楽天モバイルが“新プラン自動移行”の理由に挙げる「電気通信事業法第27条の3」とは何か?MVNOの深イイ話(1/3 ページ)

» 2022年06月28日 06時00分 公開
[佐々木太志ITmedia]

 楽天モバイルが7月から提供する新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」は、1GB以下の「月額0円」が撤廃されることが話題を集めていますが、既存ユーザーにも自動で適用されます。その理由について、楽天モバイルの三木谷浩史会長は「当初は既存ユーザーは0円を継続する方針でいたが、電気通信事業法により“ダメ”だと分かった」と述べています。

 続く説明にて、電気通信事業法第27条の3が規定する「行き過ぎた囲い込みの禁止」という規制により、「既存ユーザーは0円を維持したまま、新規ユーザーは1078円(税込み、以下同)から」という条件でのサービス提供が不可能だと判明した、とのことです。

楽天モバイル 楽天モバイルの新プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」は、既存ユーザーにも自動適用される。なお、10月末まではキャンペーンにより、1GB以下は月額0円を継続できる

 今回は、この「電気通信事業法第27条の3」について、その成立の経緯から詳しく振り返ってみたいと思います。

そもそもの電気通信事業法とは?

 電気通信事業法第27条の3を見ていく前に、電気通信事業法とは何かを簡単にご説明しましょう。電気通信事業法は1985年に施行された法律です。この頃、日本では中曽根内閣の元で行政改革が推進されており、三公社と呼ばれた「日本国有鉄道」「日本専売公社」そして「日本電信電話公社」(電電公社)の3社がいずれも民営化しました。

 三公社のうちの電電公社は、「公衆電気通信法」という法律に基づき設置・運営されていた国有の電気通信事業者で、日本国内における公衆電気通信(「公衆電話」、すなわち街中に設置された公共の電話機のことではなく、商用で使われるパブリックな電話網のことをこのように称します)の独占的な事業を認められていました。

 この「公衆電気通信法」が廃止となり代わりに施行されたのが「電気通信事業法」です。1985年は、日本における電気通信の民営化元年とされ、電気通信事業法に基づき、電電公社を承継した日本電信電話株式会社(NTT)以外の電気通信事業者への公衆電気通信の門戸の開放が行われました。それ以来、37年に渡り、電気通信事業法は電気通信事業者にとっての「基本法」として、累次の改正を経て現在に至る、ことになります。

 電気通信事業法は全部で6つの章からなっており、順に「第一章 総則」「第二章 電気通信事業」「第三章 土地の使用等」「第四章 電気通信紛争処理委員会」「第五章 雑則」「第六章 罰則」となります。このうち第二章を見ると、利用の公平や重要通信の確保といった電気通信の大原則をまとめた「第一節 総則」、電気通信事業者としての登録や届け出といった手続きを規定した「第二節 電気通信事業の登録等」に続き、電気通信事業者が守るべきルールの中でも特に重要なルールがまとめられた「第三節 電気通信事業者の業務」があります(その後は略)。この「第二章 第三節」に、今回のポイントである「第27条の3」が含まれています。

電気通信事業法 電気通信事業法の構造と、第27条の3の位置

 さて、「第二章 第三節」はそれだけでも非常に多岐にわたりますが、より細かく見ていくと、その中でも第26〜27条に利用者との間のルール、すなわち消費者保護に関連するルールが集中してまとまっていることに気付きます。一瞬、「たった2つの条文?」と思われるかもしれませんが、第26条と付く条文が5つ、第27条と付く条文が4つの、合わせて9つの条文が消費者保護に関連するルールとなっています。

 これは、近年、消費者保護の重要性が認識されルールが拡充している中、大幅に条文の番号をリナンバリングすることなく、法典の1カ所に関連する条文を集中させるための手であると思われます。「第27条の3」とは、第27条と頭に付く4つの条文のうちの3番目、ということになります。そして、この条文についたタイトルは「移動電気通信役務を提供する電気通信事業者の禁止行為」、すなわち(消費者保護の視点からの)携帯電話会社がしてはいけないルール、ということになります。

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