谷脇康彦前総務審議官がIIJ副社長に就任予定――MVNOの復活に向けての活躍に期待石川温のスマホ業界新聞

» 2022年04月03日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 インターネットイニシアティブ(IIJ)はNTTからの接待問題で処分を受け、辞職した谷脇康彦・前総務審議官が6月28日付で副社長に就任すると発表した。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年3月26日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 先月、業界関係者から「谷脇さんがIIJの顧問になったらしい」という話を聞いていたのだが、想像通り、副社長に就任することが明らかになった。

 ネット上では早くも、接待問題で辞任に追い込まれた官僚を受け入れることに批判の声が殺到しているようだが、IIJの現社長である勝栄二郎氏も官僚出身であることから、鈴木幸一会長の考えなのだろう。

 接待問題が盛り上がっている最中、IIJの決算会見で、あえて鈴木会長を名指しして、「NTTによる接待問題、さらに谷脇さんについてどう思うか」と直接、聞いたことがある。

 その際には「代表的な通信インフラを担うNTTと、国の政策を担う総務省は絶えず何らかのコミュニケーションをしていくことが国の政策を作る上で必要なのだろう。ただ、接待と別に周到な議論を重ねて欲しい。彼は若い頃から存じ上げている。優秀な方で、国際的に日本がどういう通信をやっていくか、現在、中国とアメリカとの関係や、セキュリティ問題が差し迫っている中、貴重な人材だったという認識がある。

 ああいった問題がどうやって起きたかわからないが、今後、日本がセキュリティを含めて、国際的に通信政策をどう舵取りをしていくかが深刻となっている。そんな時期に優秀な方が関与できないというのは国にとっても大きな問題ではないか」と嘆いていた。

 いまのIIJがあるのは、鈴木会長と谷脇さんとの関係があるからとも言われており、鈴木会長が谷脇さんに手を差し伸べたものと思われる。

 個人的には、是非とも谷脇さんにはNTTドコモの渉外担当部門に対して積極的にネチネチと交渉をして、MVNOがさらに盛り上がるように頑張ってもらいたい。NTTドコモ側としても、制度に詳しく、さらに何かあれば、息がかかった総務省をバックにつけることが容易な谷脇さんが相手となれば、日本通信以上の強敵が現れることになりそうだ。

 先週のモバイルフォーラムでは「MVNOはどうしたら復活できるか」がテーマであった。MVNOを蘇らせるためにも、谷脇さんの活躍に期待したい。

 ただ、官僚出身の副社長が、これまで管轄していた業界で暴れ回ることが「公正競争上、正しいのか」が議論になるような気もしている。

 また「NTTが筆頭株主であるIIJに、NTTからの接待問題で処分された谷脇さんが副社長に就任するのはどうなのか」という突っ込みもあるなど、6月の副社長就任後も、いろいろと業界内の話題になることは間違いなさそうだ。

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