世界を変える5G

SIMフリー「Galaxy M23 5G」を試す サムスンがオープン市場で成功する鍵は?石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2022年04月16日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 NTTドコモから発売された初代「Galaxy S」を皮切りに、日本で約12年間Androidスマートフォンを販売してきたサムスン電子だが、同社の端末は、キャリアを通じてしか入手することができなかった。「Galaxy Z Flip Thom Browne Edition」や「Galaxy Z Fold2 Thom Browne Edition」のようなコラボモデルは、例外的にサムスン自身が取り扱っているものの、通常モデルは、原則としてキャリアモデルとして提供されている。

 一方で、MVNOの台頭に伴い、中国メーカーや台湾メーカー、日本メーカーの一部はメーカー独自の販路を開拓。MVNOの一部も、こうした端末を取り扱うようになった。そんな中、サムスン電子が満を持してオープン市場に投入するのが、「Galaxy M23 5G」だ。4月21日の発売に先立ち、同モデルを一足先に試用できた。ここでは、その使用感をお伝えするとともに、サムスン電子の勝機を探っていきたい。

Galaxy M23
Galaxy M23 4月21日に発売されるGalaxy M23 5G。サムスン初のメーカーモデルという位置付けで、デュアルSIMにも対応する

Amazonに特化したGalaxy Mシリーズ、重視したのは基本性能

 Galaxy M23 5Gは、“オンライン専用モデル”をうたう端末だ。販路は、Amazonに加え、ビックカメラやヨドバシカメラといった家電量販店のオンラインストアに限定される。サムスン電子ジャパンでCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を務める小林謙一氏によると、同シリーズは、グローバルでも「Amazonとニーズを確認しながら開発されたモデル」だという。

 スペックとしてはミドルレンジモデルのGalaxy Aシリーズに近いが、よりオンラインでの販売に特化し、ニーズの高い仕様を組み込んだのが同モデルの特徴といえる。日本でも、Amazonでの販路を中心に考え、「通信事業者(キャリア)モデルとは明確に違う」(同)Galaxy M23 5Gを投入するに至った。

Galaxy M23 Amazonをターゲットに開発されたというGalaxy Mシリーズ。日本でも、Amazonや家電量販店のオンラインサイトで販売される

 小林氏によると、ターゲットは「通信料と端末価格が一体になっていないことを気にしない方」。端末と通信サービスがセットになっていないことの多い、オンライン専用プラン/ブランドやMVNOのユーザーにリーチするための端末といえそうだ。いわゆるメーカーモデルでは、端末のコストパフォーマンスが重視されることが多いだけに、Galaxy M23 5Gも“お値段以上”の機能を盛り込んだ。

 1つ目が、ディスプレイだ。同機は6.6型と比較的大型のディスプレイを備えており、解像度はフルHD+だが、1画面に表示できる情報量が多く、動画などを見ても迫力がある。サムスン電子が得意とする有機ELではなく液晶のため、コントラスト比は低いが、チューニングが行き届いているためか、発色などの傾向はフラグシップのGalaxy Sシリーズなどにかなり近づけてある印象だ。

Galaxy M23 ディスプレイは6.6型と大型で、迫力がある。液晶ながら、発色などのチューニングは有機ELを搭載したGalaxyに近い印象を受けた

 液晶では採用例の少ない、120Hzのリフレッシュレートに対応しているのもポイント。書き換え速度を上げると、そのぶんバッテリーの消費量は多くなってしまうものの、画面をスクロールさせた際の動きが滑らかで、操作感は良好。2つ目の要素として、プロセッサにSnapdragon 750Gを採用しているのも、レスポンスのよさに貢献している。約4万円の端末としては、十分快適な端末といえそうだ。

Galaxy M23 リフレッシュレートは120Hzに対応。設定で切り替えることが可能だ

 一般的なキャリアモデルでは、この価格帯で120Hzのディスプレイや700番台のSnapdragonを搭載しているケースは少ない。例えば、120Hzの有機ELディスプレイを備え、Galaxy M23 5Gと同じSnapdragon 750Gを搭載したドコモの「Galaxy A52 5G」は、価格が約6万円。その他のスペックに違いがあるため、価格差を横並びで比較するのは難しいが、メーカーモデルを好むユーザーの趣向に合わせ、基本性能の強化にコストをかけたことがうかがえる。

Galaxy M23 スクロールがスムーズで、軽快な操作感を実現している
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月25日 更新
  1. 3COINSで1万1000円の「プロジェクター」を試す 自動台形補正、HDMI入力、Android OS搭載で満足度は高め (2025年12月24日)
  2. “やまぬ転売”に終止符か 楽天ラクマが出品ルール改定予告、「健全な取引」推進 (2025年12月23日)
  3. iPhoneのロック画面で「カメラが起動しちゃった」を防げるようになった! その設定方法は? (2025年12月24日)
  4. 関東地方で5G通信が速いキャリアは? ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルでICT総研が比較(2025年12月) (2025年12月24日)
  5. 「楽天カード」は2枚持てる? 2枚持ちのメリットや注意点を解説、持てない組み合わせもあり (2025年12月23日)
  6. 「HUAWEI WATCH GT 6」レビュー:驚異のスタミナと見やすいディスプレイ、今買うべきスマートウォッチの有力候補だ (2025年12月24日)
  7. 若いiPhoneユーザーの間で「クリアケース」に人気が集まっている理由 すべては“推し”のために (2025年12月25日)
  8. mineo料金プラン改定の真相 最安狙わず「データ増量+低速使い放題」で“ちょうどいい”を追求 (2025年12月25日)
  9. CarPlay/Android Auto対応「OttoAibox P3 Pro」発売 従来機から操作性向上、2画面表示も可能 (2025年12月23日)
  10. メルカリで詐欺に遭った話 不誠実な事務局の対応、ユーザーが「絶対にやってはいけない」こと (2025年04月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー