Nebulaアプリには大きく2つのモードが備わる。1つはスマートフォンの画面がNreal Airに投影(ミラーリング)される「Air Casting」モード。もう1つは仮想3次元空間上に複数のコンテンツを同時に映し出す「MR Space」モード。厳密にいえばAir Castingモードには全面に表示できる「フルスクリーン」と、全面に表示しない「サイドスクリーン」の2つのモードが存在する。
Nreal AirをPCのサブディスプレイとして活用できないかと思い、Air Castingモードを使ってみたが、頭を動かすと画面も追随するため、あまり実用的ではなかった。とはいえ、単純にテレビや大型モニターよりも画面が小さいスマートフォンでは物足りない人にとっては、YouTubeなどの映像コンテンツを、Nreal Airの大画面で楽しめるため、ストレスなく使えそうだ。
スマートフォン向けに配信されているゲーム画面をAir CastingモードでNreal Airに投影してみたが、基本的に手元の操作パネルやコントローラーなどがNreal Airに隠れてしまい、快適なプレイとはいえない。パフォーマンスはスマートフォンの性能に依存するため、ここでの言及は避けたい。
一方のMR Spaceモードはスマートフォンを「タッチパッド」や「リモコン」のように使える。スマートフォンを上下左右に動かせば、レーザーポインターも同じように動くので、例えば何かを選ぶときにはレーザーポインターをアイコンなどに合わせた後、スマートフォンの画面をタップするだけで済む。この辺りはうまく作り込まれているのだが、MR Spaceモードで楽しめるコンテンツはまだまだ少ないと感じた。視点を動かしても画面が固定されるものの、サイクリングの動画を視聴したり、Webブラウザを閲覧したりするだけにとどまるからだ。
表示について上記以外にも気になったことがある。それはユーザーと仮想スクリーンの距離だ。Nrealは4mで130インチ(Air Castingモード使用時)相当、6mで201インチ(MR Spaceモード使用時)相当で表示できる、と表現しているが、厳密には決まった数字・距離はなく、何cm以内という近さもあれば、何mも離れていることもあり得るという。Air Castingモードでは、ユーザーがスマートフォンの画面をNreal Airに投影する際、ユーザーと仮想スクリーンの距離は固定されるが、MR Spaceモードでは、仮想スクリーンを遠ざけたり近づけたりできるので、それに応じて仮想スクリーンのサイズも変わる。
つるにはスピーカーとマイクが付いている。スピーカーの音質については、低音域から中音域にかけては物足りなさを感じたが、意外と満足できたのは、完全ワイヤレスイヤフォンとの組み合わせだ。大型のVR機器とは違い、Nreal Airは目を完全に覆わないし、耳をふさがない完全ワイヤレスイヤフォン「LinkBuds」とセットで使えば、コンテンツに没入し過ぎるのを防ぐことができそうだ。ただ、Nreal AirのスピーカーにしてもLinkBudsにしても、音量が大きくなるほど音漏れが気になるので、それがネックなら密閉型のイヤフォンを使えばいい。
残念だったのがマニュアル類の不足だ。筆者が確認した限りでは製品の使い方に関するガイドや、使用上の注意書きが目立つようなところに記載されていないのが気になった。明らかに小さな子どもが手を出すような製品ではないが、この辺の周知の徹底を切望したい。
とはいえ、カメラやセンサー類が省かれていることが4万円切りの価格に反映されており、NrealLightよりも手が出しやすくなったのは確かだ。それに重たいディスプレイをリュックにつめて持ち運ばなくても、ケーブル1本あればスマートフォンの画面を映し出せるNreal Airの良さにほれた。
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