タブレットと言えば真っ先に思い浮かぶほどに、iPadが代名詞的な存在になってきましたが、最近ではハイエンドなAndroidタブレットを各社が発売しています。Android 12Lや次期Android 13では、タブレットなどの大画面対応が図られています。
Googleが3月に公開したAndroid Showの中で、Android Incの共同創設者であり、現在はGoogleでAndroidタブレット部門のCTOを務めるRich Miner氏は「近い将来、タブレットの販売台数がノートPCを上回るクロスオーバーポイントが発生する。その点を超えると戻ってくることはないだろう」と、今後タブレットが主力になっていくという考えを示しています。
Google自身もPixelタブレットの投入を予告しており、少しずつタブレットが盛り上がりを見せつつあります。こうなってくると気になるのが、Microsoftの対応です。
MicrosoftはタブレットPCであるSurface Proをリリースしていますが、Windowsのタブレット対応は意外と古く、2002年にリリースされた「Windows XP Tablet PC Edition」までさかのぼります。Windows XP Tablet PC Editionのリリースにより、各ハードウェアメーカーから多くのタブレットPCが発売されました。
ただ、このときはまだペン入力に重点が置かれており、現在のようなタッチ操作対応を意識したものは、2012年にリリースされたWindows 8からとなります。また、同じく2012年には、Microsoft初のタブレットPCであり、Surfaceシリーズの初代モデルとなるSurface(Surface RT)が発売されています(日本での発売は2013年3月)。
Windows XP Tablet PC EditionからWindows 8まで、実に10年もの期間が空きましたが、この間にはスマートフォンの普及、何よりiPhoneとiPadの発売などもあり、モバイルデバイスの操作が徐々にペン入力からタッチ操作に移行していた時期でもあります。ただ、Windows 8で導入されたタブレット向けUI(ユーザーインタフェース)の「Metro」の評価は、あまりいいものではありませんでした。デスクトップ画面ではなく、タイル状にメニューが並ぶなど、これまでのWindowsとは大きく変わったUIに戸惑ったユーザーが多かったのかもしれません。
このとき導入されたタブレット対応自体は、「タブレットモード」という形でWindows 10まで引き継がれています。ところが、2021年11月にリリースされたWindows 11では、タブレットモードが廃止されてしまいました。とはいえ、機能自体がなくなったわけではありません。これまでのようにユーザーによる手動での切り替えができなくなっただけで、PC側が対応していれば、キーボードを取り外したり、コンパーチブルタイプでキーボードを背面に回したりすると自動的にタブレットモードとなります。
なぜユーザーによる手動切替を廃止したのかは定かではありませんが、Windows 11では、他にもタスクバーの位置が固定になるなど、UI面での調整が入っています。Microsoftとしては、デスクトップならデスクトップ、タブレットであればタブレットと、決まったUIで使ってほしいという考えがあったのかもしれません。
そんなWindows 11のタブレット対応ですが、2月にInsider向けにリリースされた「Windows 11 Build 22563」では、タブレットに最適化されたタスクバーが追加され、タブレット対応が強化されています。
新しいタスクバーでは、上下にスワイプすることで「収納状態」と「展開状態」を切り替えられるようになります。アプリの使用中などは邪魔にならないよう収納状態になり、必要なときにスワイプすることで、タッチ操作がしやすいようアイコンなどが大きく表示されます。
わざわざ2つの状態を作らなくても、「タスクバーを自動的に隠す」を使えば済みそうではありますが、タスクバーが完全に隠れた状態だと、スワイプアップのつもりが表示しているコンテンツ側の操作になってしまうこともあります。このため、細くなるものの隠れはしない新タスクバーの方が操作はしやすいかもしれません。
なお、このタブレットに最適化されたタスクバーは、4月にリリースされたBuild 22610でいったん無効化されています。Insiderからのフィードバッグを考慮した結果とのことですが、エクスペリエンスを改善し、将来的に復活させたいともしており、タブレットの操作感改善を諦めたわけではないようです。
徐々にタブレットが主流になっていくかもしれない中で、Windowsがどのような形でタブレットへの最適化を進めていくのか、今後も注目しておきたいところです。
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