サムスン電子は2月10日、フラグシップモデルの「Galaxy S22」シリーズを計3機種発表した。最上位モデルの「Galaxy S22 Ultra」は、S Penの収納が可能になった他、シリーズ共通の特徴として、AIを生かしたカメラ機能の強化が挙げられる。日本での展開予定は明かされていないが、例年通りだとすると、夏商戦向けの端末として登場する可能性が高そうだ。
同社は、Galaxy S22でSシリーズとNoteシリーズを統合。ユーザーエクスペリエンスの強化も図り、GoogleやMicrosoftのサービスを有機的に連携させている。クローズドなエコシステムを自ら築いて端末の使い勝手を高めるAppleに対し、サムスンはオープンなサービスを組み合わせることで、これに対抗する構えだ。同時に発表された「Galaxy Tab S8」シリーズからも、そのような狙いが透けて見える。
2021年と同様、ディスプレイサイズの異なる「Galaxy S22/S22+」の2モデルに加え、「Ultra」の名を冠したGalaxy S22 Ultraを用意したサムスンだが、中身を見ていくと、それぞれの端末の役割が変化していることが分かる。特に大きく変わったのが、最上位モデルのGalaxy S22 Ultraだ。同モデルは、「Sシリーズとして初めてS Penを内蔵できる」(サムスン電子担当者)のが最大の特徴。AIを利用し、カメラの性能も大きく高めた。
その生産性の高さから、ユーザーからも好評だったGalaxy Noteだが、2021年は新モデルが投入されていない。サムスン電子のMXビジネス部門で社長兼部門長を務めるTMロー(盧泰文)氏によると、「より多くのカテゴリーのデバイスに、もっとも愛されていたGalaxy Noteの機能を統合している」のがサムスンの戦略だという。
実際、2021年にはフォルダブルスマートフォンの「Galaxy Z Fold3 5G」が初めてS Penに対応。Galaxy S22 Ultraの前身ともいえる「Galaxy S21 Ultra 5G」も、本体に収納こそできないがS Pen自体には対応していた。また、タブレットでは、S Penが標準的に対応するようになった。Galaxy S22 UltraのS Pen対応は、その取り組みの一環といえる。
一方で、端末のデザインを見ると、実態はGalaxy Noteのリブランディングに近いことが分かる。背面に仮面のようにも見えるカメラユニットを配したGalaxy S22、S22+に対し、Galaxy S22 Ultraは4眼のカメラが直接本体背面に取りつけられている。上下のフレームが直線的なデザインになっていたり、ディスプレイがカーブしていたりするところも、Galaxy Noteをほうふつとさせる。
本体の機能やデザインだけを見た人が、この端末をGalaxy S22の上位モデルと言い当てるのは難しいかもしれない。見方を変えると、Galaxy Zシリーズが主力製品になりつつある中、フォルダブルではないフラグシップモデルのラインアップをSシリーズにまとめて整理したというように受け取れる。Galaxy Noteにも、「+」や「Ultra」を冠するモデルがあったが、これらを「SシリーズのUltra」に一本化したというわけだ。
Galaxy Noteの投入を見送った2021年は、Galaxy S21 Ultra 5GがGalaxy Noteにはなりきっておらず、ブランド移行の過渡期だったことがうかがえる。サムスンのロー氏が「これによって、Noteのレガシーの次の章を飾ることが可能になる」と語っているように、Galaxy Z Fold3 5GのS Pen対応やGalaxy S22 Ultraの投入をもって、Galaxy Noteというブランドに終止符を打ったと見てよさそうだ。
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