービスがらくらくスマートフォンやarrows向けの会員サービス「La Member’s(ラ・メンバーズ)」だ。本サービスも新生FCNTが引き継いでおり、桑山副社長は「今後さらにヘルスケアに特化した機能をブラッシュアップしたい」と意気込む。
arrows We2シリーズの発表に合わせて、FCNTの新しい企業ロゴも披露された。桑山副社長いわく、人に寄り添うやさしいテクノロジーを表現したロゴで、特に「F」「C」「N」の3字の丸みがより強調された。桑山副社長は「arrowsシリーズ、らくらくシリーズと合わせて、新生FCNTのロゴについても、皆さんと一緒に育てていければ」とコメントした。
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