ドコモ、KDDI、ソフトバンクが「ジャパンドローン 2022」出展 大手3キャリアが注目する理由とは(2/2 ページ)

» 2022年06月28日 10時00分 公開
[島徹ITmedia]
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ドコモは自律飛行ドローン「Skydio」や、農業ドローンを紹介

 NTTドコモはdocomo skyとして「LTE上空利用プラン」の他、ドコモベンチャーズを通じて出資する高い自律飛行性能を持った米Skydio社のドローン製品を紹介。また、NTT e-Drone Technologyの農業ドローンについてもドコモブース内で出展していた。

ジャパンドローン2022 ドコモブースでは、自律飛行型ドローン「Skydio」のリアルタイム映像伝送などを実施

 Skydioのドローンは全方位の障害物検知により橋の下や倉庫内といった、GPSなどGNSSの衛星測位が難しい場所でも安定した飛行が可能だ。Skydio X2Eはサーマルカメラも搭載する。また、撮影映像のリアルタイム伝送「Skydio Streaming」も開始し、多拠点の遠隔地から映像を確認できるようになった。展示でも、埼玉県で飛行するSkydioからの映像を映し出すデモを実施していた。

ジャパンドローン2022 米Skydio製の「Skydio 2+」と「Skydio X2E」

 LTE上空プランのコーナーでは、仏Parrot製のLTEに標準対応した産業用ドローン「ANAFI Ai」を展示。外付けモジュールが必要なく、民生用ドローンと同等のサイズを実現している。4800万画素カメラやステレオカメラにより2D写真や映像撮影はもちろん、フォトグラメトリによる3Dモデルの作成への対応など、さまざまな用途に活用できる。

ジャパンドローン2022ジャパンドローン2022 仏Parrot製「ANAFI Ai」。4Gのロゴが見える

 同ブース内にはNTT e-Drone Technologyの農業ドローン「AC101」も展示。自動航行に対応した農薬散布ドローンだ。同社の農業ドローンはエンルートから事業承継したもので、引き続き各地でのドローン活用のデモ、ドローンスクール、機体整備などを提供している。

ジャパンドローン2022 NTT e-Drone Technology製の農業ドローン「AC101」

ソフトバンクは高精度測位「ichimill」対応をアピール

 ソフトバンクは点検や測量作業の管理・分析プラットフォームSoraSolutionを中心に展示。5月に技術提携を発表したドローンとレーザースキャナーなどドローン向け測量機器を開発するアミューズワンセルフや、ラジコン機器でも広く知られる双葉電子工業の産業用ドローンを出展していた。

ジャパンドローン2022 ソフトバンクブース
ジャパンドローン2022 ソフトバンクはSoraSolutionとして、ドローンの運用管理サービスを提供
ジャパンドローン2022 アミューズワンセルフ製のバッテリー駆動ドローン「GLOW.L」。右奥がレーザースキャナー「TDOT3」を搭載したエンジンハイブリッドの「GLOW.H」

 現在のソフトバンクの強みは、同社が全国3300カ所に設置した独自の電子基準点を用いた高精度測位サービス「ichimill」対応にあるという。これは測量の他、ドローンや自動運転でも必要なGPSやみちびき(QZSS)などのGNSSを用いた位置測位に、電子基準点で得た補正情報を加えるRTK測位によって、測位の誤差を数メートル単位から数センチ単位へと抑えるサービスだ。ドローンでは正確さを求められる測量などで非常に有用なサービスとなる。

 上空でのLTEの利用に関してはまだ商用化していないが、2021年末実施した東京都あきる野市、八王子市および青梅市での物資搬送の実証実験で双葉電子工業製ドローンに対応モジュールを搭載しての飛行実績はあるという。双葉電子工業で開発中のLTE対応ドローンでの対応を考えているとのことだ。

ジャパンドローン2022 双葉電子工業ブースより、産業用ドローン「FMC-01」。同社では以前にも増して、ドローン事業に開発リソースを集中させているとのことだ

ドローンのリモートID搭載義務化で注目Braveridge「リモートID」

 最後に、一部で注目を集めたBraveridgeの「リモートID」について紹介しておこう。

ジャパンドローン2022 Braveridgeブース。福岡のBluetoothやLTE-Mなど、省電力無線を用いたIoT機器や通信システム開発が中心の企業だ

 現在、日本で重量100g以上のドローンを利用するには、個人・法人を問わず国土交通省への機体登録が義務化された。2022年6月20日以降に登録した機体は、リモートIDと呼ぶBluetoothまたはWi-Fiを用いて登録情報や位置情報を発信する機能(ビーコン)の搭載も求められる。

 だが、現在リモートIDに標準機能として対応したドローンは、DJI製の比較的新しい機体しかない。大半のドローンはリモートIDに対応できていない上に、現在市場で購入できる外付けのリモートID発信機はほとんどなく、需要も影響して4万円台からと非常に高額になっている。また、100gや200g台の小型機体に搭載できる製品はほぼない。

 そこで、Braveridgeが5月に発表した、小型軽量かつ低価格をアピールする「リモートID」の展示に注目が集まったというわけだ。

ジャパンドローン2022 BraveridgeのリモートIDを分かりやすい形で搭載。写真の2.5型や3型と呼ばれる、100g台からの小型軽量ドローンにも搭載しやすい
ジャパンドローン2022 BraveridgeのリモートID製品。ドローンのバッテリーから電源を供給。機体登録番号とGPSなどGNSSで測位した情報と機体情報をBluetooth LEで発信する

 販売価格は販売店からの発表になるが、現在の市場価格よりは安価になる見込み。当初はカスタム可能なドローンなど、バッテリーからの電源供給が可能な機体向けの製品を投入する。バッテリー内蔵モデルも計画しているという。

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