世界を変える5G

これはNoteの新モデル? ペン内蔵の「Galaxy S22 Ultra」をじっくりと試す S22は小型で日本人向け(1/3 ページ)

» 2022年04月07日 18時00分 公開
[山根康宏ITmedia]
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 サムスン電子の最新スマートフォン「Galaxy S22 Ultra」「Galaxy S22」が、NTTドコモとau(KDDIと沖縄セルラー電話)から発売されることになった。両キャリア共に、日本向けの独自機能として「おサイフケータイ」を搭載している。

 Galaxyシリーズの新たなフラグシップモデルは、2021年に発売された「Galaxy S21シリーズ」からどのように進化したのだろうか。じっくりチェックしていこう。

S22シリーズ Galaxy S22 Ultra(左)とGalaxy S22(右)

Galaxy S22 Ultraをじっくりチェック!

 Galaxy S22 Ultraは、チップセットにQualcomm製の「Snapdragon 8 Gen 1」を採用した高性能なスマホである。周波数の高いミリ波(28GHz帯)を含む5G通信にも対応している。

 ディスプレイは6.8型の有機ELディスプレイで、解像度は1440×3088ピクセルとなる。リフレッシュレートは最大120Hzで、1〜120Hzの範囲でアプリの動作に合わせて自動調整する機能もそなえている。最大輝度は1750ニトだ。

 内蔵バッテリーは約5000mAhで、45Wの高速充電に対応する。アウトカメラは4眼(クアッド)構成となる(詳しくは後述)。ボディーカラーはバーガンディ(Burgundy)とファントムブラック(Phantom Black)の2つから選べる。今回は、深みのある赤ワインのような色合いのバーガンディーの本体を試用する。

Galaxy S22 Ultraの前面と背面 Galaxy S22 Ultraの前面と背面

Galaxy Noteが事実上“復活”

 Galaxy S22 Ultraは、Galaxy Sシリーズとして初めてスタイラス「Sペン」の収納に対応した。Galaxy SシリーズにおけるSペン対応は、2021年発売の「Galaxy S21 Ultra 5G」が最初だったが、ペンは内蔵できなかった。

 ペンは、本体の底面左側に収納できる。底面のフラットぶりも含めて、「Galaxy Note20 Ultra 5G」とよく似たデザインとなっている。

Sペンの収納場所 本体下部にSペンを収納。電源やボリュームボタンは左側に配置。上部と右側は何もない

 筆者はGalaxy Noteシリーズを初代から使い続けている。実際に持ってみると「これはGalaxy Noteの最新モデル?」と感じたほどである。

 実際に使ってみると、Galaxy S22 UltraはGalaxy S21 Ultra 5GとGalaxy Note20 Ultra 5Gを“融合”して、基本スペックをブラッシュアップしたモデルであるとよく分かる。Galaxy S21 Ultra 5GユーザーにとってはSペンが標準で使えるメリットが大きい一方で、Galaxy Note20 Ultra 5Gを使っていた人にとっては1年ぶりの“後継機”の登場と感じられるだろう。

バネ式です Sペンは、ペンの底部を本体奥に押し込むとばね式で出てくる。Sペンの大きさはGalaxy Note20 5Gのそれとほとんど変わらない
出てくるよ Sペンは本体奥に押すと途中まで出てくる

Sペンがもたらす快適さは抜群!

 標準設定では、Sペンを本体から抜くとショートカットメニューが表示される。ここから「Galaxy Notes(メモアプリ)」を起動したり、画面上の表示を拡大したり、画面をキャプチャして書き込みを加えたり、文字を翻訳したり……といった操作ができる。

 使い勝手は最近のGalaxy Noteシリーズと同等で、Galaxy Note20 Ultra 5Gを使っていた人は特に違和感なく移行できるはずだ。

ショートカットメニュー Sペンを抜くと表示されるショートカットメニュー

 Galaxy Notesにペンで文字を書いてみる。ペンの遅延(レイテンシ)は約2.8ミリ秒と短く、快適に書き込める。前モデルまでのレイテンシはApple Pencil(第2世代)とほぼ同じ約9ミリ秒だったので、それよりもさらに遅延がグッと減っている。遅延の少なさは、書き味の違和感を軽減する上で非常に重要である。

 ワコムの技術を使ったSペンは、手書き(手描き)であれば本体からサッと抜くだけで即座に使えるようになる。充電は不要だ。

遅延2.8ms Galaxy S22 UltraのSペンの遅延は約2.8ミリ秒。すらすらと書き込める

 Galaxy Notesは、書いた文字をテキスト化する機能も備える。文字を手書きした後で、画面下にあるアイコンから「テキスト化」を選ぶと、手書きした部分が自動選択され、その下に認識結果(テキスト)が表示される。

