ラインアップの見直しとともに、オープンなエコシステムを活用しながら、スマートウォッチやPCといった周辺機器との連携を強化していくのがサムスンの戦略だ。発表会でも、たびたびオープンなエコシステムへの言及があったこともそれを裏付ける。同社がOSにAndroidを採用しながら、Officeやオンラインストレージ、PC連携などの分野でMicrosoftとも手を組んでいるのには、このような背景がある。
例えば、Googleとはビデオ通話アプリの「Google Duo」を、YouTubeなどの「ライブシェア」に対応させた。自分が再生している動画を通話の相手と一緒に見るための機能で、動画以外にも、位置情報やメモの共有が可能になる。AppleはiOS 15でFaceTimeの「SharePlay」に対応したが、ライブシェアはそのGalaxy版だ。ビデオ通話のプラットフォームを持たないサムスンだからこそ、Googleの協力が必要だったといえる。
一方で、Microsoftの方が強みのある分野では、あえてAndroid標準の機能を使わず、独自に同社のサービスを組み込んでいる。OneDrive連携は、その1つだ。この機能は既に他のGalaxyにも搭載されているが、サムスンの独自アプリであるギャラリーは、Googleドライブではなく、OneDriveと同期ができるようになっている。写真や動画をPCと連携させることを考えると、Windowsに標準搭載されているOneDriveの方が、よりシームレスになるからだ。
Galaxy S22シリーズでもOneDrive連携は継続しており、3モデルのユーザーは6カ月間、トライアルとして容量が100GBに拡張される。発表会では、Galaxy S22 Ultraの「Expert RAW」で撮影し、編集した写真がOneDrive経由でシームレスにPCと同期する様子が披露された。GoogleドライブやGoogleフォトでも同様に自動同期はできるが、サムスンはWindows PCに標準搭載されているOneDriveを重視したことがうかがえる。
Windows PCとの連携では、Galaxy Tab S7以降のモデルが対応する「セカンドスクリーン」にも注目したい。Galaxy S20シリーズと同時に披露されたGalaxy Tab S8シリーズも、この機能に対応する。仕組みはワイヤレスディスプレイを使って、Galaxy TabをWindows PCのサブディスプレイにするというものだ。AppleはMacとiPadで「Sidecar」と呼ばれる機能に対応しているが、サムスンはWindowsとの親和性を高めることで、これに対抗する。
GoogleやMicrosoftといったプラットフォーマーの力を頼る一方で、自社ならではの特徴づけも怠っていない。Galaxy S22 Ultraに搭載される「Samsung Notes」(日本ではGalaxy Notes)によるデバイス連携は、その代表例だ。新モデルの投入に合わせ、サムスン電子はスマートフォンとタブレットでGalaxy Notesを連携させる機能を追加する。ペンの種類や色を変えるパレットをスマートフォンで常時表示させつつ、実際の筆記はより画面の大きなタブレットで行うというのが、その利点だ。
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