一方で、Xiaomi Japanは、ゲーミングスマートフォンというカテゴリーの端末として、POCO F4 GTを打ち出していくつもりはないようだ。安達氏は、「多少意識しているのは、ゲーム特化端末といたずらに強調するのではなく、最高のパフォーマンスが出せるフラグシップモデルを、いくつかのゲーム機能とともに手ごろな価格でご提供すること」だと語る。「主としての位置付けはフラグシップモデル」(同)であり、ゲームはあくまでその中のいち機能にすぎないというわけだ。
ゲーミング機能はあまり強調せず、どちらかと言うとコストパフォーマンスの高いフラグシップモデルとして展開していくと語るXiaomi Japanの安達氏。写真は2022年3月のインタビュー時に撮影したものゲーミングスマートフォンは1つのジャンルになりつつあり、日本でも続々と端末が発売されている。ASUSの「ROG Phone」は、その代表例。ZTE参加のNubia Technologyが開発した「RedMagic」や、ブラックシャークの「Black Shark」も、ゲーミングに特化したスマートフォン。POCO F4 GTが採用したポップアップトリガーや、冷却機能による高いパフォーマンス、付属するL字型ケーブルなどは、こうしたゲーミング特化型のスマートフォンに共通する機能といえる。
こうした端末とあえて一線を引いているのは、やはり市場規模を考慮してのことだろう。売りが明確に分かるゲーミングスマートフォンだが、もともと販売規模が縮小しているハイエンドモデルの中で、さらにゲーミングに特化しているだけに、狙えるパイは非常に狭い。最近では、ソニーの「Xperia」やシャープの「AQUOS」、サムスン電子の「Galaxy」もハイエンドモデルのゲーミング機能を訴求しており、POCO F4 GTもこうしたメーカーの端末と訴求の仕方は近い。
実際、端末を見ると、ユーザーインタフェース(UI)はXiaomiの「MIUI」で、ゲーミングスマートフォンに特徴的な演出は抑えめだ。背面の模様や雷マークのフラッシュライト、さらにはポップアップトリガーから、どうしてもゲーミングスマートフォンを連想してしまうきらいはあるが、シルバーやブラックであれば目立ちにくいのも事実。ゲーミングジャンルのPCや、その文脈で開発されたスマートフォンではおなじみのギラギラとした“光”も、稲妻マークだけと控えめだ。
そもそも、POCOはXiaomiのいわばサブブランドで、海外ではPOCO F4 GT以外にもエントリーモデルからハイエンドモデルまで、さまざまなバリエーションの端末を展開している。XiaomiがPOCOの日本展開にあたって同モデルを選択したのも、「メジャーなブランドでこれだけ高いコストパフォーマンスのフラグシップモデルがない」(Xiaomi Japan 代表取締役 スティーブン・ワン氏)からだ。こうしたコメントからも、XiaomiがPOCO F4 GTをゲーミングスマートフォンと考えていないことが見て取れる。
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