 日本語の認識率はかなり高く、乱筆であっても比較的正しくテキスト化してくれる。メモを取った後にテキスト化した文字をコピーして、他のアプリに貼り付けることも簡単だ。

 手書きとテキスト化は、Galaxy S22 Ultraを購入したらぜひ使ってほしい機能である。

手書きをテキスト化 手書きで文字を書いたのち、画面下のテキスト化アイコンをタップすると、自動的にテキストに変換してくれる。このまま画面上に貼り付けることも、コピーして他のアプリで使うことも可能だ

 Sペンはカメラ回りの操作にも便利に使える。

 一番有用なのは、カメラを起動中にSペンのボタンを押すとシャッターが切れる「リモートシャッター」だ。Sペンを左右に振ると、カメラモードを切り替えられる。動画モードやポートレートモードへの切り替えも本体に触れずに行える。アウトカメラとインカメラの切り替えは、Sペンを上下に振ればよい。

 この機能は、SペンがBluetooth通信機能を内蔵しているからこそ。必要な電力は、本体に収納すると自動的に充電される。ペアリング操作なども不要だ。

Sペンでカメラコントロール カメラのコントロールもSペンで行える。リモート操作にはBluetoothを用いる

 プリインストールの「ギャラリー」アプリもSペンに対応している。大量に撮影した写真から好みの1枚を探したいときは、サムネイルにSペンを近づけるだけで拡大表示してくれる。画面に触れる必要はなく、画面上を滑らせるようにSペンを動かせば拡大写真を次々と表示してくれる。

 Sペンは音楽プレーヤーの再生コントロールにも対応する。Sペンは手書き以外のさまざまな操作に利用できるのだ。

サムネイル表示でSペン ギャラリーのサムネイルから拡大写真表示を行える

 Sペンを使った細かい操作は動画の編集にも有用だ。最近ではSNSでシェアされるコンテンツも動画が増えており、適当に撮った動画から不要な部分を削除してシェアすることも多い。Galaxy S22 Ultraのギャラリーアプリでも動画の簡単な編集は可能だが、指先では0.1秒単位のトリミング指定は難しい。

 しかし、Sペンを使えば細かいトリミング調整も楽にできる。動画も好みの部分をしっかりと切り取れるのは本当に快適である。

動画編集にSペン 動画編集の細かい操作にSペンを使う。快適そのものである

大画面×Sペンでマルチウィンドウも快適!

 Galaxy S22 Ultraのディスプレイは大きく高精細だ。そのこともあって、2つのアプリを同時に起動する「マルチウィンドウ」がとても使いやすい。SNSを見ながら動画を再生したり、Web検索しながら地図を開く、といったことも無理なくできる。

 Androidのマルチウィンドウ機能では、2つのアプリを起動した際に表示の境界線をドラッグすることで表示の比率をある程度変えられる。Galaxy S22 Ultraなら、Sペンを使うことでその操作も楽に行える。

Sペンならマルチウィンドウも楽々 Sペンを使って2つのアプリの表示エリアの割合を変更

 Galaxy S22 Ultraでは、複数のアプリを小さなウィンドウとしてポップアップ表示することもできる。この小さなウィンドウのサイズ変更や場所の移動も、Sペンを使えば簡単だ。Sペンは単なる手書きのスタイラスにとどまらず、指先よりも細かい操作が行える「ポインティングデバイス」にもなるのである。

移動する図 小ウィンドウを表示して、サイズや場所を変更

ミリ波にも対応する“プロフェッショナルなスマホ”

 このように、Galaxy S22 Ultraは、Galaxy Noteシリーズ譲りのSペンを使えるだけでなく、遅延速度をより短くしたことで操作性も向上している。スマホのスタイラスの印象を大きく変えるSペンが使えるGalaxy S22 Ultraは、写真や動画撮影、イラストなどのクリエイティブツール、ビジネス使用などプロフェッショナルな用途に向いたスマホなのだ。

 ちなみに、先に少し触れた通り、Galaxy S22 Ultraはミリ波の5Gにも対応する。LTE(4G)からの転用を含む「Sub-6」と呼ばれる6GHz以下の帯域による5Gと比べるとエリアは非常に限られるが、対応エリアでは大容量かつ高速な通信を楽しめる。

 ミリ波に対応する5Gエリアで「ドコモスピードテスト」アプリを使って通信速度を計測した所、下り(受信)通信速度が1.7Gbpsを超えた。Sub-6エリアでも条件が良ければ1Gbpsを超える速度を出せるが、ミリ波対応エリアでミリ波対応モデルを使えば、“1Gbps超え”を比較的簡単に実現できる。

都内のミリ波エリア 東京都内のミリ波エリアで通信速度のテスト。下り速度は1.76Gbpsと非常に高速だ
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