―― AシリーズとMシリーズはスペックも近いですが、どこですみ分けをしているのでしょうか。
小林氏 本社はオンライン専用がMシリーズという言い方をずっとしています。グローバルではAmazonが強い力をお持ちなので、Amazonモデルという形になっています。一方で、アジア圏の一部やラテンアメリカなど、必ずしもAmazonが強いわけではない地域では、オンラインモデルという言い方をしています。将来的にも、これを統合していくという意思はあまり感じません。
―― 一方で、Galaxy M23 5Gはグローバル版に近い仕様です。日本市場で以前から活躍しているサムスンには、どうしてもローカライズを求めたくなります。
小林氏 それは、この後どうしていくかの話です。さまざまなユーザーの皆さまの声を伺い、日本ではどういう評価だったのかを本社にぶつけて、こうしなければやはりダメだという議論になっていきます。
―― その議論をするためにも、Galaxy M23 5Gは1台でも多く出た方がいいということですね。
小林氏 そうですね。フラグシップのときには、OEMとしてキャリアの要求に仕様としてお応えする部分があります。全部入りがいいとなれば全部入りにしますが、本当にどこまでがお客さまのニーズやウォンツなのかは、1回見てもいいと考えています。そこで防水に対する声が大きかったという話になれば入れますが、Mシリーズを買われる方にとってどこまでそれが必要なのかは、見定める必要があります。
―― 投入時期に関してですが、メーカーの中では最後発に近いと思います。なぜ2022年になったのかという背景を教えてください。
小林氏 サムスン電子の文化として、石橋をたたきながら渡る以上に、橋が割れてもいいからたたくというところがあります。お客さまのニーズだけでなく、キャリアとの関係性なども含め、いろいろな方の意見を聞いてきました。これは、自分が入社する前から、ああでもない、こうでもないとやってきました。(オープンマーケットは)マーケットとして読めないところがあるのも事実です。
今まではB2B2Cのモデルで、キャリアの要求する水準を満たし、きちんとした卸値でお渡しして、供給を保証できればビジネスになっていましたが、オープンになればなるほど、ビジネスモデルはB2Cに近くなっていきます。製品を売る際に、マーケティングの要素がなかったり、お客さまのニーズやウォンツを把握しないまま出してしまったりで結果が良くないと(負の)ブランドインパクトも大きい。私はもともと車業界にいましたが、そういった出し方をして失敗した会社もあります。自分で売るということには覚悟もいります。
―― 確かに、単に販売すればいいだけでなく、アフターサービスなどの体制も整えなければ、Galaxyに期待していたユーザーのニーズは満たせないと思います。メーカーによっては後付けになってしまうこともありますが、今回は「Galaxy Care」も同時に出してきました。
小林氏 ユーザーの立場で考えると、キャリアの端末を買うときにはしっかりとした保証があり、安心感があります。オープンマーケットでもAmazonはAmazonなりに準備はしていますが、Galaxyを購入したお客さまがGalaxyの体験をする際に、使い始めた後の保障は非常に大事だと考えました。
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