ドコモ、KDDI、ソフトバンクが「ジャパンドローン 2022」出展 大手3キャリアが注目する理由とは(1/2 ページ)

» 2022年06月28日 10時00分 公開
[島徹ITmedia]

 6月22日から23日まで幕張メッセにて、国内最大級の民間ドローン展示会「ジャパンドローン2022」が開催された。ドローン関連や将来の空飛ぶクルマを目指す多くの企業が出展するなか、ドコモとKDDI、ソフトバンクの大手携帯電話事業者3社も出展。その模様について紹介していこう。

ジャパンドローン2022 ドローン専門の展示会「ジャパンドローン2022」が、幕張メッセにて、6月22日から23日まで開催された

 先に2022年現在の日本のドローンビジネスについて軽く触れておくと、工場や建築現場、大型建造物などの点検・測量・監視や、農業用の生育管理や農薬散布、災害時の自治体による情報収集など、飛行許可を得やすい敷地や状況での運用が中心となっている。

ジャパンドローン2022 テラ・ラボが開発中の大型有翼機「Terra Dolphin 8000」モックアップ。翼長8000mmで、衛星回線によりリアルタイムで映像を伝送する。調査など長時間・長距離飛行の用途では、マルチコプターより有翼機が用いられる
ジャパンドローン2022 ソニーはミラーレス一眼カメラ「α」を搭載できるドローン「Airpeak S1」を展示。映像用途の他、産業用途でもアピール
ジャパンドローン2022 DJIの販売代理店セキドでも、DJIの産業・農業向けを中心とした大型の最新ドローンを数多く展示する

 今後の話としては、「レベル4」と呼ぶ有人地帯の目視外飛行の実現に向けて、国が2021年の航空法改正をもとに機体認証制度や操縦ライセンス制度、航空管制など環境の整備を進めている。レベル4の実現はドローン物流や発災時の救援の他、2025年大阪・関西万博での空飛ぶクルマの実現にも関連する内容となっている。

ジャパンドローン2022 政府の小型無人機に関する関係府省庁連絡会議「空の産業革命に向けたロードマップ2021」より。2023年からはレベル4飛行の活用に向けた動きが本格化する

 ドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話事業者3社がドローンビジネスを手掛ける理由として特に大きいのは、上空でLTEなどのモバイルネットワークを提供できる点だ。2016年以後の実用化試験局の検証から2020年の制度整備を経て、上空での運用プランを提供している。

 一般的なドローンは無線の送信機から数百メートルから1〜2キロしか操縦できないが、LTEなら人口居住地域のほとんどでネットワークにつながる。このため、長距離飛行に適しており、無線操縦と二重に搭載することで遠隔操縦の冗長性を高められる。もちろん、LTEはカメラやセンサーで取得した情報のリアルタイム送信やクラウドサービスでの解析にも有用だ。レベル4を見据えた今後のドローンの活用では、携帯電話事業者の上空LTEサービスの需要はさらに高まっていくとみられる。

KDDIはドローンの遠隔自律飛行・自動充電デモや、レベル4を見据えた展示を実施

 KDDIは広めのブースにて、子会社のKDDIスマートドローンによるLTEパッケージ対応ドローンによる運行管理システムや、レベル4を見据えた取り組みの展示を充実させていた。

ジャパンドローン2022 KDDIブースでは、子会社のKDDIスマートドローンによるLTEパッケージとその対応機体を数多く展示
ジャパンドローン2022ジャパンドローン2022 「LTEパッケージ」は月額4万9800円で、点検・監視・物流など用途に応じた各社ドローンと組み合わせて活用。遠隔操作やリアルタイムでの映像視聴を実現。賠償責任保険も付帯する

 ドローンの運行管理システムでは、CIRC製の自律飛行ドローン「G6.0」とドローンポート「NEST」を用いた遠隔自律飛行と遠隔制御のデモを実施。幕張メッセから栃木県小山市で自律飛行するドローンの運行確認や、遠隔制御で飛行経路の変更などを行っていた。このCIRC製ドローンはNESTに着陸することで充電が可能。バッテリー交換など人の手を介さずに、定期的な自律飛行を行える。

ジャパンドローン2022ジャパンドローン2022 CIRC製の自律飛行ドローン「G6.0」とドローンポート「NEST」。幕張メッセの会場から、栃木県小山市の機体を遠隔で運行管理

 この他、建造物の調査や輸送向けにLTEパッケージで活用できる機種を展示。今後のレベル4を見据えたドローン輸送の本格化を見据えた、ペイロード(運搬能力)の大きい各種ドローンも取りそろえていた。

ジャパンドローン2022 ACSL製「AirTruck」。LTEとFPVカメラを搭載する、レベル4も見据えた量産型物流専用ドローン。最大ペイロード5kg、最大50分(5kg積載時は約40分)の飛行を実現
ジャパンドローン2022 プロドローン製「PDH-GS120」。長距離や強風下の輸送では、一般的なヘリコプターと同様の、エンジン駆動かつシングルローターの機体が向いている。最大ペイロード10kg、約120分の飛行が可能だ
ジャパンドローン2022 プロドローン製水空合体ドローン。飛行に加えて水上への離着水に対応。さらに、搭載する水中ドローンを操作して海中の様子も自由に確認できる
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