Xiaomi Japanは、日本にPOCOブランドのスマートフォンを導入する。第1弾となるモデルが、「フラグシップキラー」と銘打った「POCO F4 GT」だ。このモデルは、ハイエンドモデルが採用する処理能力が高い「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載しながら、価格(税別、以下同)は7万4800円(8GB+128GB)と破格の安さだ。利益率を抑えるのと同時に、規模の経済を生かしてコストパフォーマンスの高さを発揮するXiaomiだが、 POCO F4 GTにも、その特徴が受け継がれているといえる。むしろ、XiaomiブランドやRedmiブランドの端末以上に、価格は抑えられている印象だ。
Xiaomiシリーズ、Redmiシリーズを日本に導入してきたXiaomiだが、POCOはXiaomiとは独立したブランドとして運営されている。Xiaomiのリソースを共有しながら、マーケティングや販路などを分け、これまでリーチできていなかった層を取り込むのがPOCOの狙いだ。日本でも、POCOはオンライン専用ブランドと位置付け、Xiaomi Japanの直販や楽天市場、Amazonなどに販路を限定した。徐々に存在感を高めているXiaomiだが、POCOは日本で受け入られるのか。新モデルの特徴を解説しつつ、同社の狙いに迫った。
フラグシップキラーと銘打たれたPOCO F4 GT。他社のフラグシップモデルを性能や価格で上回るのが、このキャッチフレーズに込められた意気込みだ。実際、POCO F4 GTはSnapdragon 8 Gen 1を搭載しながら、価格は7万4800円と安い。スマートフォンの価格はプロセッサの処理能力だけで決まるわけではないが、Snapdragon 8 Gen 1を搭載する端末が軒並み10万円前後、高いものでは20万円を超えることを踏まえると、 7万4800円は“激安”と言っても過言ではない。価格帯としてはミドルレンジモデルに近いほどだ。
フラグシップ級なのは、プロセッサだけではない。例えば、ディスプレイは6.67型とサイズが大きく、有機ELで120Hz駆動。ちらつきの少ない1920HzのPWM調光に対応している他、色合いも精密にチューニングされているという。ディスプレイのガラスには、堅牢(けんろう)性で定評のあるコーニングの「Gorilla Glass Victus」が採用されている。メモリはLPDDR5で、ストレージにはUFS3.1を採用することで読み書きの速度を高めた。
ハイパフォーマンスのスマートフォンはそのぶん発熱しやすく、ピーク性能をどう維持していくかが鍵になる。これに対し、XiaomiはPOCO F4 GTに「Liquid Technology 3.0」を採用。熱の発生源を離して配置したり、4860平方ミリメートルのベイパーチャンバーを搭載したりと、さまざまな手段を組み合わせることで、パフォーマンスの維持を可能にした。Xiaomi Japanのプロダクトプランニング部 本部長を務める安達晃彦氏によると、ゲームアプリの「モバイルレジェンド Bang」は平均119. 5fps、「Free Fire」では平均89.3fpsのフレームレートでプレイができ、温度上昇もそれぞれ44.2度、40.9度に抑えられたという。
Xiaomiが注力している超高速充電技術にも対応しており、専用のチャージャーを接続した際には、最大120Wでの充電が可能になる。バッテリーが空の状態からでも、わずか17分の充電が完了する速さだ。実際に充電してみると分かるが、見る見るうちにバッテリー残量の数値が上がっていくインパクトは大きい。その120Wチャージャーが付属しているのも、POCO F4 GTの魅力。120Wのように電力の大きなチャージャーは、単体で購入すると数千円になることもあり、同モデルのコストパフォーマンスの高さを際立たせている。
背面のサイバーパンク的なデザインを見れば分かるように、この端末はゲーミングスマートフォンの色合いが濃い端末でもある。こうしたゲームをサポートする機能として、本体の右側面に2つの「ポップアップトリガー」を搭載。ゲームアプリを遊ぶ際に、Lボタン、Rボタンとして利用できる。ポップアップトリガーはマグネット式で、スイッチをスライドさせると、カチっという音とともに跳ね上がる仕組みだ。ゲームプレイがしやすしよう、チャージャーに付属するケーブルの端子もL字型になっている。
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